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zoom RSS インディペンデント・スピリット・アワード2008 ノミネーション発表!

<<   作成日時 : 2008/12/04 03:05   >>

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 第24回インディペンデント・スピリット・アワードのノミネーションが発表されました(12月2日)。

 この賞は、Film IndependentというNPO団体が選出する映画賞で、制作費が2000万ドル以下で、1週間以上商業公開されるか、または、サンダンス映画祭(1月)、ニューヨークND/NF(New Directors/New Films)映画祭(3月)、ロサンゼルス映画祭(6月)、トロント国際映画祭(9月)、テルライド映画祭(9月)、ニューヨーク映画祭(10月)、のいずれかで上映された作品(70分以上の長さがある)を対象としています。つまり、製作費が少なくても、意欲的な映画、志の高い映画を選んで表彰しようという、コンセプトの映画賞です(設立は1984年)。

 この賞は、年々、製作費が高くなることと、そういう映画を持てはやす風潮に異議を唱える目的で設立されたものですが、それは反アカデミー賞という意味合いも持っていて、授賞式は、意図的にアカデミー賞の1日前と決められています。だから、「アカデミー賞の前哨戦の1つ」のように見えても、決して「アカデミー賞の前哨戦の1つ」などではないわけです。

 過去の受賞作を見てみると、『ザ・プレイヤー』『パルプ・フィクション』『ファーゴ』『メメント』『エデンより彼方に』『ロスト・イン・トランスレーション』『サイドウェイ』となかなかの品揃えで、2006年は『リトル・ミス・サンシャイン』、2007年は『JUNO/ジュノ』が選ばれています。

 近年のアカデミー賞を見ると、良し悪しは別にして、明らかにインディペンデント・スピリット・アワード(もしくはその精神)の影響を受けているように思われます。

 今年のノミネートも、結果的にはゴッサム・アワード(http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_7.html)に似たものになってしまっていますが、こちらの方が部門も多いし、なかなかユニークなセレクションになっています。

画像

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 ◆作品賞
 ・"Ballast"(監督:ランス・ハマー)
 ・"Frozen River"(監督:コートニー・ハント)
 ・"Rachel Getting Married"(監督:ジョナサン・デミ)
 ・"Wendy and Lucy" (監督:Kelly Reichardt)
 ・"The Wrestler"(監督:ダーレン・アロノフスキー)

 このうち、"Frozen River"と"Ballast"は、サンダンス映画祭2008で上映された作品で、"Frozen River"はドラマ部門グランプリ、"Ballast"はドラマ部門監督賞と撮影賞を受賞しています。

 ◆監督賞
 ・ラミン・バーラニ(Ramin Bahrani) "Chop Shop"
 ・ジョナサン・デミ "Rachel Getting Married"
 ・ランス・ハマー "Ballast"
 ・コートニー・ハント "Frozen River"
 ・トーマス・マッカーシー "The Visitor"

 このうち、ランス・ハマーは、サンダンス映画祭ドラマ部門で監督賞受賞、ゴッサム・アワード2008で新人監督賞を受賞し、トマス・マッカーシーは、Method Festで監督賞を受賞しています。
 バテランのジョナサン・デミと新人の対決という構図です。ランス・ハマーとコートニー・ハントは初長編、トマス・マッカーシーは俳優としてのキャリアはありますが、監督作はこれが2本目、気鋭の監督ラミン・バーラニはこれが第3長編となります。

 ◆第1回作品賞
 ・アントニオ・カンポス "Afterschool"
 ・バリー・ジェンキンス "Medicine for Melancholy"
 ・クリストファー・ザラ "Sangre De Mi Sangre"
 ・アレックス・リヴェラ(Alex Rivera) 『スリープ・ディーラー』 "Sleep Dealer"
 ・チャーリー・カウフマン "Synecdoche, New York"

 『スリープ・ディーラー』は、2002年度サンダンス・NHK国際映像作家賞受賞(アメリカ選出作品)を受けて、制作が進められた作品です(参考記事:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_2.html)

 ◆主演男優賞
 ・ハビエル・バルデム "Vicky Cristina Barcelona"(監督:ウディ・アレン)
 ・リチャード・ジェンキンス "The Visitor"
 ・ショーン・ペン "Milk"(監督:ガス・ヴァン・サント)
 ・ジェレミー・レナー "The Hurt Locker"(監督:キャサリン・ビグロー)
 ・ミッキー・ローク "The Wrestler"

 インディペンデント・スピリット・アワードとの関わりでは、リチャード・ジェンキンスは、『アメリカの災難』(1996)で助演男優賞にノミネートされたことがあり、ショーン・ペンは『キャスティング・ディレクター』(1998)で主演男優賞でノミネートされたことがあり、ジェレミー・レナーは『ジェフリー・ダーマー』で主演男優賞にノミネートされたことがあり、ミッキー・ロークは『バーフライ』で主演男優賞にノミネートされたことがあります。誰が受賞しても初受賞となります。

 リチャード・ジェンキンスは、Method Fest2008とモスクワ国際映画祭で男優賞を受賞しています。

 ◆主演女優賞
 ・サマー・ビシル(Summer Bishil) "Towelhead"(監督:アラン・バール(Alan Ball))
 ・アン・ハサウェイ "Rachel Getting Married"
 ・メリッサ・レオ "Frozen River"
 ・タラ・リッグス(Tarra Riggs) "Ballast"
 ・ミシェル・ウィリアムズ "Wendy and Lucy"

 ベテランだけれど、これまであまり注目されることはなかったメリッサ・レオと、若手実力派のアン・ハサウェイとミシャル・ウィリアムズ(『ブロークバック・マウンテン』対決)、新人のタラ・リッグス、新人ではないがほとんど無名に近いサマー・ビシル、という対決になります。

 このうち、ミシェル・ウィリアムズは、過去に『ブロークバック・マウンテン』(2005)で助演女優賞、『ランド・オブ・プレンティ』(2004)で主演女優賞にノミネートされたことがあります。他は初めてのノミネートです。

 ◆助演男優賞
 ・ジェームズ・フランコ "Milk"
 ・アンソニー・マッキー "The Hurt Locker"
 ・チャーリー・マクダーモット "Frozen River"
 ・ジム・マイロン・ロス "Ballast"
 ・ハーズ・スレイマン(Haaz Sleiman) "The Visitor"

 若手実力派のジェームズ・フランコ、『8マイル』『ミリオン・ダラー・ベビー』『フリーダムランド』“Half Nelson”などに出演して地味ながら着実にキャリアを築いてきたアンソニー・マッキー、『ヴィレッジ』の子役からキャリアをスタートさせたチャーリー・マクダーモット、新人のジム・マイロン・ロス、これまではテレビで活躍してきたハーズ・スレイマン、というバラエティーに富んだ対決です。

 この中では、唯一、アンソニー・マッキーが、過去に“Brother to Brother”(2004)でデビュー・パフォーマンス賞にノミネートされたことがあります。

 ◆助演女優賞
 ・ペネロペ・クルス "Vicky Cristina Barcelona"
 ・ローズマリー・デウィット "Rachel Getting Married"
 ・ロージー・ペレス "The Take"(監督ブラッド・ファーマン(Brad Furman))
 ・Misty Upham "Frozen River"
 ・デブラ・ウィンガー "Rachel Getting Married"

 ベテランのデブラ・ウィンガー、中堅のロージー・ペレス、絶好調のペネロペ・クルス、テレビを中心に活躍してきたローズマリー・デウィットとMisty Upham、という対決です。

 この中に過去にインディペンデント・スピリット・アワードにノミネートされたことのある女優はいません。

 Misty Uphamは“Frozen River”でAmerican Indian Film Festival 助演女優賞を受賞しています。

 ◆脚本賞
 ・ウディ・アレン "Vicky Cristina Barcelona"
 ・アンナ・ボーデン & ライアン・フレック "Sugar"(監督:アンナ・ボーデン&ライアン・フレック)
 ・チャーリー・カウフマン "Synecdoche, New York"
 ・ハワード・A・ロッドマン 『美しすぎる母』(監督:トム・カーリン)
 ・クリストファー・ザラ "Sangre De Mi Sangre"(監督:クリストファー・ザラ)

 巨匠のウディ・アレンに、若手のライアン・フレック&アンア・ボーデン、チャーリー・カウフマン、ハワード・A・ロッドマンという3人、新人のクリストファー・ザラ、という対決です。

 インディペンデント・スピリット・アワードとの関わりでは、ウディ・アレンが『ブロードウェイと銃弾』(1994)で脚本賞にノミネートされたことがあり、ライアン・フレックは“Half Nelson”(2006)で第1回脚本賞(&監督賞)を受賞し、チャーリー・カウフマンは『マルコヴィッチの穴』(1999)で第1回脚本賞を受賞しています。

 ◆第1回脚本賞
 ・ダスティン・ランス・ブラック "Milk"
 ・ランス・ハマー "Ballast"
 ・コートニー・ハント "Frozen River"
 ・ジョナサン・レヴィン "The Wackness"(監督:ジョナサン・レヴィン)
 ・ジェニー・ルメット "Rachel Getting Married"

 若い脚本家が、若い監督と組んだ作品が3本、ベテラン監督と組んだ作品が2本あります。

 サンダンス映画祭2008 ドラマ部門で、"Ballast"は監督賞&撮影賞、"Frozen River"はグランプリ、"The Wackness"は観客賞を、それぞれ受賞しています。

 ジェニー・ルメットはシドニー・ルメットの娘です(女優として『Q&A』や『ドッジボール』などに出演していました)。

 ◆撮影賞
 ・マリス・アルベルチ(Maryse Alberti) "The Wrestler"
 ・ロル・クローリー(Lol Crawley) "Ballast"
 ・ジェームズ・ラクストン(James Laxton) "Medicine for Melancholy"(監督:バリー・ジェンキンス)
 ・ハリス・サヴィデス(Harris Savides) "Milk"
 ・マイケル・シモンズ(Michael Simmonds) "Chop Shop"

 巨匠マリス・アルベルチ、ベテランのハリス・サヴィデスに、若手の3人が挑む形です。

 インディペンデント・スピリット・アワードとの関わりでは、マリス・アルベルチは、『ベルベット・ゴールドマイン』(1998)で撮影賞受賞、『夫以外の選択肢』“We Don't Live Here Anymore”で撮影賞ノミネート、ハリス・サヴィデスはガス・ヴァン・サントの3作品『ジェリー』(2002)『エレファント』(2003)『ラスト・デイズ』(2005)で撮影賞ノミネート、マイケル・シモンズは“Man Push Cart”(2005)で撮影賞にノミネートされたことがあります。

 マイケル・シモンズは、今回のノミネートに絡んでいる"The Order of Myths"や“Goodbye Solo”の撮影も担当しています。

 "Ballast"はサンダンス映画祭2008で撮影賞を受賞しています。

 ◆ジョン・カサヴェテス賞(50万ドル以下で作られた優れた低制作費映画に贈られる)
 ・Alex Holdridge "In Search of a Midnight Kiss"
 ・Sean Baker "Prince of Broadway"
 ・David Bruckner, Dan Bush, Jacob Gentry "The Signal"
 ・Sean Baker, Shih-Ching Tsou "Take Out"

 "Prince of Broadway"は、ロサンゼルス映画祭2008でドラマ部門のグランプリを受賞しています。

 ◆ドキュメンタリー賞
 ・エレン・クルス(Ellen Kuras) & Thavisouk Phrasavath "The Betrayal"
 ・ヴェルナー・ヘルツォーク 『世界の果ての出会い』
 ・ジェームズ・マーシュ "Man on Wire"
 ・マーガレット・ブラウン "The Order of Myths"
 ・Yung Chang "Up the Yangtze"

 "The Betrayal"と"The Order of Myths"は、サンダンス映画祭2008のドキュメンタリー部門コンペティションに出品され、"Man on Wire"と"Up the Yangtze"は、同映画祭 ワールド・シネマ-ドキュメンタリー部門に出品されています。このうち、"Man on Wire"がグランプリ&観客賞を受賞しました。

 ◆外国映画賞
 ・ローラン・カンテ "The Class" (仏)
 ・マッテオ・ガローネ 『ゴモラ』(伊)
 ・スティーブ・マックイーン 『ハンガー』(英)
 ・アブデラティフ・ケシシュ 『クスクス粒の秘密』(仏)
 ・カルロス・レイガダス 『静かな光』(メキシコ・仏・オランダ・独)

 ここに入っていてもおかしくない“Slumdog Millionaire”は、イギリス映画でありながら、アメリカからの出資も受けているため、外国映画賞の資格を得られず、ノミネートに至らなかったということです。

 ◆ロバート・アルトマン賞(アンサンブル映画に贈られる)
 ◎ "Synecdoche, New York"
 監督:チャーリー・カウフマン
 キャスティング・ディレクター:ジャンヌ・マッカーシー(Jeanne McCarthy)
 キャスト:ホープ・デイヴィス、フィリップ・シーモア・ホフマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、キャサリン・キーナー、サマンサ・モートン、トム・ヌーナン、ダイアン・ウィースト、ミシェル・ウィリアムズ

 ◆「今後の劇場公開を期待したい」映画賞(IFC/ACURA SOMEONE TO WATCH AWARD)
 ・バリー・ジェンキンス “Medicine for Melancholy”
 ・ニーナ・パレイ(Nina Paley) “Sita Sings the Blues”
 ・リン・シェルトン(Lynn Shelton) “My Effortless Brilliance”

 この賞は、映画祭では上映されても、また配給がついておらず、劇場公開の目処が立っていない作品に贈られます(ゴッサム・アワードの“Best Film Not Playing at a Theater Near You”と同じ趣旨の賞です)。

 “Sita Sings the Blues”はゴッサム・アワードの“Best Film Not Playing at a Theater Near You”を受賞しています。

 ◆事実は小説より奇なり賞(TRUER THAN FICTION AWARD)
 ・マーガレット・ブラウン “The Order of Myths”
 ・サッシャ・ガーヴェイ “Anvil! The Story of Anvil”
 ・ダリウス・マーダー(Darius Marder) “Loot”

 "The Order of Myths"は、サンダンス映画祭2008のドキュメンタリー部門コンペティションに出品され、“Anvil! The Story of Anvil”はロサンゼルス映画祭2008で観客賞を受賞しています。

 ◆ピアジェ・プロデューサー賞(PIAGET PRODUCERS AWARD)
 ・ラース・クヌッセン(Lars Knudsen)、 (Jay Van Hoy)『木のない山』、“I’ll Come Running”
 ・ジェイソン・オーランズ(Jason Orans)“Goodbye Solo”、“Year of the Fish”
 ・ヘザー・ラエ(Heather Rae)“Frozen River”、“Ibid”

 いずれも注目すべき仕事をしているインディペンドエント系の実力派プロデューサー。

 中でも、ラース・クヌッセンは、『アイリス』『めぐりあう時間たち』『チェンジング・レーン』などでスコット・ルーディンのアイスタントを務めたプロデューサーで、今はジェイ・ヴァン・ホイとコンビを組んで、世界を股にかけて活躍しています。プロデュース作品の1つ『木のない山』は、韓国のソヨン・キム監督をプロデュースしたもので、今年の東京フィルメックスで審査員特別賞を受賞しています。

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 全体的には、今年のサンダンス映画祭のコンペティション部門で賞を競った若手の作品に、秋以降完成&上映されたベテランの作品を加え、本年度のナンバーワンを争う、という構図になっています。

 最多ノミネートは6部門で、“Ballast”、“Frozen River”、“Rachel Getting Married”と3作品あります。4部門が“Milk”のみ、3部門が"The Visitor"、"The Wrestler"“Medicine for Melancholy”、"Vicky Cristina Barcelona"、"Synecdoche, New York"(1部門は既に受賞決定済)と5作品もあります。

 外国映画賞にノミネートされた作品は、今年私が観て衝撃を受けた作品ばかり。

 ロバート・アルトマン賞の受賞が決定している"Synecdoche, New York"の出演者は私の好きな俳優ばかりで、来年の日本公開が楽しみです。

 ノミネート作品には、初めて見るタイトルもありますが、作品の注目度アップとともに、また触れる機会もあるでしょうから、内容紹介はそうした機会に譲りたいと思います。

 インディペンデント・スピリット・アワードの授賞式は、2009年2月21日。
 発表は、サンドラ・オーとジェイソン・ベイトマンが行なうことになっています。(サンドラ・オーは今年のサンダンス映画祭の審査員も務めていました!)

 *当ブログ記事
 ・2008年度映画賞レース スケジュール表!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_10.html

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 追記:
 ・インディペンデント・スピリット・アワード2008発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200902/article_30.html

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