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当ブログを毎日チェックしてくれている人であれば、だいたい見当はついていると思いますが、これで今年の映画賞レースの流れがほぼ見えてきました。以下に、アカデミー賞を主なターゲットとして、本年度の映画賞を部門ごとに予想してみたいと思います。 ◎印が当確、○印が有力、△印が有望、を表わしています。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ◆作品賞 ◎"Slumdog Millionaire"(監督:ダニー・ボイル) 評論家の評価も高く、既に発表されている映画賞でもいくつもの作品賞を受賞している"Slumdog Millionaire"が作品賞の最有力候補です。 ネックなのは、キャストが誰も知らない人ばかりということと、果たしてイギリス映画(アメリカ資本も入っているけど)を作品賞に選ぶか、という2点です。アカデミー賞に限れば、これまでノミネートされたイギリス映画でアカデミー賞を受賞したのは、1998年の『恋におちたシェイクスピア』(これも英米合作)まで遡らなくてはならず、それ以前だと25年も前の『ガンジー』(1982)になってしまいます。 『恋におちたシェイクスピア』が選ばれた年は、他のノミネート作品が、イギリス映画『エリザベス』、イタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』、そして『シン・レッド・ライン』『プライベート・ライアン』の4つだったので、この中だったら……、という政治的判断がなされた可能性もあります。 これまでノミネートされながら受賞を逃したイギリス映画には、2007年『つぐない』、2006年『クィーン』(英・仏・伊)、2004年『ネバーランド』(英米合作)、2002年『めぐりあう時間たち』(英米合作)(2002年『戦場のピアニスト』(仏・独・英・ポーランド)、)2001年『ゴスフォード・パーク』、2000年『ショコラ』(英米合作)、1998年『エリザベス』、1997年『フル・モンティ』、1996年『秘密と嘘』、1995年『いつか晴れた日に』(英米合作)、などがあります。 アカデミー賞作品賞にノミネートされる5作品は、実は、放送映画批評家協会賞の作品賞にノミネートされた10作品の中から選ばれるというのが、過去の実績を見てもほぼ確定的なので(わずかな例外はありますが)、今年も放送映画批評家協会賞を基準に考えていくことができます。 ということは、本年度のアカデミー賞ノミネート5作品は、 ・『チェンジリング』“Changeling”(監督:クリント・イーストウッド) ・『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(監督:デイヴィッド・フィンチャー) ・『ダークナイト』(監督:クリストファー・ノーラン) ・“Doubt”(監督:ジョン・パトリック・シェインリー) ・『フロスト×ニクソン』“Frost/Nixon”(監督:ロン・ハワード) ・“Milk”(監督:ガス・ヴァン・サント) ・『愛をよむひと』“The Reader”(監督:スティーブン・ダルドリー) ・“Slumdog Millionaire”(監督:ダニー・ボイル) ・『ウォーリー』(監督:アンドリュー・スタントン) ・“The Wrestler”(監督:ダーレン・アロノフスキー) の中から選ばれることになります。このほかの作品が選ばれるとしてもせいぜい1作品、です。 ◆監督賞 ○ダニー・ボイル("Slumdog Millionaire") ◎ガス・ヴァン・サント(“Milk”) 現時点では、ダニー・ボイルが最有力ですが、ポイントは、"Slumdog Millionaire"に作品賞と監督賞の2つともあげてしまっていいか、という判断がなされるのではないかということです。 アカデミー賞で、作品賞と監督賞が同じにならなかったのは、過去25年間で5回しかありません。その5回は、最有力作品の内容か監督かどちらかにアカデミー会員が抵抗を感じる場合(あるいはアカデミー会員の好みが2つの作品に真っ二つに分かれる場合)で、そういう場合は、作品賞と監督賞を別々の作品に分け与える、という形で解決がなされているようです。 その5回の結果は以下の通り。 2005年:作品賞『クラッシュ』(監督:ポール・ハギス)/監督賞 アン・リー(『ブロークバック・マウンテン』) 2002年:作品賞『シカゴ』(監督:ロブ・マーシャル)/監督賞 ロマン・ポランスキー(『戦場のピアニスト』) 2000年:作品賞『グラディエーター』(監督:リドリー・スコット)/監督賞 スティーブン・ソダーバーグ(『トラフィック』) 1999年:作品賞『恋に落ちたシェイクスピア』(監督:ジョン・マッデン)/監督賞 スティーブン・スピルバーグ(『プライベート・ライアン』) 1989年:作品賞『ドライビングMissデイジー』(監督:ブルース・ベレスフォード)/監督賞 オリバー・ストーン(『7月4日に生まれて』) 作品賞と監督賞を2つの作品で分け合うパターンとしては― 作品賞:"Slumdog Millionaire"(監督:ダニー・ボイル)/監督賞 ガス・ヴァン・サント(“Milk”) というケースが考えられます。 ◆主演男優賞 ○ショーン・ペン(“Milk”) 実はこの部門も放送映画批評家協会賞とほぼ同じメンバーがノミネートされることになっています(過去の実績から見てほぼ確定的です)。なので、今年のメンバーは― ・クリント・イーストウッド 『グラン・トリノ』 ・リチャード・ジェンキンス “The Visitor” ・フランク・ランジェラ 『フロスト×ニクソン』 ・ショーン・ペン “Milk” ・ブラッド・ピット 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 ・ミッキー・ローク “The Wrestler” の中から選ばれることになります。 アカデミー賞のキャスト部門は、実在の人物を演じると受賞するというのが定説としてあります(例外もありますが)、だとすれば、ショーン・ペンかフランク・ランジェラ、ですが、フランク・ランジェラは俳優としての成熟の結果ノミネートに至ったというより、たまたまいい役にめぐり合っただけじゃないかという評価もあるので、ここはショーン・ペン、ということになります。 ◆主演女優賞 △アン・ハサウェイ “Rachel Getting Married” ここは混戦で、誰が来てもおかしくありません。 ここも男優賞と同様で、ノミネーションは、放送映画批評家協会賞のノミネーションとかなりの確率で重なります。だとするとノミネーションは ・ケイト・ベッキンセール “Nothing But the Truth” ・ケイト・ブランシェット『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 ・アン・ハサウェイ “Rachel Getting Married” ・アンジェリーナ・ジョリー 『チェンジリング』 ・メリッサ・レオ “Frozen River” ・メリル・ストリープ “Doubt” の中から選ばれることになります。 ケイト・ベッキンセールとメリッサ・レオが落ちて、代わりにクリスティン・スコット・トーマス(“I’ve Loved You So Long”)やサリー・ホーキンス(『ハッピー・ゴー・ラッキー』)が入る可能性もあります。 傾向としては、やはり実在の人物を演じると受賞しやすいほか、熱演が評価されやすいという傾向があります(『ミリオンダラー・ベイビー』のヒラリー・スワンク、『モンスター』のシャーリーズ・セロン、『チョコレート』のハル・ベリーなど)。 ◆助演男優賞 ◎ヒース・レジャー(『ダークナイト』) はっきり言って追悼票ですが、『ジュノ/JUNO』のディアブロ・コーディーや『ディパーテッド』のマーティン・スコセッシ、『ドリーム・ガールズ』のジェニファー・ハドソンなど、アカデミー会員は、ドラマ性のある受賞が大好きなので、ヒース・レジャーが当確です。 ◆助演女優賞 △ペネロペ・クルス “Vicky Cristina Barcelona” ここも混戦です。 放送映画批評家協会賞のノミネーションだと以下の通り。 ・ペネロペ・クルス “Vicky Cristina Barcelona” ・ヴィオラ・デイヴィス “Doubt” ・ヴェラ・ファーミガ “Nothing But the Truth” ・タラジ・P・ヘンソン. 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 ・マリサ・トメイ “The Wrestler” ・ケイト・ウィンスレット 『愛をよむひと』 この中にローズマリー・デウィット(“Rachel Getting Married”)が入る可能性もあります。 ◆脚本賞 ○ダスティン・ランス・ブラック(“Milk”) ここはまだ有力作品が見えていません。 過去の実績を見ると、ノミネーションでは、サテライト・アワードのノミネート作品と5作品中3作品くらいが重なり、その重なったところから受賞作品が出る、というデータが出ています。 本年度のサテライト・アワードのノミネート作品は― ・フィリップ・ロス(『エレジー』) ・トマス・マッカーシー(“The Visitor”) ・エリック・ロス、ロビン・スウィコード(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』) ・コートニー・ハント(“Frozen River”) ・バズ・ラーマン、スチュアート・ビーティー、ロナルド・ハーウッド、リチャード・フラナガン(『オーストラリア』) ・ダスティン・ランス・ブラック(“Milk”) ノミネーションには、ジェニー・ルメット(“Rachel Getting Married”)が入る可能性もあります。 ◆脚色賞 ◎サイモン・ボーフォイ( "Slumdog Millionaire") ○エリック・ロス、ロビン・スウィコード(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』) サイモン・ボーフォイは前哨戦で最多受賞! ◆撮影賞 △クラウディオ・ミランダ 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 あまり参考になる傾向やデータはありませんが、サテライト・アワードのノミネーションを書き出しておくと以下の通り― ・ジェス・ホール“Brideshead Revisited” ・Gyula Pados “The Duchess” ・マンディー・ウォーカー 『オーストラリア』 ・Tim Orr 『スノー・エンジェル』“Snow Angels” ・トム・スターン “Changeling” ・クラウディオ・ミランダ 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 『ベンジャミン・バトン』は、今年の映画賞レースの中で、どこか昨年の『スウィーニー・トッド』と似た動きをしている、ようにも見えます。 ◆編集賞 ○クリス・ディケンス “Slumdog Millionaire” 全く当てになりませんが(全然重ならない年もあるので)、サテライト・アワードのノミネーションを書き出しておくと以下の通り― ・マット・チェーゼ、リチャード・ピアソン 『007/慰めの報酬』 ・ダン・レーベンタル 『アイアンマン』 ・リー・スミス 『ダークナイト』 ・ドディー・ドーン、マイケル・マクキュースカー 『オーストラリア』 ・クリス・ディケンス “Slumdog Millionaire” ・ダニエル・P・ヘインリー、マイク・ヒル 『フロスト×ニクソン』 編集賞は、作品賞と重なる傾向があります(『ディパーテッド』『クラッシュ』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』『シカゴ』『タイタニック』『イングリッシュ・ペイシェント』)。 ◆衣裳デザイン賞 △マイケル・オコーナー “The Duchess” ○パトリシア・フィールド 『セックス・アンド・ザ・シティ』 これも全く当てになりませんが、サテライト・アワードのノミネーションを書き出しておくと以下の通り― ・マイケル・オコーナー “The Duchess” ・Eimer Ni Mhaoldomhnaigh “Brideshead Revisited” ・キャサリン・マーティン 『オーストラリア』 ・パトリシア・フィールド 『セックス・アンド・ザ・シティ』 ルース・メイヤー “City of Ember” ・ジャクリーヌ・ウエスト 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 凝った女性ものの衣裳が評価される傾向があります。 ◆美術賞 △ドナルド・グラハム・バート、トム・レータ 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 サテライト・アワードのノミネーション結果は以下の通り― ・カレン・マーフィー、キャサリン・マーティン 『オーストラリア』 ・アリス・ノーミントン “Brideshead Revisited” ・ケン・ウェイクフィールソ、マイケル・カーリン “The Duchess” ・ドナルド・グラハム・バート、トム・レータ 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 ・ジョン・ビリントン、マーティン・ライング “Laing City of Ember” ・クリスティ・ゼア、デブラ・シャット 『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』 リアリティーを追求したドラマよりは、フィクション性の強いドラマ、装飾性の強い美術が評価される傾向があります。 ◆視覚効果賞 ○ニック・デイヴィス、クリス・コーボールド、ティム・ウェバー、ポール・フランクリン 『ダークナイト』 アカデミー賞には3作品しかノミネート枠がありませんが、この3作品はノミネート枠が5作品あるサテライト・アワードのノミネーションに完璧に重なる、というデータが出ています。 本年度のサテライト・アワードのノミネーションは以下の通り。 ・クリス・コーボールド、ケヴィン・トッド・ホーグ 『007/慰めの報酬』 ・ジョン・ネルソン、シェイン・メイハン、ダン・スデック、ベン・スノー 『アイアンマン』 ・ニック・デイヴィス、クリス・コーボールド、ティム・ウェバー、ポール・フランクリン 『ダークナイト』 ・ジェフリー・A・オクン 『地球が静止する日』 ・クリス・ゴッドフレイ 『オーストラリア』 ◆作曲賞 ◎A・R・ラフマーン( "Slumdog Millionaire") ◆歌曲賞 ○Sukhwinder Singh /A・R・ラヌマーン、Gulzar "Jaiho" (“Slumdog Millionaire”) ◆ドキュメンタリー賞 ◎“Man on Wire”(監督:ジェームズ・マーシュ) 前哨戦で圧倒的な強さを見せています。 *アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞候補15作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_11.html ◆長編アニメーション賞 ◎『ウォーリー』(監督:アンドリュー・スタントン) アニー賞では『カンフー・パンダ』が最多ノミネートになっているのが、気になるところですが、映画賞レース的には『ウォーリー』が最多受賞になることはほぼ間違いありません。これまでは、アニー賞とアカデミー賞は同じ結果になるのが常でしたが、昨年と同様に今年も別々の作品が選ばれるのかもしれません。 *アカデミー賞長編アニメーション賞候補14作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_6.html ◆外国語映画賞 △『ゴモラ』(伊)(監督:マッテオ・ガローネ) ○『バシールとワルツを』(イスラエル)(監督:アリ・フォルマン) △“The Class”(仏)(監督:ローラン・カンテ) 前哨戦でノミネートされたり、受賞したりしている『クリスマス・ストーリー』、“I’ve Loved You So Long”、“Let the Right One In”がアカデミー賞外国語映画賞各国代表の段階で選ばれていなかったり、同じく『モンゴル』がアカデミー賞では2007年度ノミネート作品だったりで、あまり参考になりません。ノミネート候補として有力なのは上の3作品でしょうか。 映画賞はたくさんありますが、アカデミー賞外国語映画賞と同じ傾向を持つ映画賞は存在していません。それだけ毎年何が来るかわからない部門だということですが、過去の受賞作を見ても、『ヒトラーの贋札』『善き人のためのソナタ』『ツォツィ』『海を飛ぶ夢』『みなさん、さよなら』など、どういう作品ならいいのか、傾向性が読み取れない部門になっています。 *アカデミー賞各国代表67作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200809/article_6.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 以上が、2008年12月半ばの私のアカデミー賞の予想になります。 授賞式の2ヶ月以上前、ノミネーションの1ヶ月以上前にしては、まあ、悪くない予想なのではないでしょうか。 アカデミー賞には、以上の各部門のほかに、録音賞、音響編集賞、メイキャップ賞、短編映画賞、短編ドキュメンタリー賞、短編アニメーション賞がありますが、これらは参考にできるデータがないので、今回は予想を見送りたいと思います。 正式なノミネーションが発表されたら、また改めて最終予想を出してみたいと思います。 これからが賞レースの本番なので、当ブログでは、随時各賞の結果をアップしていきたいと思っています。 *この記事がなかなか面白かった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓ ↓ ![]() ↑ ↑ ↑ ↑ クリックしてね! *当ブログ記事 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2008(結果):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_3.html ・サテライト・アワード2008(ノミネーション):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_5.html ・アニー賞2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_6.html ・ゴッサム・アワード2008(結果):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_7.html ・インディペンデント・スピリット・アワード(ノミネーション):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_8.html ・ナショナル・ボード・オブ・レビュー(結果):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_10.html ・ヨーロッパ映画賞(結果):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_12.html ・ワシントンDC映画批評家協会賞(結果):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_15.html ・ロサンゼルス映画批評家協会賞(結果):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_16.html ・放送映画批評家協会賞(ノミネーション):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_17.html ・ニューヨーク映画批評家協会賞(結果):http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_18.html ・映画賞レーススケジュール表2008:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_10.html ・アカデミー賞候補作品公開スケジュール:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_8.html 追記: ・第81回米国アカデミー賞ノミネーション発表!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_28.html ・第81回米国アカデミー賞 トリビア・見どころ・予想!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200901/article_29.html |
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速報!第81回アカデミー賞ノミネート(2009)
第81回アカデミー賞ノミネート(2009) ...続きを見る |
soramove 2009/01/23 21:22 |
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