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フアン・アントニオ・バヨナが2002年に発表した短編『スポンジマン』“El Hombre Esponja”。 前作の『ぼくの夏休み』“Mis vacaciones”(1999)より、物語も映像もぐっとクオリティーが上がっています。 残念なのは、物語がスペイン語の台詞で構成・進行していることで、画で見せる作品にはなっておらず、スペイン語がわからないとちょっと理解が追いつかないことです。 主人公は、夏休みにバスで野球教室(のようなもの)に通う10歳の少年ヨナタンJonathanで、コーチでバスの運転手でもあるフェフェJefeが毎日話してくれる「スポンジマン」の話を楽しみにしています。そんなヨナタンが大人になり、10歳の夏を回想しつつ、当時はわからなかったことを大人の目線で(モノローグで)語っているというのが、この作品のおおまかな設定になっています。 前半 後半 【物語】 森の中で弓を手に男の子たちが戦争ごっこをしている。 しかし、ヨナタンは、隠れるのに一所懸命で、友だちが既にいなくなってしまったことに気がつかなかった。 慌てて友だちを探そうとするが、斜面から転げ落ちてしまう。 ヨナタンを捜しに来たのか、同じようにしてフェフェも斜面を転げ落ちてきて、そこにヨナタンがしょんぼりしているのを見つける。 フェフェは、壊れかけていた弓もこっそり直して、ヨナタンを元気づける。 フェフェは、野球のコーチで、みんなを、試合グランドまでバスに乗せて行ってくれる。 フェフェは、毎日、ヒーローであるスポンジマンとオニオン・ガールの話をして、みんなを楽しませてくれる。 ある日、フェフェのガール・フレンドであるソコロがやってきて、試合にも参加して大いに盛り上がる。ソコロは、スポンジマンの物語にも自分から加わる。 そんな楽しい日々が続いたが、待ってもソコロがやって来ない日が来る。どうやらフェフェとソコロがケンカしたらしかったが、暗い雰囲気はチームのみんなにも伝染してしまう。 ある日の試合。ふと目をやると、ベンチにソコロがいる。フェフェはソコロと話しに行くが、2人は仲直りすることもなく、2人の別れは決定的になってしまう。 その日の帰り、フェフェはスポンジマンの最後の話をする。ヒーローの最後にみんな涙するばかり。 ヨナタンは、あとで、これが、この夏の終わりだっただけではなく、自分の少年時代の終わりの始まりでもあったことを悟る。 ビルの上では、夕日を浴びて、独りスポンジマンが雄たけびを上げる。 【コメント】 スペイン語がわかればいいのですが、私にはわからないので、上記の【物語】は映像から想像で補った部分があります。ラストの、ヨナタンとフェフェのやりとりでは、何かいい台詞を言っているようなのですが、残念ながらわかりません。「(オニオン・ガールを救えなかった)スポンジマンは悲しくても泣かないんだ。堪えた涙を自分のスポンジで吸い込むのさ」というようなことでしょうか。当ブログを読んでくれている人でスペイン語がわかる人がいたら、補足・解説してもらいたいのですが……。 まあ、台詞はわからないながらも、バヨナ監督の芸の細かなところを映像で見てとることはできて、例えば、「フェフェが落ち込んだのがヨナタンにも伝染し、ヨナタンの部屋に貼られた映画『スーパーマン』のポスターに窓を伝う雨の滴の影が映り、(ヨナタンの心象風景として)スーパーマンがまるで泣いているように見える」、といったシーンを指摘したりすることはできます。 この作品は、2002年の作品ながら、バヨナの最初の長編『永遠のこどもたち』(2007)につながっていて、のちの「バヨナ組」が顔を揃えつつあります。 音楽のフェルナンド・ヴェラスケスFernando Velázquezは、『永遠のこどもたち』のほか、『美しすぎる母』(2007)などの音楽も担当し、『永遠のこどもたち』でバルセロナ映画賞やゴヤ賞、ヨーロッパ映画賞にもノミネートされています。 編集のElena Ruizも『永遠のこどもたち』でゴヤ賞にノミネート、バルセロナ映画賞で受賞を果たしています。 バヨナ監督が、子供の演出がうまいということは、前作『ぼくの夏休み』“Mis vacaciones”でも見てとることができましたが、本作ではさらにうまくなっていて、これが、『永遠のこどもたち』につながることになります。 ちなみに、『永遠のこどもたち』の「永遠のこどもたち」とは、ピーター・パンとその仲間のことで(『永遠のこどもたち』の原題は「孤児院」)、「いつまでも夢見る子供じゃいられない」ことを描いた本作とは対照的で、ちょっと面白いですね。 『永遠のこどもたち』は日本での劇場公開でもかなりの話題になるはずで、そうすれば、ショート・ショート・フィルム・フェスティバルあたりで話題の監督の短編時代の作品ということで、この作品が日本語字幕つきで観られるということもあるかもしれません(ひょっとすると、『永遠のこどもたち』がDVD化された時に、特典としてこの短編が日本語字幕つきで収録されるということもあるかもしれません)。 ![]() ↑ ↑ ↑ ↑ CLICK ME! ※参考:「tantano 短編映画を楽しむ」を楽しむ ・「tantano 短編映画をたのしむ」INDEX ・「tantano 短編映画をたのしむ」 人気動画 トップ39! ◆作品データ 2002年/スペイン/20分 スペイン語台詞あり/日本語字幕なし 実写作品 *この作品は、2002年アルカラ・デ・エレナス短編映画祭(スペイン/Alcalá de Henares Short Film Festival)で最優秀男優賞(Zoe Berriatúa)を受賞しています。 ◆監督について フアン・アントニオ・バヨナ Juan Antonio Bayona 1975年、スペイン・バルセロナ生まれ。 ESCAC (Cinema and Audiovisual School of Catalunya(カタロニア映画学校))卒業。 卒業後、同校で6年間教鞭を取る。その後、スペインのミュージシャン、OBKやCamela、Ella baila solaなどのミュージック・ビデオやCMを手がけるようになる。 1999年に発表した短編“Mis vacaciones(ぼくの夏休み)”が「トゥールーズ・シネエスパーニャ」ほかの映画祭で高い評価を受け、注目を浴びる。 2007年には、ギレルモ・デル・トロのプロデュースで、セルヒオ・G・サンチェスの脚本『永遠のこどもたち』を映画化し、長編監督デビュー。 同作は、2007年カンヌ国際映画祭批評家週間に出品された後、バルセロナ映画賞作品賞・新人監督賞・女優賞・撮影賞・編集賞・音響賞・美術賞受賞、ゴヤ賞新人監督賞・オリジナル脚本賞・特殊効果賞・美術賞・メイキャップ&ヘアスタイル賞・音響賞・製作監督賞(Production Supervision)受賞、2008年度ヨーロッパ映画賞作品賞・撮影賞・作曲賞・観客賞ノミネート、2008年度米アカデミー賞外国語映画賞スペイン代表、など高い評価を受ける。 2008年には、ギレルモ・デル・トロがプロデュースするアメリカ映画“Hater”(David Moodyの同名スリラー)を監督するために渡米している。 【フィルモグラフィー】 ・1999年 “Mis vacaciones(ぼくの夏休み)”[短編] ・2001年 “Muerte(死)”(オムニバス映画“Diminutos del calvario(小さなキリスト像)”のうち) 他の監督はChiqui Carabante、Igor Legarreta、Juana Macías、Emilio Pérez、Félix Piñuela、Alber Ponte、Javier Rebollo、Sergio G. Sánchez、Jorge Torregrossa ・2002年 “El Hombre Esponja(スポンジマン)”[短編] ・2004年 “Sonorama” [ミュージック・ビデオ] ・2004年 “10 años con Camela(Camelaの10年)”[ミュージック・ビデオ] ・2005年“Cómo repartimos los amigos(友だちを共有する方法)”(“Lo echamos a suertes”のうち)[ミュージック・ビデオ] ・2005年 “Tierra de Hevia(Heviaの地球)”[ミュージック・ビデオ] ・2007年 『永遠のこどもたち』“El Orfanato” ・2010年 “Hater” |
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