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help リーダーに追加 RSS ドキュメンタリー部門も面白いゾ! 2008年度米アカデミー賞!

<<   作成日時 : 2008/11/20 12:35   >>

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 米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート最終候補15作品が発表されました(11月17日)。
 今年は、この段階で、日本でも知られている監督作品がいくつもあるということもあって、なかなか面白いラインナップになっています。

 ・ピーター・ギルバート、スティーブ・ジェームズ “At the Death House Door”
 ・エレン・クルス Ellen Kuras、Thavisouk Phrasavath “The Betrayal (Nerakhoon)”
 ・ロベルタ・グロスマン Roberta Grossman “Blessed Is the Match: The Life and Death of Hannah Senesh”
 ・ヴェルナー・ヘルツォーク 『世界の果ての出会い』“Encounters at the End of the World”
 ・Joshua Tickell “Fuel”
 ・Scott Hamilton Kennedy “The Garden”
 ・スコット・ヒックス “Glass: A Portrait of Philip in Twelve Parts”
 ・Patrick Creadon “I.O.U.S.A.”
 ・Jeremiah Zagar “In a Dream”
 ・ステイシー・ペラルタ “Made in America”
 ・ジェームズ・マーシュ“Man on Wire”
 ・Gini Reticker “Pray the Devil Back to Hell”
 ・エロール・モリス “Standard Operating Procedure”
 ・Daniel Junge “They Killed Sister Dorothy”
 ・Tia Lessin and Carl Deal “Trouble the Water”

 このうち、当ブログで既に取り上げたことがある作品が2作品あります。

 ヘルツォークの『世界の果ての出会い』は、昨年のトロント国際映画祭の“Real to Reel”部門(http://umikarahajimaru.at.webry.info/200709/article_5.html)で上映された作品で、今年の東京国際映画祭 natural TIFFでも上映された作品です。
 この作品は、ヘルツォークが、科学財団に招かれて訪れた南極で撮影したもので、極限的な世界で(研究等の目的で)生きる人々(&生き物)へのヘルツォークへの好奇心に沿って進行させつつ、最終的には観る者に人間の生き方や地球環境のことにまで考えさせる作品になっていて、今年のゴッサム・アワードでも最優秀ドキュメンタリー部門にノミネートされています(http://umikarahajimaru.at.webry.info/200810/article_4.html)。
 「何かにとりつかれた人」というのはヘルツォークの永遠のテーマでもあり、ヘルォークだったらこの程度のドキュメンタリーは比較的軽〜い気分で撮れてしまうのかもしれないのですが、それでもこんなに高く評価されてしまうのがやはりヘルツォークの非凡さゆえなのでしょうか。

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 “Man on Wire”は、パリのノートルダム寺院やニューヨークのワールド・トレード・センターなどを綱渡りして渡ったという綱渡り芸人フィリップ・プティに関するドキュメンタリーで、2008年のサンダンス映画祭で、審査員賞と観客賞を受賞した作品です。BIFA(ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200810/article_8.html)で長編ドキュメンタリー部門のみならず作品賞にもノミネートされています。今年のゴッサム・アワードでも最優秀ドキュメンタリー部門にノミネートされています(http://umikarahajimaru.at.webry.info/200810/article_4.html)。日本ではエスパーズ・サロウ配給で2009年公開予定。監督は、『キング 罪の王』のジェームズ・マーシュ。

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 そのほかの作品は以下の通りです。

 ・ピーター・ギルバート、スティーブ・ジェームズ “At the Death House Door”
 1982年から1995年まで、テキサス州のハンツビル刑務所で監房牧師として死刑囚95人の最期をみとった聖職者キャロル・ピケットをドキュメントした作品で、監督のピーター・ギルバートとスティーブ・ジェームズは、日本でも『フープ・ドリームス』と『スティーヴィー』が紹介されているドキュメンタリー作家です。本作は2008年アトランタ フィルム&ビデオ フェスティバルで長編ドキュメンタリー部門審査員特別賞を受賞しています。
 *参考サイト シネマトゥデイ:http://cinematoday.jp/page/N0013929

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 ・エレン・クルス Ellen Kuras、Thavisouk Phrasavath “The Betrayal (Nerakhoon)”
 エレン・クルスが、ベトナム戦争による混乱の中、ラオスからアメリカへと移住したThavisouk Phrasavath(共同監督としてもクレジットされていて、ナレーションも担当)の家族に23年間にも渡って密着取材して完成させたドキュメンタリーで、今年のサンダンス映画祭で話題になった作品でもあります。
 監督のエレン・クルスは、『僕らミライへ逆回転』(2008)、『ルー・リード/ベルリン』(2007)、『ブロック・パーティ』(2006)、『ニール・ヤング/ハート・オブ・ゴールド』(2006)、『ボブ・ディラン「ノー・ディレクション・ホーム」』(2005)、『エターナル・サンシャイン』(2004)、『コーヒー&シガレッツ』(2003)、『アナライズ・ユー』(2002)、『ブロウ』(2001)、『サマー・オブ・サム』(1999)、『I SHOT ANDY WARHOL』(1996)、『アンジップト』(1994)、『恍惚』(1992)などの撮影を手がけたベテラン撮影監督で、本作が監督デビューとなります。
 *参考サイト バラエティ・ジャパン:http://www.varietyjapan.com/news/business/2k1u7d000000al4d.html

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 ・ロベルタ・グロスマン Roberta Grossman “Blessed Is the Match: The Life and Death of Hannah Senesh”
 この作品は、第二次世界大戦でパレスチナ人によるヨーロッパのユダヤ人救出作戦に参加し、逮捕され、拷問された後で処刑されたハンナ・セネシュの生涯を描いた作品で、ドキュメンタリーというよりは、彼女の人生を(東欧系のキャストを使って)ドラマ仕立てで描いた作品のようです。
 ロベルタ・グロスマンは、BSで『母なる大地を守りたい〜立ち上がるアメリカ先住民〜』“Homeland: Four Portraits of Native Action”(2005)が放映されたことがあります。
 なお、ハンナ・セネシュについては、メナヘム・ゴーラン監督の手でもドラマ化(『ハンナ・セネシュ』(1988))されたこともあります。
 *参考サイト 「ハンナ・セネシュの生涯」:http://www.annesrosechurch.com/lifeofhanna.htm

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 ・Joshua Tickell “Fuel”
 本作は、アメリカの石油産業と自動車産業と政府の密接な関係を暴きつつ、風力発電やバイオ・エネルギーなど、石油に代わる新しいエネルギー資源に関してドキュメントした作品。監督のJoshua Tickellは、この映画のために最初の2年をヴァンの中で過ごし、11年かけて本作を完成させた。

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 ・Scott Hamilton Kennedy “The Garden”
 1992年のLA暴動で荒んでしまった地域を活性化させるためにLAサウス・セントラルで始められた14エーカーのコミュニティー・ガーデンは、米国内でも奇跡と呼ばれるほどの成功を収め、地域の食料供給に大いに貢献した。しかし、現在、その農場をブルドーザーがつぶしていっている。地元のオアシスとなっていたコミュニティー・ガーデンに何が起こっているのか……。
 ダニー・グローヴァーやダリル・ハンナも出演。
 監督のScott Hamilton Kennedyは、演劇部もなく、20年以上演劇を上演して来なかった高校で演劇(ソーントン・ワールダー『わが町』)を上演しようと奮闘する2人の教師を追ったドキュメンタリー“OT: Our Town”(2002)で、数々の賞を受賞している。
 *公式サイト(英語):http://www.blackvalleyfilms.com/

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 ・スコット・ヒックス“Glass: A Portrait of Philip in Twelve Parts”
 2007年のフィリップ・グラス生誕70年記念作品。“Glass: A Portrait of Philip in Twelve Parts”は、『シャイン』『ヒマラヤ杉に降る雪』『アトランティスのこころ』で知られる監督スコット・ヒックスによる、音楽家フィリップ・グラスに関するドキュメンタリー。監督のスコット・ヒックスは、息子に「絶対観ろ」と言われて観た『コヤニスカッティ』でフィリップ・グラスのファンになったのだとか。ウディ・アレンも出演。

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 ・Patrick Creadon “I.O.U.S.A.”
 拡大する軍事費、多額の対外債務……。崩壊寸前のアメリカ経済に迫る。2008年サンダンス映画祭出品作。

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 ・Jeremiah Zagar “In a Dream”
 フィラデルフィアで30年以上にわたってモザイク・アーティストとして活躍するイザイア・ザガー(Isaiah Zagar)と妻ジュリア・ザガーに関するドキュメンタリー。監督は彼らの息子でもあるジェレマイア。
 ジェレマイアは、8歳の時に父に連れられて観たテリー・ギリアムの『バロン』で映画に興味を持ち、これまで短編映画や短編アニメーションを手がけたりしていたが、長編作品の監督はこれが初めて。
 本作は、フィラデルフィア映画祭2008で審査員賞、ウッドストック映画祭2008で審査員賞&編集賞などを受賞しています。
 *イザイア・ザガー公式サイト(英語):http://www.isaiahzagar.org/

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 ・ステイシー・ペラルタ “Made in America”
 南LAでアフリカ系アメリカ人がいかにしてギャングになっていくか、という、状況が人に及ぼす影響について考察した作品。
 監督は、『ライディング・ジャイアンツ』(2004)、『DOGTOWN & Z-BOYS』(2001)の監督で、『ロード・オブ・ドッグタウン』(2005)の脚本も手がけたステイシー・ペラルタ。
 フォレスト・ウィティカーも出演。

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 ・Gini Reticker “Pray the Devil Back to Hell”
 リベリアで、平和のために立ち上がり、国家初の女性元首を立てようと奮闘する女性運動グループを追ったドキュメンタリー。
 監督のGini Retickerは、上記“The Betrayal (Nerakhoon)”の共同プロデューサーでもある。

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 ・エロール・モリス “Standard Operating Procedure”
 アブグレイブ刑務所内での捕虜虐待に関するドキュメンタリー。2008年ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品されて、銀熊賞受賞。
 監督は、“A Brief History of Time(ホーキング、宇宙を語る)”(2001)、『フォッグ・オブ・ウォー マクマナラ元米国防長官の告白』(2003)などで知られるエロール・モリス。

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 ・Daniel Junge “They Killed Sister Dorothy”
 ブラジルの熱帯雨林で、30年にもわたって、環境保護の観点から地主や森林伐採業者と闘ってきたカトリックのシスターDorothy Stang(当時73歳)が殺された事件の背景に迫る。
 2008年SXSW映画祭(1995年からテキサスで開催されている映画祭)でドキュメンタリー部門グランプリ&観客賞受賞。
 ナレーションはマーティン・シーン。

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 ・Tia Lessin and Carl Deal “Trouble the Water”
 洪水で大きな被害を被ったニューオリンズで、生きるとはどういうことかを身を持って示そうとするラップ・アーティスト夫婦に関するドキュメンタリー。
 サンダンス映画祭2008ドキュメンタリー部門でグランプリ受賞。今年のゴッサム・アワードでも最優秀ドキュメンタリー部門にノミネートされています(http://umikarahajimaru.at.webry.info/200810/article_4.html)。
 監督のTia Lessinは、『ボウリング・フォー・コロンバイン』『華氏911』『ボブ・ディラン「ノー・ディレクション・ホーム」』『ザ・フー:アメージング・ジャーニー』などの作品の製作に関わっている人物で、監督作としてはこれが2作品目。共同監督のCarl Dealはarchivistとして『ボウリング・フォー・コロンバイン』や『マーダーボール』に関わった人物で、監督を手がけるのはこれが初めて。

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 第二次世界大戦、アメリカ経済、環境問題、社会運動、アーティスト等々、実に様々なジャンルのドキュメンタリーが並んでいます。

 最終ノミネーション5本に選ばれる作品には―

 ・歴史(的事件)に隠された真実に迫った作品(『フォッグ・オブ・ウォー』『ブラック・セプテンバー』等)
 ・アメリカの現在を鋭くえぐってみせるような作品(『不都合な真実』『エンロン:巨大企業はいかにして崩壊したのか?』『ダーウィンの悪夢』『ボウリング・フォー・コロンバイン』『チャレンジ・キッズ』等)
 ・知られざる国・地域の知られざる実情を描いた作品(『未来を写す子どもたち』『プロミス』等)
 ・題材のユニークさが光る作品(『マーダーボール』『スーパーサイズ・ミー』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』等)
 ・個性的な人物をクルーズ・アップした作品(『マイ・アーキテクト』『戦場のフォトグラファー』『モハメド・アリ かけがえのない日々』『クリントンを大統領にした男』等)
 ・誰も観たことがないような驚異の映像を収めた作品(『WATARIDORI』『皇帝ペンギン』等)

 などが、ノミネート5作品に選ばれるようです。
 そんな傾向を踏まえつつ、これらの中からノミネート5作品を予想してみると、以下の通りです。

 ・ピーター・ギルバート、スティーブ・ジェームズ “At the Death House Door”
 ・ヴェルナー・ヘルツォーク 『世界の果ての出会い』“Encounters at the End of the World”
 ・エロール・モリス “Standard Operating Procedure”
 ・ジェームズ・マーシュ“Man on Wire”
 ・Tia Lessin and Carl Deal “Trouble the Water”

 ヘルツォーク作品は、入るかどうかはわかりませんが、まあ、希望的観測をも含めての予想ということです。

 ちなみに、昨年度の最終候補15作品は以下の通り。○がノミネート作品、◎が受賞作品です。

 ・Tricia Regan “Autism: The Musical”
 ・Phil Donahue、Ellen Spiro “Body of War”
 ・Daniel G. Karslake “For the Bible Tells Me So”
 ・トニー・ケイ “Lake of Fire”
 ・Bill Guttentag、Dan Sturman “Nanking(南京)”
 ○チャールズ・ファーガソン“No End in Sight”
 ○リチャード・ロビンス“Operation Homecoming: Writing the Wartime Experience”
 ・ウェイジュン・チェン 『こども民主主義』“Please Vote for Me”
 ・Bill Haney “The Price of Sugar”
 ・Peter Raymont “A Promise to the Dead: The Exile Journey of Ariel Dorfman”
 ・Richard Berge、Bonni Cohen、Nicole Newnham “The Rape of Europa”
 ○マイケル・ムーア 『シッコ』“Sicko”
 ◎アレックス・ギブニー『「闇」へ』“Taxi to the Dark Side”
 ○アンドレア・ニックス、ショーン・ファイン 『ウォー・ダンス/響け僕らの鼓動』“War/Dance”
 ・スティーブン・オカザキ 『ヒロシマナガサキ』“White Light/Black Rain”


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 *追記:
 ・今回の最終候補の中に、Bill Maherの "Religulous"、Marina Zenovichの "Roman Polanski: Wanted and Desired" 、アレックス・ギブニーの“Gonzo”が入っていないじゃないかという声もあるようです。

 ・今回の最終候補の中には、過去に長編ドキュメンタリー賞候補として挙がっていてしかるべきだったのに、入っていなかった3人の名前、スティーブ・ジェームズ(『フープ・ドリームス』)、エロール・モリス( "Thin Blue Line")、ヴェルナー・ヘルツォーク("Grizzly Man")が入っている。 (『フープ・ドリームス』に関しては、この作品が1994年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞候補にも挙がらないというのはおかしいんじゃないかということで大きな非難があり、翌年より、長編ドキュメンタリー部門の選考方法が見直されることになった、と伝えられています。)

 ・最終候補作品のうち、ヘルツォークの『世界の果ての出会い』は、既に10000ドル以上の大ヒットとなっている。

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