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zoom RSS ローラン・カンテ監督について調べてみました!

<<   作成日時 : 2008/06/01 20:15   >>

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 今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したフランスの映画監督ローラン・カンテについて調べてみました。

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 ◆プロフィール
 1961年、フランス西部のドゥー=セーヴル県メル生まれ。
 両親は学校の先生。
 マルセイユの学校で、オーディオ・ヴィジュアルについて学んだ後、1984年にIDHECに進む。ここで、ジル・マルシャン(『誰がバンビを殺したの?』)やヴァンサン・ディエッチ(『ディディーヌ』)らと出会う。
 卒業後は、TVのためのドキュメンタリー制作に関わった後、マルセル・オフュルス監督のアシスタント・ディレクターとなる。
 いくつかの中短編を経て、1997年の『ヒューマンリソース』で長編監督デビュー。
 作品は、短編時代から高い評価を受けていて、1994年の短編“Tous à la manif”はジャン・ヴィゴ賞を受賞し、1999年の初長編『ヒューマンリソース』ではルイ・デリュック賞やセザール賞の新人監督賞を受賞。第三長編“Vers le sud(Heading South)”は2005年ベネチア国際映画祭のコンペ部門に選出された。パルムドールを受賞した“Entre les murs(The Class)”は、第四長編となる。
 社会問題を背景にしたドキュメンタリー風のタッチの作品が多く、キャストにはあまり職業俳優は起用しない。いくつかの作品では自らの家族をキャストに起用している。

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 ◆フィルモグラフィー

 ・1987年 “L'Étendu”(短編) [撮影] (監督:ジル・マルシャン(Gilles Marchand))
 出演:ドニ・ラヴァン、フランソワーズ・ミショー

 ・1990年 “Un été à Beyrouth, 1990”[TV]
 レバノン戦争についてのドキュメンタリー

 ・1993年 “Joyeux Noël”(短編) [撮影] (監督:ジル・マルシャン)
 クラクフ映画祭国際批評家連盟賞受賞

 ・1994年 “Tous à la manif”(短編)[監督・脚本]
 出演:John Bertin、Michel Brun
 ジャン・ヴィゴ賞短編部門グランプリ受賞

 ・1994年 “Veillées d'armes”[アシスタント・ディレクター](監督:Marcel Ophüls)
 モントリオール国際映画祭国際批評家連盟賞受賞、セザール賞最優秀ドキュメンタリー賞ノミネート

 ・1995年 “Jeux de plage”(短編)[監督・脚本]
 出演:Jean Lespert 、ジャリル・レスペール、Julia Minguet、Mario Bels、Adoum Gombo、Arnaud Massard、Jeff Michelas 、Sophie Rimbaud、Caroline de Tugny

 ・1997年 “Les Sanguinaires”(中編)[監督・脚本]
 出演:Frédéric Pierrot、Catherine Baugué、ジャリル・レスペール、Marc Adjadj
 共同脚本:ジル・マルシャン
 ハル・ハートリーの『ブック・オブ・ライフ』、ツァイ・ミンリャンの『Hole』、ウォルター・サレス&ダニエラ・トマスの『リオ、ミレニアム』、アラン・ベルリネールの“Le Mur”などと同じく、ミレニアムをテーマにしたシリーズ“2000 vu par …”シリーズの1編。
 【物語】 フランソワは、1999年12月に、世紀末の混乱を避けて、パリから孤島に移り住み、家族や友人、その子供たちを呼び寄せる。しかし、退屈さから口論が始まり、徐々に緊張が高まっていく……。

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 ・1998年 “Cette nuit”(中編)[撮影](監督:ヴァンサン・ディエッチ(Vincent Dietschy))

 ・1999年 『ヒューマンリソース』“Ressources humaines(Human Resources)”(仏・英)[監督・脚本]
 出演:ジャリル・レスペール、Jean-Claude Vallod、Chantal Barré、Véronique de Pandelaère、Michel Begnez、Lucien Longueville
 共同脚本:ジル・マルシャン
 撮影:マチュー・ポアロ=デルペッシュ
 【物語】 経営学を学ぶフランクは、研修生として、自分の父親も30年働いている故郷の工場にやってくる。週39時間労働を週35時間労働にしようという動きの中で、労使がもめている時期にあたり、フランクは人事課に配される。彼は、労使関係を調整しようと労働者に質問表を配ったりするが、彼の上司が父を含む労働者のリストラを行なおうとしているのを知る。このことが、労働者と、そして父親との、関係性に亀裂を生じさせる。
 【受賞歴】 1999年サン・セバスチャン国際映画祭新人監督賞受賞、テッサロニキ映画祭最優秀脚本賞受賞、2000年ルイ・デリュック賞新人監督賞受賞、ヨーロッパ映画賞ディカヴァリー賞(European Discovery of the Year)受賞、ブエノスアイレス国際映画祭グランプリ&観客賞受賞、2001年セザール賞新人監督賞・新人賞(ジャリル・レスペール)受賞、リュミエール賞新人男優賞(Meilleur espoir masculin)(ジャリル・レスペール)受賞、その他受賞歴多数
 日本ではシネフィル・イマジカで放映。

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 ・2001年 『タイム・アウト』“L'Emploi du temps(Time Out)”[監督・脚本]
 出演:オーレリアン・ルコワン(Aurélien Recoing)、Karin Viard、Serge Livrozet、Jean-Pierre Mangeot、Monique Mangeot、Nicolas Kalsch、Marie Cantet、Félix Cantet
 共同脚本:ロバン・カンピヨ(Robin Campillo)
 撮影:ピエール・ミロン(Pierre Milon)
 【物語】 顧問コンサルタントをしていたヴァンサンは、会社から解雇されるが、それを家族や友人に打ち明けることができない。会社で仕事をしているフリをしてでかけるが、実は車で時間をつぶしたり、オフィス・ビルで他人が働いているのを覗き見しているだけ。やがてお金がなくなり、「国連に新しい仕事を見つけたが、手持ちの金がない」などと嘘をついて友人にお金を借りたりするようになる。嘘が嘘を呼び、次第にヴァンサンはのっぴきならない状況に追い込まれていく……。
 【受賞歴】 2001年ベネチア国際映画祭ドンキホーテ賞受賞、ヨーロッパ映画賞脚本賞ノミネート、2003年インディペンデント・スピリット・アワード最優秀外国映画賞ノミネート。
 日本ではシネフィル・イマジカで放映。

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 ・2005年 “Vers le sud(Heading South)”[監督・脚本]
 出演:シャーロット・ランプリング、カレン・ヤング、Louise Portal 、Ménothy Cesar、Lys Ambroise 、Jackenson Pierre Olmo Diaz、Wilfried Paul
 共同脚本:ロバン・カンピヨ
 原作:ダニー・ラファリエール(Dany Laferrière) “La chair du maître and short stories”
 【物語】 1970年代後半。ボストンでフランス文学を教えるエレン、満たされない主婦であるブレンダ、性的なフラストレーションをかかえているスーという40代〜50代の北米の女性3人がハイチに旅行する。彼らの目的は、ここハイチで日ごろの鬱憤を解消することで、わずかなお金で地元の青年と楽しめることに喜びを見出していた。しかし、彼らは、すぐ近くに貧困があり、ハイチが独裁者ベベ・ドクに支配されているということを全く認識していなかった……。
 【受賞歴】 2005年ベネチア国際映画祭コンペ部門出品。'CinemAvvenire' Award、マルチェロ・マストロヤンニ賞(Ménothy Cesar)受賞。

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 ・2008年 “Entre les murs(The Class)” [監督・脚本]
 原作・脚本・主演:フランソワ・ベゴドー(François Bégaudeau)
 共同脚本:ロバン・カンピオ
 撮影:ピエール・ミロン
 編集:ロバン・カンピヨ
 フランソワ・ベゴドー自身の経験に基づいて書かれた、同名の小説の映画化(ベゴドーとしては3番目の小説。2006年刊)。経済的に恵まれない地域に設けられたパリの教育優先校(ZEP)が舞台で、フランソワ=ドルト校に通う生徒からオーディションで24人を選んで、出演者とした。原作者フランソワ・ベゴドー自身が主役の教師役を務めた。原題は「壁の間」という意味で、転じて「教室」を指す。
 【物語】 アジア系、アフリカ系、アラブ系など様々な人種の生徒がいるZEPの学校で、フランス語を教えるフランソワ(フランソワ・ベゴドー)は、授業を通して、社会問題、貧困と結びついた人種問題と直面することになる。
 フランスでは2008年秋に劇場公開予定。
 【受賞歴】 2008年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。

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 ◆ローラン・カンテの仲間たち

 ・ジル・マルシャン(Gilles Marchand)
 1963年生まれ。ジル・マルシャンは、ドミニク・モルの『ハリー、見知らぬ友人』(2000)やジャン=ポール・ラプノー『ボン・ヴォヤージュ』(2003)、セドリック・カーンの『チャーリーとパパの飛行機』(2005)の脚本を手がけ、第11回フランス映画祭横浜2003で上映された『誰がバンビを殺したの?』(2003)で監督デビュー。ローラン・カンテとは、IDHECの同級生で、互いの監督作を手伝うなど、共同で作品を作っている(フランソワ・オゾンとマリナ・ドゥ・ヴァンのような関係?)。現在はFEMISで後進の指導にも当たっている。スリラー、または「日常生活に潜む狂気」をテーマとした作品を得意とする。

 ・ジャリル・レスペールJalil Lespert
 。1976年パリ生まれ。ジャリル・レスペールは、ローラン・カンテの短編“Jeux de plage”が俳優デビューした男優。ローラン・カンテ作品に3作連続で出演し、『ヒューマンリソース』でセザール賞やルイ・デリュック賞を受賞して、広く知られるようになる。他の出演作には『発禁本 SADE』(2000)、『アイドル 欲望の饗宴』(2002)、『巴里の恋愛協奏曲』(2003)などがある。

 ・ロバン・カンピヨ(Robin Campillo)
 1962年モロッコ生まれ。『タイム・アウト』(2001)でローラン・カンテと共に脚本を手掛けたロバン・カンピヨは、『タイム・アウト』で編集も担当しているほか、 “Les Sanguinaires”(1997)以降のローラン・カンテのすべての作品の編集と『タイム・アウト』以降3作品の脚本に携わっている。2004年には『奇跡の朝』で監督デビュー。そのほかの作品として、2003年『誰がバンビを殺したの?』(編集)がある。ユニークな設定で始まる物語を好む。

 ・ピエール・ミロン(Pierre Milon)
 ピエール・ミロンは、『ヒューマンリソース』を除くローラン・カンテの全作品の撮影を担当している撮影監督。そのほかの作品には、エリック・ゾンカの『さよならS』(1999)、『誰がバンビを殺したの?』(2003)などがある。

 ・キャロル・スコッタ(Carole Scotta)
 1992年に映画会社Haut et Courtを設立。“Sanguinaires”(1997)以降のローラン・カンテのすべての作品の製作をプロデュースする。
 他の製作作品に、アラン・ベルリネールの『ぼくのバラ色の人生』(1997)、ハル・ハートリーの『ブック・オブ・ライフ』(1998)、ウォーター・サレスの『ビハインド・ザ・サン』(2001)[アソシエイト・プロデューサー]、オリヴィエ・メガトンの『レッド・サイレン』(2002)、ジル・マルシャンの『誰がバンビを殺したの?』(2003)、エミリー・ヤングの『キス・オブ・ライフ』(2003)[共同製作]、ロバン・カンピヨの『奇跡の朝』(2004)、エマニュエル・ベルコの“Backstage”(2005)などがある。
 Haut et Courtとしては、ラース・フォン・トリアーの『キングダム』、オリヴィエ・アサヤスの『イルマ・ヴェップ』、ツァイ・ミンリャンの『Hole』、フランソワ・オゾンの『まぼろし』、マイケル・ウィンターボトムの『イン・ディス・ワールド』、ジュリー・ベルトゥチェリの『やさしい嘘』、ピート・トラヴィスの『オマー』、ハニ・アブ・アサドの『パラダイス・ナウ』、ジェイソン・ライトマンの『サンキュー・スモーキング』などの配給も手掛ける。

 ・キャロリーヌ・ベンジョー(Caroline Benjo/キャロライン・ベニョ)
 映画会社Haut et Courtのプロデューサー。1997年以降の作品(“Sanguinaires”以降)のプロデュースを手掛ける。

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 監督のフィルモグラフィー等を調べてみたところでは、“Entre les murs(The Class)”は、金八先生や山田洋次の『学校』というよりは、緒方明の『独立少年合唱団』、もしくはクリストフ・バラティエの『コーラス』をもっとドキュメンタリー・タッチにした感じの作品、あるいは、ニコラ・フィリベールの『etre et avoir ぼくの好きな先生』をもっとちょっとフィクションぽくして舞台を小学校からそれより上の学校に変えたという感じの作品、でしょうか。

 監督のローラン・カンテは、1984年にIDHEC(フランス高等映画学院、現・FEMIS(フランス国立映画学校))に入学したということですが、3年制のIDHECは、1985年を最後に4年制のFEMISに再編されているので、ローラン・カンテはIDHECのほとんど最後の学生ということになります。

 最終学年にローラン・カンテがIDHECからFEMISに編入になったのかどうかはわかりませんが、ジル・マルシャンやロバン・カンピヨらと協力して作品を作るやりかたは、フランソワ・オゾンとマリナ・ドゥ・ヴァンのような、同窓生・同級生らで役割を分担して協力し合って作品を制作するFEMISの卒業生の映画製作スタイルと同じものと、見て取れます(つまり、今回のパルムドールは、IDHEC末期、FEMIS最初期の映画製作スタイルによる初めてのパルムドール受賞ということになります)。
 シャーロット・ランプリングの起用などを見ても、フランソワ・オゾンとの近しさを感じさせます。

 同世代の監督には、IDHEC卒業生のアルノー・デプレシャン(1960年生まれ)、パスカル・フェラン(1960年生まれ)、エリック・ロシャン(1961年生まれ)、オリヴィエ・デュカステル(1962年生まれ)、ドミニク・モル(1962年生まれ)、ギャスパー・ノエ(1963年生まれ)、セドリック・カーン(1966年生まれ)ら、さらにIDHEC卒ではないヤン・クーネン(1964年生まれ)、ルシール・アザリロヴィック(1961年生まれ)、FEMIS卒のフランソワ・オゾン(1967年生まれ)がいますが、彼らが早い時期にスター監督になったのに対し、ローラン・カンテは若干出遅れていて(IDHECとFEMISの変わり目に巡り合わせた不運?)、そういう意味で、似たようなポジションにいたロバン・カンピヨ(1962年生まれ)やジル・マルシャン(1963年生まれ)と協力しやすかったということもあるかもしれません。
 映画監督の感覚としては、(各作品の内容紹介を読んだだけですが)1960年代初め生まれ/IDHEC末期の一群のフランス人監督(オリヴィエ・デュカステル、ドミニク・モル、ロバン・カンピヨ、ジル・マルシャン、セドリック・カーンら)と近しいものを感じさせます。

 日本ではまだどの映画会社が買ったとかいう情報は聞こえてきませんが、パルムドール受賞というだけで独立系大手(アスミック・エース、ギャガ、ショーゲート、東宝東和、日活等)が手を出すかどうか、作品の内容や反響からするとちょっと微妙な感じがしますね。
 一番ありえそうなのは、ロングライド(『奇跡の朝』や「ニコラ・フェリベール レトロスペクティブ」を手掛けた)あたりがどこかと手を組んで買い付け、ムヴィオラが宣伝するという形ですが、どうでしょうか。ローラン・カンテの過去の作品を放映しているシネフィル・イマジカが買い付けて、他の映画会社に配給を委託するという可能性、シネカノン、アルバトロス、セテラ、ビターズ・エンドあたりが買うという可能性も考えられます。ちょっと前ならユーロスペースが買ってもいい、というか、いかにもユーロスペースに相応しい作品なのですが、現在ユーロスペースはほとんど外国映画の配給をやっていないので、可能性は低そうです。
 まあ、いずれにしても、フランス公開が秋なので、日本公開はどうみても来春以降なのですが……。
 ちなみに、カンヌのパルムドールを受賞していて、日本で劇場公開されなかったのは1975年、1973年、1972年などいくつかあります。オーソン・ウェルズの『オセロ』(1952)は日本で劇場公開されるまでに40年もかかってしまいましたが、今の日本ではさすがにパルムドールくらいは劇場公開されると思います、たぶん……。

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