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zoom RSS 横尾忠則が描く「かちかち山」 『堅々獄夫婦庭訓』

<<   作成日時 : 2007/11/18 01:00   >>

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 横尾忠則さんのウェブサイト(http://www.tadanoriyokoo.com/)を発見しました!

 プロフィール、オンライン・ショップはもちろん、ブログ(YOKOO’S VISION)もあって、こまめに更新されています。有名人・著名人との交流、思い出話、なんかが何でもないことのようにさらりと披露されてて、面白い。そんなに長くなくて、読みやすいし、そのまま雑誌コラムにしたらちゃんとお金になっちゃうのにな〜。
 POST OFFICEというコンテンツもあって、ここには友人・知人からの絵ハガキが写真入りで紹介されています。もちろん、送った本人の了解済みなのでしょうが、永井豪や宝塚時代の壇れい、中尊寺ゆつこからのものもあって、何度も「!」となってしまいます。

 アートに興味のある人にはよく知られているサイトらしいのですが、私は、下記の彼の短編映画を紹介するために、検索してて、このサイトを見つけたんですね。面白くって「お気に入り」に登録してしまいました。ま、ここにも短編映画についての記載はなかったんですが。

 次の動画は、高橋睦郎著『日本民話グラフィック』に収められている「かちかち山」を原作とした『堅々獄夫婦庭訓(Kachi Kachi Yama)』(カチカチヤマオトメノスジミチ)です。1度観ただけではよくわからないかもしれませんが、2度3度と観ると、じわじわと見えてくるものがあります。

 

 【解説】
 若干わかりにくいところがありますが、おとぎ話「かちかち山」と制作当時誰もが知っていたと思われるシンボル(映画と、各俳優のキャラクター)を手がかりにすると、かなり読み解くことができます。

 物語は、アラン・ドロン扮するジゴロが、寝静まった豪邸を襲い、夫人(エリザベス・テーラー)を殺して金を奪う。
 残された夫(リチャード・バートン)は、ビートルズの助けを借りて、女(ブリジット・バルドー)と逃避行を続けるジゴロを追う。というもの。

 「かちかち山」で言うなら、アラン・ドロンがタヌキで、殺されてしまうエリザベス・テイラーがおばあさん、リチャード・バートンがおじいさん、ビートルズがタヌキへの復讐を買って出るウサギということになります。
 追跡の舞台は、西部、空、海と3度かわりますが、これも「かちかち山」の「タヌキの背負ったかやにウサギが火をつける」パート、「火傷したタヌキにウサギが薬だと言って唐辛子を塗りこむ」パート、「タヌキが泥舟に乗せられる」パートと、構成上対応しています。

 アラン・ドロンは、もちろん『太陽がいっぱい』(1960)のイメージで、リチャード・バートンとエリザベス・テイラーは『クレオパトラ』(1963)からの引用で、2人は同作でアントニーとクレオパトラを演じています。ブリジット・バルドーとビートルズに関しては具体的な作品は挙げられませんが、それぞれファム・ファタルとイギリスの当時の人気者というイメージを重ねているのでしょう。『イエロー・サブマリン』が発表されるのは、1968年だから、ビートルズにとってちょっと予言的な作品でもあります。

 物語の最後は、おとぎ話を離れ、「ジゴロが女の尻に敷かれる形となって、家におさまり、涙を流している」ということを意味しているようです。

 面白いのは、「かちかち山」の物語をこういう風に読み替えることができると提示していることで、案外、本来の「かちかち山」は、こういうこと、すなわち、「妻を寝盗られ、殺された夫が他人の力を借りて復讐する話」を元にしたものであり、それを子ども向けに語り直したもの、なのかもしれません。

 絵画や写真、演劇などを勉強してて、映画に進んだ映画作家というのは多いですのが、グラフィック・デザインをやっていて映画作家になったという人はあまり聞きません(最近では信藤三雄がいますが)。アンディ・ウォーホルも映画を撮っていますが、アニメーションを制作してはいません。
 だからなのでしょうか。このグラフィック感覚、色彩感覚はとても新鮮で、面白かったですね。

 横尾忠則自身は、この作品で満足したのか、挫折したのか、これを最後に映画製作をやめてしまい、三島由紀夫に接近したり、天井桟敷に参加したりして、次のステージに向かうことになります。

 最後に、この映画の中で、原作者・高橋睦郎自身が繰り返し歌っている詩を再録しておきましょう。これを入れたおかげで、「古くから続いていて、今も逃れることができない、男と女の業の物語」といったニュアンスが加味されてしまいました。これがなければ、「ポップでグラフィックなアニメーション」ということで済んでいたのでしょうが、こういうものを入れてしまいたくなってしまうところが横尾忠則の横尾忠則たるゆえんなのでしょう。

 これはこの世のことならず
 いんじ(?)昔の物語
 空言なれど恐ろしい無限地獄の物語
 幼心にむごかれど
 ゆく末よかれと聞かすなり
 されば世間も言うように
 愛しい子どもは旅させよ

画像

 ◆作品データ
 1965年/日本/8分17秒
 日本語歌詞あり・台詞なし
 アニメーション

 *この作品は、DVD『YOKOO’S 3 ANIMATION FILMS 横尾忠則 アニメーション集 64-65』に収録されています。

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 ◆監督について

 横尾忠則
 グラフィック・デザイナー、美術家。
 グラフィック・デザインの世界に、土俗性、エロス、ポップ感覚を持ち込み、衝撃を与える。
 グラフィック・デザイナーとして、ポスター、レコード・ジャケット、雑誌表紙、相撲力士の化粧廻しなど幅広く活動し、また、デザインの仕事以外でも、油絵から立体まで、多様な手法・技法を使って数多くの作品を発表し、モーリス・ベジャールの舞台美術も手がけた。
 多くのジャンルの作家と交流があり、自らも多様なジャンルで活躍している。ごく短期間ではあるが、俳優としてテレビ・ドラマや映画にも出演し、短編映画も発表した。
 国際的な評価も高く、世界各地で個展が開催されている。
 故郷である西脇市の岡之山美術館(http://www.nishiwaki-cs.or.jp/okanoyama-museum/)には、作品が常設展示されている。

 1936年 兵庫県多可郡西脇町(現在の西脇市)に生まれ。幼いころから絵本の模写をしていたという。
 1943年 西脇国民学校入学。マンガを描くようになりマンガ雑誌に投稿したりもする。
 1952年 兵庫県立西脇高等学校入学。この頃、通信教育でイラストを学び、油絵やポスター制作を描くようになる。
 1956年 作品に注目したデザイナー灘本唯人の推薦により、神戸新聞社にグラフィック・デザイナーとして入社。
 1958年 第8回日宣美展で奨励賞受賞
 1960年 上京。日本デザインセンターに入社(〜64)。その後、独立し、グラフィック・デザイナーとして活躍する。
 1967年 寺山修司の「天井棧敷」に参加。
 1969年 主演映画『新宿泥棒日記』(監督:大島渚)が公開される。第6回パリ青年ビエンナーレ展版画部門でグランプリ受賞。
 1970年 写真を始める。
 1974年 テレビ・ドラマ「寺内貫太郎一家」にレギュラー出演(タイトル・デザインも手がける)。篠山紀信とインド旅行をし、この後、度々インドを訪れるようになる。
 1980年 ニューヨーク近代美術館で開催されたピカソ展に衝撃を受け、「絵画制作の方向へ自らの道を見出した」と記者に語ったことが、いわゆる「画家宣言」として受け取られることになった。以後、絵画作品を精力的に発表。
 1984年 横尾作品を展示する岡之山美術館が故郷・西脇市にオープン。モーリス・ベジャールが主宰するベルギー国立20世紀バレエ団 ミラノスカラ座公演「ディオニソス」の舞台美術を担当。
 1987年 兵庫県文化賞受賞
 1995年 毎日芸術賞受賞
 2000年 ニューヨークADO 「ホール・オブ・フェイム」(殿堂入り)
 2001年 紫綬褒章授与
 2007年夏 「デザイン廃業」宣言

 【フィルモグラフィー】
 ・1964年 『アンソロジー No.1』(短編) [監督]
 ・1964年 『KISS KISS KISS』(短編) [監督]
 ・1965年 『堅々獄夫婦庭訓(Kachi Kachi Yama)』(短編) [監督]
 ・1969年 『新宿泥棒日記』(監督:大島渚) [出演]
 ・1969年 『ヤング・パワーシリーズ 新宿番外地』(監督:帯盛廸彦) [出演]
 ・1971年 『男一匹ガキ大将』(監督:村野鉄太郎) [出演]
 ・1977年 『僕は天使ぢゃない』(監督:あがた森魚) [出演]
 ・1980年 『小さな胸の五円玉』(監督:吉川一義) [美術]
 ・1985年 “Mishima: A Life in Four Chapters”(監督:ポール・シュレーダー)  [出演]

 *参考サイト
 ・公式サイト:http://www.tadanoriyokoo.com/
 ・横尾忠則に関するWikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B0%BE%E5%BF%A0%E5%89%87
 ・兵庫人挑む:http://www.kobe-np.co.jp/info/hyogo_jin/26.shtml

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