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zoom RSS シュール? ルネ・ラルー 『かたつむり』

<<   作成日時 : 2007/05/08 12:06   >>

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 『ファンタスティック・プラネット』で知られるルネ・ラルーの初期の短編で、民話風の作品。次に何が起こるかわからない独特のイマジネーションはこの作家の特徴でしょうか。



 【物語】 農夫が畑で野菜を作っているが、その野菜はしおれていて、全く元気がない。農夫はいろいろと工夫して、野菜をシャキッとさせようとするが、全然うまくいかない。その悲惨さに嘆いて農夫が涙するが、偶然、彼が落とした涙が野菜を元気にさせることがわかる。
 農夫は、たまねぎを使ったり、もう亡くなってしまった親しかった人のことを思ったりして(その頭蓋骨を手に)、落涙し続け、野菜を育てる。
 ところが、その農夫の作った野菜を食べたかたつむりが巨大化し、町や人を襲い始めるようになる。かたつむりは、自ら人を襲い、誘ってはおびき寄せる。
 町が廃墟と化した頃、かたつむりは、群れて塔を形成し、そのまま動かなくなる。
 平和になって、農夫は再び野菜作りを再開するが、その野菜を今度は野ウサギが狙っていた……。

 いきなり巨大かたつむりが登場することに唐突さを感じたり、あの農夫はどうなっちゃったの?と疑問に思ったりしますが、最後は、物語はちゃんと農夫の元に返ってきて、ホラー映画の典型のような終わり方で終わります(笑)。

 勧善懲悪や因果応報とは違った物語の展開は、素人っぽさも感じさせますが、物語をありきたりでないものにすることは最初から意図したことのようで、医院でシュルレアリスティックなアプローチを使って作品を作っていった経験と関係していると考えられます。とはいうものの、物語の終わったところから見直してみると、巨大化動物ものホラーやパニック・ムービーに似てしまっているところはありますが……。

 アニメーションの動きがぎこちないことも最初から承知の上で、豊かな動きを優先するために物語を単純化するか、動きのぎこちなさに目をつぶっても物語やイマジネーションの展開を工夫するかという二者選択に当たって、ラルーは後者を選択したと語っています。

 そのための選択が、ローラン・トポールの原画を切り絵にして動かす、というものだったようです。

画像

 ◆作品データ
 1965年/仏/11分12秒
 台詞なし/字幕なし
 切り絵アニメーション

 *クラクフ映画祭審査員特別賞受賞

 *この作品は、DVD『ルネ・ラルー コンプリートDVD-BOX』DVD『ルネ・ラルー傑作短編集』に収録されています。

 ◆監督について
 ルネ・ラルー René Laloux
 1929年 パリ生まれ。2004年 死去。
 3つの長編アニメーションと約10本の短編アニメーションを残す。
 ローラン・トポールやメビウス、フィリップ・カザらと組み、イマジネーションあふれるSFタッチの作品を作る。3つの長編は、それぞれ、チェコスロバキア、ハンガリー、北朝鮮で制作した。

 1943年、13歳で学校を辞め、叔父の元で木彫を学ぶ。
 併行して、パリの市立学校の、夜学のデッサン教室に通うようになる。この頃、ラフカディオ・ハーンの『果心居士』を読んで、アニメーション映画を作りたいと思うようになる。
 1956-60年、27歳で、オルレアンのクール・シュヴェルニー医院で患者の芸術活動を指導するコーチとなる(同僚が、のちに思想家・精神分析学者として知られるようになるフェリックス・ガタリ)。ここで影絵やマリオネットを上演。
 1960年、患者との共同作業の中で生まれた作品を撮影して、短編作品として仕上げる。その中から『猿の歯』が生まれ、映画館のレイトショー枠で上映される
 『猿の歯』がきっかけとなって、画家ローラン・トポールと出会い、彼のデッサンを元に、『死んだ時間』(1964)、切り絵アニメーション『かたつむり』(1965)、『ファンタスティック・プラネット』(1973)を発表する。
 『ファンタスティック・プラネット』は、ステファン・ウルの『オム族がいっぱい』が原作で、チェコのトルンカ・スタジオで制作、ラルーの最初の長編となった。
 1987年には、ハンガリーのパンノイア・スタジオで最初のセル・アニメ『時空の支配者』を制作(原作=ステファン・ウルの『ペルディド星の孤児』、原画=メビウス)。
 1987年、北朝鮮で第3長編『ガンダーラ』を制作しながら、フランスのテレビ局のアニメーション・シリーズ『彼方より』のために、短編作品『ワン・フォはいかにして助けられたか』(原画=フィリップ・カザ)を制作。『彼方より』では、ラルーは製作にも関わっていて、そこで作られた若手作家の作品のいくつかはDVD『フランス・アート・アニメーション傑作選 VOL.2 ルネ・ラルー・フェイヴァリッツ』で観ることができます。
 1988年、『ガンダーラ』(原画=フィリップ・カザ)を発表。
 1996年、フランスの国立コミック映像センター デジタルイメージ研究所のディレクターに就任。CGの研究とアニメーター志望の後進の指導にあたる。

 ・1957年 “Tic-Tac(Tick-Tock)”
 ・1958年 “Achalunés”
 ・1960年 『猿の歯』 “Les Dents du singe”
 ・1964年 『死んだ時間』 “Les Temps morts”
 ・1965年 『かたつむり』 “Les Escargots” *クラクフ映画祭審査員特別賞受賞。
 ・1973年 『ファンタスティック・プラネット』 “La Planète sauvage(The Fantastic Planet/ The Savage Planet)” *カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品、特別賞受賞。
 ・1975年 “Le Jeu(The Play)”
 ・1977年 “Les Hommes machines”(パイロット版)
 ・1982年 『時空の支配者』 “Les Maîtres du temps(Time Masters)”
 ・1984年 “La Maîtrise de la qualité(Quality Control)”
 ・1985年 “La Prisonnière(The Prisoner)”
 ・1987年 『ワン・フォはいかにして助けられたか』“Comment Wang-Fo fut sauvé”
 ・1988年 『ガンダーラ』 “Gandahar(Light Years)”

 *参考書籍
 『アートアニメーションの素晴らしき世界』(エスクァイア マガジン ジャパン)p136-142
 『ユーロ・アニメーション』(フィルムアート社) p50-55

 *参考サイト
 ・Wikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Rene_Laloux

 ・トポールの原画と『かたつむり』:http://www.lezards.buissonniers.com/realisations/topor.htm

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