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zoom RSS パレードにノスタルジックな思いを込めて フレデリック・バック 『タラタタ』

<<   作成日時 : 2007/03/21 00:29   >>

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 『タラタタ』は、フレデリック・バック作品の中でも、『木を植えた男』や『大いなる川の流れ』などのような代表的な作品に比べると認知度も低く、実際、上映会などで他の作品と一緒に観ると印象が薄かったりもするんですが、こうして1本だけ取り出してじっくり観てみると、実によく考えられた、味わい深い作品だというのがよくわかります。繰り返し観てみるといいんですよね、これが。実にいい!



 【物語】 街の通りにだんだんと準備が整えられていって、パレードが始まる。
 騎馬隊、鼓笛隊、オープンカーに乗った政治家、帆船、ネイティブ・アメリカン、カヌー、宣教師、大砲、森林伐採、舞踏会、製材業、カントリー・ダンス、消防車、兵隊、オリンピック、米国旗、ブルドーザーとダム、原子力発電、高層ビル……。
 少年と犬も、なんとかパレードを見ようとするが、人垣に割り込むことができない。電灯のよじ登ってもみるが、警官に注意されてしまう。
 仕方なくとぼとぼと裏通りへ。そこにはパレードの観客が使っていたと思われる小旗が落ちている。少年はそれを拾って、路肩にしゃがみ、自分だけのパレードを空想する。
 子どもと犬、花、ブラスバンド、自転車、漁、天馬、風車……。
 すると、少年の空想が見えたかのように、たくさんの大人の人々が少年を囲んで拍手してくれる。少年が犬に向かって語りかけていた空想のパレードのことが聞こえてしまったらしい。
 少年は嬉しくもあり、恥ずかしくもあって、犬と一緒にかけていく。
 空には、パレードのフィナーレを知らせる大輪の花火が次々と打ち上げられ、夜空を飾っていく。

 この作品は、フレデリック・バックが、フランス系カナダ人の守護聖人である聖ヨハネのパレードに触発されて製作した作品だそうです。

 昔は、よくこのようなパレード(歴史、逸話、宗教、工業の歴史などを題材とする)がケベック州の各地で行なわれていたらしいのですが、今(といっても1970年代)はあまり見られなくなったそういうパレードに対して、ノスタルジックな思いを込めて、バックはこの作品を制作したんだそうです。

 大人による、国の歴史を見せていくパレードも賑やかで祝祭感があって楽しく、バックの記憶にあるものもそういうものだったはずですが、こうした大人のパレードに、子どもが空想するパレードを併置するのが、いかにもバックらしいところです。
 少年の空想するパレードは、一見かわいらしいだけのものに見えますが、排気ガスを排出する車に対して自転車、製材業に対して漁、原子力発電に対して風車など、実は、大人のパレードとの対比にもなっています。

 この作品は、『クラック!』や『木を植えた男』『大いなる川の流れ』に先立つ作品ですが、のちの作品に現われるモチーフがあちこちに見え隠れしていて、そういう意味でも興味深い作品になっています。『クラック!』で登場する、あのロッキング・チェアもさりげなく姿を見せています。

画像

 ◆作品データ
 1976年/カナダ/9分
 アニメーション
 台詞なし/字幕なし
 制作期間:9ヶ月
 1979年スイス国際青少年映画祭グランプリ受賞。

 *2000年に『イリュージョン』から『大いなる河の流れ』までの6作品を収めたDVD「フレデリック・バック作品集」が、パイオニアLDCから出ました(税込み7140円)が、その後、初DVD化作品を含む9作品を収めた「フレデリック・バック作品コレクション」がジェネオン エンタテインメントから発売されました(税込み12800円。新たに収録された作品は『アブラカダブラ』『神様イノンと火の物語』『鳥の誕生』)。

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 ◆監督について
 フレデリック・バック
 1924年 ドイツのザールブリュッケン(当時はフランス領)生まれ。父親は音楽家。
 1938-1939 年 パリのEcole Estienneで学ぶ。
 1939-1945年 レンヌの美術学校で画家マテラン・メウに学ぶ。
 1948年 文通で知り合ったカナダ人女性に会うために、カナダに向かう。
 1949年 結婚。以後、モントリオールを活動拠点とする。
 1952年 カナダ国営放送(Radio Canada)にグラフィック・アーティストとして参加し、教育番組や科学番組の作画や視覚効果を担当する。
 1967年 モントリオールのPlace-des-Arts Metro station にL'histoire de la musique à Montréal ("history of music in Montreal") という題のステンドグラスを制作。
 1968年 Hubert Tisonによって開設されたアニメ部門に移る。最初はタイトル・ロゴなどを担当していたが、70年以降、子ども番組を制作するようになる。
 1989年 ケベック州からナイトの称号を受ける(National Order of Quebec)。
 2004年 Planet in Focus film festivalでEco-Hero Media Award を受賞。
 色鉛筆とフェルペンによる作画で、1作品1作品、時間をかけて制作。作品の中に、ケベック州の美しい自然を描き、人と自然環境をテーマに作品を作り続けている、と評される。

 1970年 『アブラカダブラ』“Abracadabra”
 1971年 『神様イノンと火の物語』“Inon Ou LaConquet De Feu”
 1973年 『鳥の誕生』“The miracle of spring”
 1974年 『イリュージョン』
 1977年 『タラタタ』
 1978年 『トゥ・リエン』 アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート
 1981年 『クラック!』 アカデミー賞短編アニメーション賞受賞
 1987年 『木を植えた男』 アカデミー賞短編アニメーション賞受賞
 1993年 『大いなる河の流れ』 アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート

 公式HP:http://www.fredericback.com/

 参考サイト:http://www.animationarchive.org/bio/2005/12/back-frederic.html

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