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zoom RSS 塚本晋也 in サン・セバスチャン ホラー・ファンタジー国際映画祭2006

<<   作成日時 : 2007/02/22 20:01   >>

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 塚本晋也監督の『悪夢探偵』は、スペインのサン・セバスチャン ホラー・ファンタジー国際映画祭2006に出品されたのですが、その質疑応答(記者会見)の様子がYou Tubeに投稿されていました。ちょっと面白かったので、それをここに書き出してみたいと思います。

 塚本監督と通訳の(日本語での)やりとりが、途中からマイクに乗っていないので、ところどころわからない部分もありますが、前後のやりとりから一部補ったりもしています。

 語り口調を生かしたいと思ったので、なるべく口調は直さずに、そのまま書き出してあります。その結果、ちゃんとした文章になっていなかったり、ところによっては読みづらかったりもしますが、その点はご了承ください。

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 ★今回の映画は、こういう今までの映画と違って、わりと一般的、一般の方も観られやすい映画だと思うんですけれども、わかりやすい映画(というか)、今回はどうしてそういう映画をお作りになったのですか?

 塚本:わりとわかりやすかったということですか?
 (ぼくも)40代も半ばになりましたんで、少しずつお客さんを多くしたいなと思いまして、最終的に持っていきたいところ、落ち着かせたいところは、やっぱりいつものようにちょっととてもヘンテコな世界に誘いたいんですけど、入り口はなるべく多くの方に観ていただいて、最終的に、いつものような世界に行きたいと思ったんで……、そろそろわかりやすく、いい映画を作りたいなというか、最終的には同じところに行きたいなと思いました。

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 ★前の2つの映画は監督自身が作りたかった映画だと思うんですが、今回の映画も監督自身がやりたかった映画なんでしょうか?

 塚本:今回の企画は、もう、ぼくが『鉄男』っていう映画が終わった頃からあたためてきた映画で、その時は『鉄男』に似たヘンテコなストーリーだったんですけど、そっから20年近く、17年くらいあたためて、今やっと作った企画で、そういう意味で、(これまでは)自分の企画は自分でお金を出して、ひとの企画はひとに出してもらってたんですけど、今度、自分の企画もひとにお金を出してもらってっていうはじめての(作品になりました)。

 ★1つ目の質問で、おっしゃったように、なるべく観客を多くしたいって言われて、今回は観客を多くして、最終的には監督自身の映画に持っていく。(でも今回の映画は)今までの映画とは違いますよね? どうしたいんですか? 観客を多くしたいんですか?

 塚本:ちょっと、観客を、こう、入れたいなあっていう気持ちもあるんですけど、なるべく多くの人にやっぱり観てもらいたいというのがあって、で、そのために、具体的には、いつも独りで脚本書くんですけど、今度は2人で書いて、つまり、少し客観的な視点を持たせるために、あの、ぼくの助監督と一緒にやりとりしながら書いて、少し客観的な目線を持たすことで、多くの人に広げようって、今回やったんですけど……、まあ、そうはいいながらも、自分の体質として、インディペンデント映画、カルト映画も大好きなんで、その両方を作品の内容に合わせて作っていきたいなあと(思っています)。

 ★監督の映画をいつも観ていて、すごく音響が(特徴的だと思うんですが、音響についてはどう考えていますか?)

 塚本:音響は、ぼくの中では、本当に大事で……、もともとぼくは美術学科で、絵を志してきたんで、絵を面白く撮るのは当たり前って感じなんですけど、それとは別のところで、音とか音楽っていうのはとても大事で、映画がほかの芸術で何と似てるかっていうと、自分は映画好きなくせに、音楽と似てると思ってるくらい音楽が好きで……、映画で一番大事なのは、どちらかというと、映画全体をひとつの、1曲の音楽とたとえて、リズムを監督していくことがもっと大事(だと考えています)。

 ★(あらかじめ音楽を意識しながら映画を作っているんですか?)

 塚本:(あらかじめ意識)してる時もあるんですけど、それはいろいろです。
 (脚本を書い)てる時なんかは、ある曲を聴きながらの方が(仕事が進むのが)早かったりもします。
 音楽っていうのは、大体撮影が終わった後に打ち合わせして、プロが映画に必要とする考えを……、テーマ的なものと合ってる(というのと)、音楽として生きてること、その2つの観点(で判断しています)。

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 ★[前日に質疑応答のあったらしいヤン・シュヴァンクマイエルにからめた質問で、おそらく、ここでは、作品の題材はどのようにして思いつくのか、というような質問がなされたのだと思われます]

 塚本:ほとんど、昨日の、ヤン、ジャン……、発音できないんで……、そ、その人と似てるというか、自分もどちらかというと、自分の好きなものを、だけを、撮りたいっていうのが基本なんで、自分の、その、頭の中にある、人から見て、まだ形になっていない、非常に曖昧なものを、映画という非常にでっかい、はっきりとしたものにすることにすごいダイナミズムを感じてるんですけど……。
 ぼく、元々恥ずかしがり屋で、子どもの時、人と話できなかったりしたんで、その時も、自分の頭の中だけで考えて、人に話すことなかったんですけど、まあ、大人になって、映像という形で、人とコミュニケーションdきるようになって、それが非常にうれしいということがあって、チェコの監督と似てるところがあります。

[塚本は、昨日ヤン・シュヴァンクマイエルと一緒に写真を撮ってもらっていいか、フラッシュありならいい、いや、フラッシュなしで、というようなやりとりをしたらしく、その話をしているようです]

 ★(監督は、ずっと東京をテーマにしてると思うんですが……)

 塚本:(東京は)、本当にずっと自分のテーマで、基本は、好きなんですけど、自分が生まれ育った環境で、もう、家族みたいな感情を持ってるんですけど、一方で、あまりにでっかすぎて、なんだか圧迫感があって、窮屈で、そこに来てる人たちも本当に歯車みたいになってて、妙にエキセントリックだったりして、怖いんですけど……。
 そういう窮屈さもある一方であって、それで、どっかで、『鉄男』っていうビルを破壊しちゃったりっていう、乱暴な映画を作ったりするのも、そのためで……。
 なんか、どっかでビルが壊れちゃって、空き地みたいになって、平らになってる、昔の、子どもの時に遊んでた空き地みたいになってる……、回帰願望、戻りたいっていう気持ちもある一方で、ビルが大きくなってる、わあ、いいなあっていう、その2つがせめぎあってる(んです)。

 [ちょっと聞き取れないやりとりがあった後で……]

 ★(自分の監督作品の中で俳優として演技もしていらっしゃいますが、演技することにも興味があるのでしょうか?)

 塚本:他人の映画に出さしていただく時は全然違うんですけど、自分の映画に出てる時は、その、監督っていうポジションで自分のことをとらえたことがないんで……。脚本も撮影も照明も、要は、その中で演じることも全部合わせて、1つの映画っていうものなので、監督としていろんな人に、自分が何か言ってみんなに動いてもらうというよりは、自分がみんなと一緒にやって、やることそのものが映画だと思うんで、いわゆる、自分が演技に興味があるとか、何々に興味があるとか、映像はカメラマンに任せて、とかじゃなくて、空間の中に、役者さんがいたり、衣裳を着てたり、水がビシャビシャビシャと濡れてるとか全部に興味がある。そういう空気全体を作るのが映画だと思うんで(すね)。

 ★(今回の映画のテーマ(おそらく自殺志願者を題材とすること)はどのようして出てきたんですか?)

 塚本:このテーマ自体は、ほんとに最近で、今までずっと考えてきたアイデアに、このテーマがちょうど(合っちゃったんですね)。いつも自分のアイデアはいっぱいあるんですけど、その主題に、こう合ってるなあと思った時に、ピュッと、それまで試したアイデアを作るっていう形にしてるんで(す)。今回も、ちょうど、今まであたためてきたアイデアの方に主題が合ってきたんで、作ることにしたという(ことです)。

 ★(監督の作品を観ているとサイバーパンクの影響を受けてると思うんですが……)

 塚本:80年代前半からあった、サイバーパンクの映画や小説には非常に共感があって……、あ、そうか、小説は読もうと思ったけど、読んでなくて、読んでないんですけど、映画とか興味があって、自分も非常に影響を受けました。それで(作ったのが)『鉄男』でした。

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 ★(ジャパニーズ・ホラーがブームになっていますが、それについてはどう思いますか?)

 塚本:いやあ、面白いですね。
 ぼくは、怖い映画を作ってますけど、むっちゃ怖がりなんで、やだやだと言いながら、必ず観にくんですね。だいたい、監督だからどうこう、コマ割りとかで観てるんでしょって言われるんですけど、全然そんなとこ(は)観てない。ただ、こう、ひたすら、、目を半分隠しながら観てて……くらい好きです。

 ★(ジャパニーズ・ホラーの監督で好きな監督はいますか?)

 塚本:監督は2人いますけど、『リング』の中田秀夫さんと、清水崇っていう人と。両方とも怖い。『リング』は、もう本当に、観た夜、金縛りに遭っちゃって、本当にやめてってくらい怖かったです。
 清水崇さんのは、そういう意味では、ジェットコースターみたいな感じで、観てる間は凄く怖いんですけど、観た後、すっかりすっきり忘れちゃうんで……。それは悪いことじゃなくて、遊園地的な面白さで、好きで、ホッとしながら、怖がれるっていう感じで……。清水監督の映画に、自分は小さい役ですけど出演して……、凄いいい方です。

 ★(『悪夢探偵』にも髪の長い女性の幽霊が出てきますけど、これは『リング』の貞子と同じですよね?)

 塚本:そうです。
 日本の(女性の幽霊の)髪の毛が長いのって、日本の伝統的な、あの、お化けの典型で、昔の日本映画には、本当にいっぱい怖い映画があったんですけど、それ、みんな髪の毛が長くてですね……、日本人の(女性の幽霊の)髪の毛が長いのは昔からの伝統のものなんです。中田さんの面白いのは、その伝統の怖さと現代の都市みたいなところを結びつけたところが重要です。

 ★[質問不詳]

 塚本:そう言えばそうだね。よくわかないっすね。
 なぜか教えてください。
 なんかトラウマみたいのが一番怖いですかね。
 今、それ忘れちゃってるんですけど、子どもの時に、怖いものを見てしまった時、得体の知れない怖さがこう(トラウマになって、何かの時にフッと出てくるということなんでしょうか)

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 サン・セバスチャン ホラー・ファンタジー国際映画祭は、毎年10月末から11月頭にかけて、スペインのサン・セバスチャンで開催されるホラー&ファンタジー映画を集めた映画祭です。
 『悪夢探偵』の前日に上映されたのが、ヤン・シュヴァンクマイエルの『ルナシー』で、翌日がドン・コスカレリ作品(『ムーンフェイス』?)だったようです。塚本晋也とシュヴァンクマイエルは食事も共にしたようです。

 You Tubeで観られる動画は、約10分ずつ、3分割されて投稿されています。
 1:http://www.youtube.com/watch?v=h_D5PaP8VG4
 2:http://www.youtube.com/watch?v=LBRMGWPIU60
 3:http://www.youtube.com/watch?v=kTPwk2zqE2E

 この質疑応答を踏まえて書かれた記事が、たとえば、これ(http://www.diariovasco.com/prensa/20061031/cultura/perturbador-shinya-tsukamoto-quiere_20061031.html)です。

 映画祭の公式サイト:http://www.sansebastianhorrorfestival.com/concursosenlargometrajes.php

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 質疑応答の内容としては、あまり『悪夢探偵』に関して深く突っ込むような質問はなかったという印象を受けました。作品のコンセプトに関する質問をしてないじゃない?っていう気もしますが、滅多にやって来ない監督に関しては、まあ、こんな感じでしょうか。日本での、外国人監督に対する記者会見も似たり寄ったりですが……。

 日本でだったら、『悪夢探偵』はこれまでの作品に比べて普通じゃないかとか、日本のホラーをどう思うかとか、サイバーパンクについてとかの質問はまず出ないと思うので、そこはちょっと新鮮でした。

 ちなみに、塚本監督は、80年代前半のサイバーパンクの影響を受けて、『鉄男』を作ったというように発言していますが、前史的な作品はあったにせよ、サイバーパンクという言葉や概念が生まれるにはもう少し待たなければならなりません。だから、これは(少なくとも80年代前半というのは)監督の記憶違いですね。実際にサイバーパンクの影響を受けて『鉄男』を作ったのは確かかもしれませんが。

 塚本監督は、清水崇作品に小さな役で出たことがあると言っていますが、フィルモグラフィーを見た限りでは、それらしい作品は見当たりません。どの作品のことでしょうか。ちょっと気になりますね。

 *当ブログ関連記事
 ・映画『悪夢探偵』を探偵する!

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#23.悪夢探偵
龍平最高!!! 龍平最高!!!  龍平最高!!!いやぁ〜。面白いです。特に松田龍平! ...続きを見る
レザボアCATs
2007/02/23 21:49
この、病める現代日本をブッ飛ばす大傑作を観逃すな! 『悪夢探偵』!
年が明けてまだ半月しか経過していないというのに、 年頭から背筋の凍るような事件ばかりで世の中ムチャクチャだ。 というより、事件そのものが浮世離れしすぎていてあまりに現実味がなく、 それこそ、イーライ・ロスの 『ホステル』 や 桐野夏生の 『OUT』 もびっくりの内容で、 そんな現実を反映して娯楽となりうる映画や小説さえまるで子供騙しでしかないかのよう―。 ...続きを見る
瓶詰めの映画地獄 〜俄仕込みの南無阿弥陀...
2007/02/24 20:10
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
インタビュー参考になりました。
商業性を意識したというところとか、妙に納得してしまいました(笑
TBありがとうございました。
とりこぷてら
URL
2007/02/27 04:55
とりこぷてらさま
コメントありがとうございました。
観てる間は、塚本晋也らしい作品だとしか思えなかったんですが、『六月の蛇』や『ヴィタール』と比べてみると、これでも確かに“商業路線寄り”なんですよね〜。
umikarahajimaru
2007/02/27 13:00

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