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zoom RSS <没後50年 溝口健二再発見> 観るならコレ!?

<<   作成日時 : 2006/11/05 08:35   >>

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 東京国立近代美術館フィルムセンターで<没後50年 溝口健二再発見>という特集が上映されているんですが、この特集は、現在日本で上映可能な溝口健二監督作品のすべてを集めているということなので、これらがどんなに貴重なものであるかということを示すために、1990年以降に開催された溝口健二の特集上映を調べてみました。

画像 1923年『愛に甦へる日』
 1925年『ふるさとの歌』 H
 1929年『東京行進曲』 H
  原作:菊池寛
 1929年『朝日は輝く』(伊奈精一と共同監督) H DVD
 1930年『藤原義江のふるさと』 H
  原作:森岩男
 1933年『瀧の白絲』 H ☆
  原作:泉鏡花
 1935年『折鶴お千』 H ☆
  原作:泉鏡花
 1935年『マリアのお雪』 H
  原作:川口松太郎
 1935年『虞美人草』 H
  原作:夏目漱石
 1936年『浪華悲歌』 @A’DEFGH ☆ DVD
 1936年『祇園の姉妹』 @A’DEFGH ☆ DVD
 1937年『愛怨峡』 @H☆
  原案:トルストイ『復活』
 1938年『露營の歌』
 1939年『残菊物語』 @AA’BCDGH ☆ DVD
  原作:村松梢風
 1941年『藝道一代男』
 1941-42年『元禄忠臣蔵 前篇・後篇』 A’GH DVD
  原作:真山青果
 1944年『宮本武蔵』 H
  原作:菊地寛
 1945年『名刀美女丸』 H DVD
 1945年『必勝歌』(清水宏と共同監督) H
 1946年『女性の勝利』 H
 1946年『歌麿をめぐる五人の女』 @H DVD
  原作:邦枝完二
 1947年『女優須磨子の恋』 @H
  原作:長坂秀雄
 1948年『夜の女たち』 @BCDFGH DVD
  原作:久板栄二郎
 1949年『我が恋は燃えぬ』 @H
 1950年『雪夫人絵図』 @GH DVD
  原作:舟橋聖一
 1951年『お遊さま』 @AGH DVD
  原作:谷崎潤一郎
 1951年『武蔵野夫人』 @A’CDGH DVD
  原作:大岡昇平
 1952年『西鶴一代女』 @ABCDEFGH DVD
  原作:井原西鶴
 ベネツィア国際映画祭国際賞
 1953年『雨月物語』 @ABCDEFGH DVD
  原作:上田秋成
 ベネツィア国際映画祭銀獅子賞
 1953年『祇園囃子』 @ABCDEGH DVD
  原作:川口松太郎
 1954年『噂の女』 @ABCEGH DVD
 1954年『近松物語』 @ABCDEFGH DVD
  原作:近松門左衛門
 1954年『山椒太夫』 @ABCDEFGH DVD
  原作:森鴎外
 ベネツィア国際映画祭銀獅子賞
 1955年『新・平家物語』 ABEFGH DVD
  原作:吉川英治
 1955年『楊貴妃』 AGH DVD
 1956年『赤線地帯』 ABCEFGH DVD

 1975年『ある映画監督の生涯』(新藤兼人監督) FH

 @ 1990年 <シナリオ作家 依田義賢特集>(東京国立近代美術館・講堂) 5月19日〜7月8日 17作品(特集33作品のうち)
 A 1992年 <溝口健二の美学>(ユーロスペース) 10月10日〜12月4日 11作品
 A’ 1992年 <溝口健二の美学>追加上映(ユーロスペース) 12月5日〜25日 5作品
 B 1993年 並木座 4月7日〜5月11日 10作品
 C 1994年 並木座 2月23日〜3月29日 10作品
 D 1995年 並木座 6月28日〜8月1日 10作品
 E 1996年 並木座 7月3日〜8月6日 10作品
 F 1997年 並木座 8月27日〜9月30日 9作品+1作品(『ある映画監督の生涯』(新藤兼人監督))
 G 2006年 <溝口健二の映画>(恵比寿ガーデンシネマ) 9月9日〜10月20日 17作品+1作品(『大阪物語』(DVD) 原作:溝口健二)
 H 2006年 <没後50年溝口健二再発見> 10月31日〜11月16日、11月28日〜12月27日 34作品+1作品(『ある映画監督の生涯』(新藤兼人監督))
☆ ACTミニシアターでよく上映されていた作品
 
 <溝口健二の映画>のチラシには「約15年ぶりとなる大規模な映画祭」とありましたが、この「15年前の映画祭」というのが、1992年にユーロスペースで開催された<溝口健二の美学>です。
 この時は8作品がニュープリントで上映されたんですが、その8作品とは、『お遊さま』『雨月物語』『祇園囃子』『山椒太夫』『噂の女』『近松物語』『新・平家物語』『赤線地帯』で、これらは、溝口健二が撮影監督・宮川一夫と組んだ作品で、この同じ8作品が、実は<溝口健二の映画>でもまたニュープリントで上映されています。このほかにも溝口健二の代表作と言われる作品はありますが、この8作品は別格ということでしょうか(まあ、これらがすべて大映京都作品であるという事情もあるのでしょうが……。その証拠に、<溝口健二の映画>では、これらのほかに『楊貴妃』(大映東京)と『大阪物語』(大映京都)もニュープリントで上映されています)。

 邦画の名画座といえば、まず並木座を連想しますが、単発的に2本立てで上映することはあっても、特集として上映するのは、1993年以前では、1956年に8作品を連続上映したことが一度あっただけ(参考:嵩元友子著『銀座並木座』)です。意外な感じもしますが、これは1993年以前には溝口健二特集をするだけの良質なプリントが揃わなかったと考えられるためで、これ以降年に一度開催されることが恒例になった溝口健二特集は、1992年の<溝口健二の美学>のニュープリント作品がベースとなっていると思われます。
 そして、1996年の特集が並木座での溝口健二特集の最後で、翌年の1997年9月には並木座自体が閉館になってしまいます。

 溝口健二後期の傑作群は、大映京都で制作されたものばかりで、<溝口健二の美学>の配給も大映によるものでした。
 ところが、この大映が、その後、徳間書店から角川傘下となって、角川大映映画となり(2002年)、さらに角川映画と改称し(2004年)、2005年に同じ角川傘下となった日本ヘラルド映画(角川ヘラルドピクチャーズ)と組織統合して、角川ヘラルド映画となるなど(2006年)と、めまぐるしく移り変わっています。
 時をほぼ同じくして、文芸坐もなくなり(1997年)、並木座もなくなり(1998年)、ACTミニシアターもなくなり、溝口健二はもちろん、邦画の古典を上映するスペース自体もなくなっていました(生誕100年であった1998年にもちゃんとしたレトロスペクティブがあったという記憶はありません。1998年の東京国際映画祭のニッポン・シネマ・クラシックは、その年になくなった黒澤明のレトロスペクティブでした)。
 だから、今回の特集は、もちろん没後50年記念ということもあるのでしょうが、作品を送り出す側も観せる側もようやく体制が整ったということもあって、久々の特集上映となったのだろうと考えられます(溝口健二生誕100年の年にちゃんとしたレトロスペクティブができなくて悔しい思いをした人が今回の特集上映に力を注いだということもあるのだと思います)。

 単発でわりと上映される作品や、サイレント映画の上映会で比較的よく取り上げられる作品もありますが、上のリストで上映回数の少ないものはやはり貴重な作品ばかりです。たぶん確実に10年やそこらでは再上映の機会もないと思われるので、気になる方は是非この機会にご覧ください。私も行きます! 一般500円だし。

 <溝口健二再発見>の上映スケジュールなどはこちら(http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2006-11-12/kaisetsu.html

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
良くこれだけ調べられましたね。
勉強になります。
小生はまだ溝口作品は劇場で一本も観ていません。今回の特集で、フィルムセンターに行き、何を観ようかと迷っていたところです。
貴職の記事を参考に、12月に観てきます。
ありがとうございました。
パーキンス
2006/11/06 18:22
パーキンスさま
>小生はまだ溝口作品は劇場で一本も観ていません。
それは困りましたね(笑)。
上では、希少価値のあるものを観るようにけしかけてるところもありますが、後期の傑作群はやっぱり傑作なので、それらから観るという選択肢もあるかと思います。
<溝口健二再発見>の上映作品は、おそらくフィルムセンターの収蔵作品からの上映なので、今、全国をまわっているはずの<溝口健二の映画>の上映プリントの方が画質はよいと思われます。なので、値段は通常の映画と同じ料金になってしまいますが、<溝口健二の映画>の方で観てもいいんですね。スケジュールも観やすいものになっていますし、今、映画館で上映されている新作にだって全然負けていませんしね。
コメント、どうもありがとうございました。
umikarahajimaru
2006/11/06 21:10

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