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zoom RSS もう少し先へ 映画『ゲド戦記』

<<   作成日時 : 2006/08/31 15:02   >>

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 あまりの雑音のため、うっかりすると見逃しかねないところでしたが、ちゃんと自分の目で確かめてよかった。宮崎吾朗版『ゲド戦記』は、傑作ではないにせよ、読みどころがあって、普通に楽しめる作品でした。作品に対する賛否はともかく、日本国内で、2006年夏の最大の話題作が、『ゲド戦記』であることは、まず間違いのないところでもあり、ここでは、映画『ゲド戦記』とは何だったのかと考えるためにも、様々な角度からこの作品にアプローチしてみたいと思います。

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 ◆原作『ゲド戦記』について

 原作は、5部作(1990年以前には3部作)+外伝で構成される長編ファンタジーで、今回、映画化されたのは第3巻に当たる『さいはての島へ』です。
 私は読んでいないので、まずは、ネット上で詳しく物語が書かれているサイトを探してみました(同じ原作なのですが、みなさん少しずつ受け取り方が違うようです)。
 『ゲド戦記』は、時代を超えたファンタジーの古典でありながら、その一方で、書かれた当時の社会状況と著者自身の当時の社会に対する考え方が強く反映されているという見方があり、約30年の年月を経て書かれた第4巻『帰還』は90年前後の社会状況を、第5巻『アースシーの風』は9.11以降の世界を見据えて書かれている、と考えられているようです。

 ◇全容 原作
 ・サイト「としょしつのあるおうち」さん:http://www3.ocn.ne.jp/~thouse/gedosenki.html
 主に長編ファンタジーを紹介してあるサイトで、『ゲド戦記』に関しては「登場人物と名言」「ゲド戦記の名文」というコンテンツもあります。
 ・ファーストネーションズさんのブログ「カナダのインディアン『ファーストネーションズ』物語」:http://indian.blog11.fc2.com/blog-entry-102.html
 ・『ゲド戦記』に関するWikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%89%E6%88%A6%E8%A8%98
 ・『ゲド戦記』に関するBLOG360:http://epedia.blog360.jp/%A5%B2%A5%C9%C0%EF%B5%AD

 ◇第1巻『影との戦い』(1968) 原作
 ・高さんのブログ「ほんの保管所」:http://books.holy.jp/blog/2006/01/post_495.html
 ・かずはさんのブログ「読書とジャンプ」:http://plaza.rakuten.co.jp/dokusyojump/diary/200606150000/
 ・タクアンさんのブログ「栄枯盛衰・前途洋洋」:http://t-miz.cocolog-nifty.com/diary/2006/06/post_0574.html
 ・常流舞霧さんのブログ「さんでぃうぃっち」:http://pub.ne.jp/witch/?entry_id=7516

 ◇第2巻『こわれた腕環』(1971) 原作
 ・finalventさんのブログ「極東ブログ」:http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2004/06/post_3.html
 ・かずはさんのブログ「読書とジャンプ」:http://plaza.rakuten.co.jp/dokusyojump/diary/200608060001/
 ・タクアンさんのブログ「栄枯盛衰・前途洋洋」:http://t-miz.cocolog-nifty.com/diary/2006/06/post_6e1c.html
 ・常流舞霧さんのブログ「さんでぃうぃっち」:http://pub.ne.jp/witch/?entry_id=7518

 ◇第3巻『さいはての島へ』(1972) 原作
 ・高さんのブログ「ほんの保管所」:http://books.holy.jp/blog/2006/03/post_528.html
 ・かずはさんのブログ「読書とジャンプ」:http://plaza.rakuten.co.jp/dokusyojump/diary/200608150000/
 ・タクアンさんのブログ「栄枯盛衰・前途洋洋」:http://t-miz.cocolog-nifty.com/diary/2006/06/post_6c16.html
 ・常流舞霧さんのブログ「さんでぃうぃっち」:http://pub.ne.jp/witch/?entry_id=7519
 ・「さいはての島へWiki」:http://hiki.cre.jp/Earthsea/?TheFarthestShore

 ◇第4巻『帰還』(1990) 原作
 ・タクアンさんのブログ「栄枯盛衰・前途洋洋」:http://t-miz.cocolog-nifty.com/diary/2006/07/post_08cd.html
 ・常流舞霧さんのブログ「さんでぃうぃっち」:http://pub.ne.jp/witch/?entry_id=7520
 ・Amebaスクラップブック「心に残るふぁんたじい」:http://scrapbook.ameba.jp/gensou_book/entry-10005970284.html

 ◇第5巻『アースシーの風』(2002) 原作
 ・タクアンさんのブログ「栄枯盛衰・前途洋洋」:http://t-miz.cocolog-nifty.com/diary/2006/07/__4673.html
 ・常流舞霧さんのブログ「さんでぃうぃっち」:http://pub.ne.jp/witch/?entry_id=7521

 ◇『ゲド戦記外伝』 原作
 ・タクアンさんのブログ「栄枯盛衰・前途洋洋」:http://t-miz.cocolog-nifty.com/diary/2006/07/post_380c.html

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 ◆原作者アーシュラ・ル=グウィンについて

 個人的には、サイバーパンク登場以前では、クラーク、アシモフ、ハインラインに続く人気海外SF作家の何人かの1人という印象でした。

 ◇公式サイトhttp://www.ursulakleguin.com/

 ◇プロフィール
 ・アーシュラ・K・ル=グウィンに関するWikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%BBK%E3%83%BB%E3%83%AB%EF%BC%9D%E3%82%B0%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3
 例の、映画『ゲド戦記』に関する著者からのコメント(日本語訳)へのリンクもあります。

 ◇ビブリオグラフィー
 ・SF NOVELS DATA BANK:http://www.generalworks.com/databank/novel/writer/leguin.html
 ・ヨネさんのサイト内の書誌:http://www.fsinet.or.jp/~eureka/le_guin/lg_biblio.htm
 ヨネさんは、ル=グウィンの情報を集められていて、他に年譜や豆情報、リンク集もあります。
 ・サイト“Fantastic Fiction”(英語):http://www.fantasticfiction.co.uk/l/ursula-k-le-guin/

 ◇その他の作品について
 ・Le Guin’s World(英語):http://hem.passagen.se/peson42/lgw/
 プロット・サマリーやレビュー、受賞歴、カバー・ギャラリーなどもあります。

 ・『闇の左手』
 四季さんのブログ「Ciel Bleu」:http://cafebleu.vis.ne.jp/ciel/archives/2005/12/12_1700.php

 ◇映像化作品
 ・IMDb:http://www.imdb.com/name/nm0494372/
 2004年にアメリカでテレビ放映された“Earthsea”(『ゲド戦記』の第1巻と第2巻の映像化/90分)は、2006年8月に日本で『ゲド/戦いのはじまり』としてDVDがリリースされました。こちらも原作者は認めていないようです。DVD

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 ◆先行する作品

 映画本編には原作として、ル=グウィンの『ゲド戦記』と宮崎駿の『シュナの旅』が挙げられていましたが、パンフにはさらにポール・グリモーの『王と鳥』もまた影響を与えた作品して挙げられています。

 ◇『シュナの旅』(1983年) 原作
 これも原作は読んでいないので、ネット上で作品について詳しく書いてあるサイトを探してみました。
 ・『シュナの旅』に関するWikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%8A%E3%81%AE%E6%97%85
 ・“スタジオジブリFC”内のコンテンツ『シュナの旅』にあるRAINさんの“あらすじ&雑感”が非常に詳しい。:http://ghibli-fc.net/fc/syuna/index.html
 旅する青年、旅の途上で(囚われの身)だった娘と知り合う、2人を襲う追っ手、助けてくれる年長者、初めて自分の名前を告げる、クライマックスの異形の建物等、明らかに宮崎吾朗版『ゲド戦記』と類似性が感じられる要素が数多く見出されます。
 「シュナ」と「(アー)シュラ」も似ている気がします。

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 ◇『王と鳥』(仏/1952年初公開/1980年完全版公開) DVD
2006年7月日本公開 公式サイト:http://www.ghibli.jp/outotori/top.html
 青年と娘がいて、その仲を引き裂こうとする悪役(王)がいる。鳥が青年を助け、クライマックスは高い塔(宮殿)、と言えば、まあ、宮崎吾朗版に『ゲド戦記』に似てるところもなきにしもあらずですが、むしろ、この『王と鳥』の劇場公開にもスタジオジブリが関わっていて、高畑勲が字幕を手がけているという意味で、ここでは単に『ゲド戦記』と抱き合わせで『王と鳥』も宣伝している(だけ)と見た方がよさそうです。

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 ◇『もののけ姫』(1997年) DVD
 宮崎吾朗版『ゲド戦記』は、登場人物のキャラクターを、先行する宮崎駿の諸作品にほぼ負っているとは多くの人が指摘するところですが、物語の大筋としては、“変調を来たす世界”、“旅する青年”というモチーフから言って、『もののけ姫』に最も世界観が近しいと思われます。

 『もののけ姫』の原型が『シュナの旅』であるのは明らかで、『シュナの旅』が小説『ゲド戦記』を下敷きにしているのは明白ですから、宮崎吾朗版『ゲド戦記』は隔世遺伝みたいな作品(父が『もののけ姫』で、祖父が『シュナの旅』、曽祖父が小説版『ゲド戦記』)ということになります。
宮崎駿が『ゲド戦記』の映画化に反対したのには、そういうこと(初監督作品なのに最初からオリジナル性を問われてしまうんじゃないかと危惧されたこと)も関係ありそうです。
*『もののけ姫』のルーツとされる作品は、他にもいろいろあるようです。

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 ◆いくつかのキーワード

 ◇父殺し

 原作には、父殺しのシーンはないそうで、宮崎吾朗が父・宮崎駿を超えたいと思って、わざとああいう描写を入れたのだとも噂されていますが、この父親殺しの理由がわからない、説明されていないというのがこの映画の最初にして最大のネック(不満材料)となっているようです。
物語全体を通しての正解は、(映画本編にははっきりとは描かれてはいないものの)「影にそそのかされて」ということになるらしいのですが、私は、最初は???と思ったものの、これは、例えば、“岡山バット母親殺人事件”(というか、李相日監督の『BORDER LINE』(2002)、もしくは若松孝二監督の『17歳の風景』(2005))のようなものなのではないか、と考えてみることにしました。つまり、いい父親であるとかないとかには関わりなく、本人も明確に説明できない理由で衝動的に殺人や暴力的行為に及んでしまう現代の青少年をアレンに重ねたのではないかということです。(関連記事:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200602/article_30.html)
 本人がわからないのだから、第三者にその理由がわかるわけがない。いわば、柳町光男『カミュなんて知らない』の学生たちと同じ立場に観客は置かれたわけで、何故彼はこんなことをしたのか?と我々は“納得できる理由”を求め続け、そうした罪を抱えて生きることになった主人公はまた自分の犯してしまった罪となんとか向き合って(向き合えるようになって)生き続けるしかない。だから、宮崎吾朗版『ゲド戦記』とは、ファンタジーを装いながら、実は、現代社会が抱える問題を取り込んだ、つとめて現代的な物語なのではないか、ということです(SUBU監督の『疾走』あたりを引き合いに出してもよい)。まあ、だから、それがうまく着地できているかどうかは別問題であり、原作者が「これは私の小説とは違う」と言うのも当然なんですが……。

 もっとも「父殺し」と言っても、実際は刺しただけで、映画本編の中では誰もアレンの父の死を確認していないわけで、生きて再会するというのもあり得る話なんですが……。

 “理由もなく人を斬る”ところから始まる旅物語として、私は、『大菩薩峠』(主人公の名前は机“龍”之介!)を思い出したりもしました。

 ◇魔法の剣

 魔法の剣と言えば、まず、アーサー王伝説(Wikipedia)ですが、上に挙げたサイトを読んだだけでは、原作に魔法の剣が出てくるのかどうかはわかりません。英雄でありながら、心に傷を抱え、最後も必ずしもハッピーエンドではないアーサーの物語と、本作のアレンはどこかで重なる(重ねる)部分があるのでしょうか。アレンが「生きて、死の国から戻ってきて、国を治める者になった」というあたりに、そのヒントがありそうです。

 ◇真の名前

 真の名前は秘しておくべきものだ、あるいは、ある種の言葉(名前)は妄りに口にしてはいけないというのは、言霊の問題とも関連して、これまでもいろんな物語に出てきたと思います(わかりやすい例としては、『帝都物語』とか、あるいは『ハリー・ポッター』とか『デスノート』とか、そしてもちろん『千と千尋の神隠し』とか)。しかし、物語だけでなく、実際に歴史上でも本当の名前(私名)が秘せられるということがあったようです。
 それをみつけたのは、弓木暁火さんのブログ「変身のための起源論」(http://yumiki.cocolog-nifty.com/station/2004/11/post_6.html)で、古代ローマでは、名前に魔術性があると考えられて、女性の“私名”は結婚するまでは父親に管理されて外には漏らさず、結婚してはじめて相手の男性に知らされた、なんてことがあったそうです。
 弓木さんのブログには名前学というカテゴリーもあり、また彼女がちゃんと『ゲド戦記』を観て記事を書いているというのも面白いですね。

 ◇黄泉の門を開ける

 この世とあの世を隔てている扉が開け放たれてしまうというのは、ホラーや世紀末ものにわりとあったはずで、ちょっと思いつくだけでも『死国』(1999)、『黄泉がえり』(2002)、『スカイハイ 劇場版』(2003)、『デビルマン』(2004)、『奇談 キダン』(2005)、『雨の町』(2006)、『奇跡の朝』(2004 フランス映画)……。どうとらえるかには作品によって大きな差がありますが、近年その扉はゆるゆるになっているようです。

 ◇善と悪のはざまで

 登場人物の1人が、善と悪との間で揺れるというのは、善悪二元論、世界最終戦争(ハルマゲドン)、救世主や反救世主の登場など、黙示録的世界観を背景にしたもので、欧米では昔から繰り返し物語の中に登場するモチーフです。近年の映画では、『スター・ウォーズ』(1999〜2005)、『マトリックス』(1999〜2003)、『ロード・オブ・ザ・リング』(2001〜2003)、『ナイト・ウォッチ』(2004〜2007)、『カンフーハッスル』(2004)など。こうした物語は、また、“覚醒の物語”でもあります。
 ひょっとすると日本の『大菩薩峠』(仏教思想が色濃いとされる)もこの系譜につらなるのかもしれません。

 ◇不死

 不老不死、およびそれを求める人が物語の軸となる作品も数多く、ざっと思いつくだけでも、『ホーリー・マウンテン』(1973)、『クロノス』(1992)、『ヘヴィメタルFAKK2』(1999)、『悪霊喰』(2003)、『ルパン』(2004)、『奇談 キダン』(2005)などのほか、『ニア・ダーク』(1987)や『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)『アンダーワールド』(2003) 『クロコダイルの涙』(2000)など一連のヴァンパイアもの、小説では『8(エイト)』、それから秦の始皇帝や漢の武帝、「ギルガメシュ神話」、「フランケンシュタイン」……。『オルランド』(1992)『マルコヴィッチの穴』(1999)などというバリエーションもあります。
 最近では、不老不死であることの悲しみを描いた作品(『エバーラスティング』(2002)や、不死を棄てる『ロード・オブ・ザ・リング』、変形としての『アンドリューNDR114』(1999)や『A.I.』(2001)も含む)も多いようです。
 不死よりも限られた生に喜びを見出すというメッセージ性では、『ベルリン 天使の詩』(1987)も思い出されます。
 「不死」は確か『風の谷のナウシカ』(1984)にも出てきたように思います。

 ◇放蕩息子の帰還

 原作の内容を知る以前は、宮崎吾朗版『ゲド戦記』の続きは、アレンの帰国となるはずだと思ったのですが、原作ではそうならないようです。
 「父親を殺した者が王になれるのか」とも囁かれていますが、若い頃かなり悪いこと、道徳的に許されることではないこと、をした者が成長して(または、困難を伴った旅の果てに)、賢王となるというのはよくある話ですね。

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 ◆クロード・ロラン

 本作の背景には、フランス古典主義の画家クロード・ロラン(1600〜1682)の作品を参考にした、と劇場パンフにあります。というか、クロード・ロランなんかを引き合いに出す前に、宮崎駿の映画のどこかで観たような風景ばっかりじゃないかって私なんかは思ってしまいましたが。それはともかく、クロード・ロランについてネットで調べてみました。

 驚くべきは、作品を収蔵している海外の美術館が惜しげもなく作品をネット上でオープンにしていることで、日本では考えられないことでした。ズーム機能など、美術館によっていろいろ工夫があるのも面白いですね。で、見てみた印象は、やっぱりクロード・ロランの影響というよりも宮崎駿の影響が色濃いというものでしたが。

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 ・Slavastyle.com(日本語のサイト):http://www.salvastyle.com/menu_classicism/lorrain.html

 ・Artcyclopedia:http://www.artcyclopedia.com/artists/claude_lorrain.html

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 ◆感想や気になることなど

 ◇物語の着地点

 アレンの死に対する恐れとクモの不死への願いは、同じもののネガとポジらしいのですが、アレンが「自身の中の心の闇と戦うこと」が「クモを殺すこと」にすり替えられて、物語が誤魔化されてしまった感がするのは否めません。「世界の均衡が崩れている」原因がクモなのかどうかも曖昧だと思います。

 ◇宮崎吾朗の今後は?

 今回の騒ぎに関して、監督である宮崎吾朗は口をつぐんでいるわけですが、バッシングの結果、もう二度と映画が撮れなくなったりするのかどうか、ちょっと気になります。
 スタジオジブリの全面的なバックアップがあったとはいえ、初監督でここまでできるのだから、これで埋もれてしまうのは惜しいと思います(『猫の恩返し』(2002)の監督はあれ以降新作を発表していません)。
 これ1本で、一生寝て暮らせるだけ稼いだという可能性もありますが、東宝もスタジオジブリも結果は出ているので今回のバッシングは全く気にせずに、次回作の準備を着々と進めているという可能性もあります。

 ◇「ル=グウィン原作」って?

 なぜ「アーシュラ・ル=グウィン」もしくは「アーシュラ・K・ル・グウィン」とちゃんと表記しないのか? ディケンズやシェークスピアのように姓だけでわかる作家でも普通は姓名を表記するでしょうに。名前が鍵でもある本作において、原作者名がそういう扱いであるのはちょっと気になります。

 ◇エンドロールに関する長年の疑問

 日本映画のエンドロールの特徴として、監督名が一番最後に来るということがありますが、監督名が画面の真ん中で止まるか、そのままロールアップするかは、私が気にして観ていることの1つです。というのは、私のとってNGの映画には「監督名が画面の真ん中で止まる」映画が非常に多いから(笑)。
 いい意味でも悪い意味でも、「これは、あなたの映画だからね」と製作者側が言っているような映画に「監督名が画面の真ん中で止まる」映画が多いようながしますね。
 ちなみに、『ゲド戦記』は「監督名が画面の真ん中で止まる」映画でした(笑)。

 ◇エンド・マーク

 近年、なかなか「完」とか「終」とか出る映画は少ないと思いますが、『ゲド戦記』は珍しく「終わり。」と出る映画でした。むしろ、あれで「終わり。」と出たことに私は違和感を持ったのですが、これは監督がこれでこれは終わりにするぞという強い意志の表れなのでしょうか。

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2006/09/01 23:38
『ゲド戦記』2006・7・30に観ました
?2006 二馬力・GNDHDDT 『ゲド戦記』   公式HPはこちら ←クリック ●あらすじ ある日、西の果てに棲む竜が人間の住む東の海に現れ、同時に人間界にさまざまな災い起こるようになる。災いの源を探る旅に出てる大賢人ゲド(通称ハイタカ)(菅原文太)は、道中で国 ...続きを見る
映画と秋葉原とネット小遣いと日記
2006/09/02 14:58
『ゲド戦記』2回目・8月6日に観ました
『ゲド戦記』2回目・8月6日に観ました (^_^;)何の因果か、今回は、『千と千尋の神隠し』や『もののけ姫』並みの期待感を抱いてしまって、前売り券を2枚買ってしまいました(笑) まず1回目観た当ブログの記事はこちら ←クリック ...続きを見る
映画と秋葉原とネット小遣いと日記
2006/09/02 14:59
ゲド戦記
 前評判が芳しくない公開作品が目立つ中で、ひときわ酷評に晒されている本作も、観ようか観るまいか少し悩みました。  その結果は、それほどのこと ...続きを見る
シネクリシェ
2006/09/02 20:39
ゲド戦記
ゲド戦記見てきました。   ゲド戦記といいつつ、ゲドは主役じゃないんですね。   天才バカボンの主人公がバカボンパパみたいなもん?   この映画、一番伝えたかったことは「生きろ」ということだよね。   クドイくらいメッセージ感じましたもん。ちょっとウ ...続きを見る
あきすとぜねこ
2006/09/03 00:48
『ゲド戦記』
娯楽度[:テレビジョン:]         2006/07/29公開  (公式サイト)  満足度[:星:][:星:]  ...続きを見る
アンディの日記 シネマ版
2006/09/04 03:00
ゲド戦記
今回のゲド戦記は・・・う〜ん、、 小さい子供向けの作品ではないです。 世間の評価もかなり厳しいと予想できます。 でも荒削りだけどイイものも感じました。 ...続きを見る
映画/DVD/感想レビュー 色即是空日記...
2006/09/05 19:00
ゲド戦記
ル=グウィンの名作ファンタジー『ゲド戦記』をスタジオジブリが映画化した長編アニメーション。巨匠・宮崎駿監督の息子=宮崎吾朗の第一回監督作品。声の出演は主人公アレン役に岡田准一、ヒロインのテルー役には新人・手嶌葵。 ...続きを見る
Extremelife
2006/09/08 18:04
ゲド戦記
 宮崎吾朗監督第一作作品。と銘売ってますが、誰!?と思った人は多いはず。スタジオジブリの新作という事もあって、劇場は混雑していました。 ...続きを見る
とにかく、映画好きなもので。
2006/09/09 10:19
映画「ゲド戦記」を劇場で見た
 最近、結構話題になっている映画「ゲド戦記」(2006 ゲド戦記-goo映画生活)を劇場に行ってみてきた。 2006年7月29日公開だからちょっと前からだが・・・前売り券を買っ ...続きを見る
今日の一語り
2006/09/10 11:43
ゲド戦記
「ゲド戦記」に関する記事を書いたらトラックバックしてください。 トラックバックURL : http://ghibli-movie.jugem.jp/trackback/15 ...続きを見る
ジブリトラックバック
2006/09/17 13:51
ゲド戦記
夏休みに従妹と一緒に観てきました。 アニメ作品は今年初です。 ...続きを見る
PLANET OF THE BLUE
2006/09/27 01:05
映画vol.71『ゲド戦記』※舞台挨拶付試写会
『ゲド戦記』(2006年公開)*試写会 ...続きを見る
Cold in Summer
2006/10/11 16:15
『ゲド戦記』'06・日
あらすじ竜が人間の住む世界に現れて共食いを始めるなど異変が起こりはじめた多島海世界“アースシー”。異変の原因を探るべく旅に出た大賢者ゲドことハイタカはその途中で父王を刺して国を飛び出してきたエンラッドの王子アレンと出会った。2人はともに旅を続け、ハイタ... ...続きを見る
虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...
2008/07/13 19:16
ゲド戦記
見えぬものこそ。 ...続きを見る
Addict allcinema 映画レ...
2009/06/18 22:14

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コメント(19件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは♪
相変わらずの膨大な情報と考察にお誘いくださいましてありがとうございました。
背景の絵はやはり駿監督の作品で見たようなものが多かった気がします。
色使いや動画部門の粗さが気になってしょうがなかったです。
ミチ
URL
2006/08/31 17:43
ミチさま
コメントありがとうございました。
「色使いや動画部門の粗さ」ですか? ラストのクモの部分とかは私もお粗末だとは思いましたけど。
途中のシーンで、場面が変わると、マントが消えたり、ラマがいなくなったりするのはどうなのかなあと思いましたけどね。
アニメの監督って何をどこまでするものなのかよく知らないもので、そこらへんは誰の責任になるのかとも思うんですが。でもまあ、そういうことがあっても、ですよ。
umikarahajimaru
2006/08/31 17:58
TBありがとうございました。
原作に興味が湧き、ただいま購入を検討中です。
まぁ、尺の割りにやはり欲張りすぎ、って事でしょうか?
原作の偉大さ(?)を考えると仕方が無いというか、勿体無いというかですね。
たいむ
URL
2006/08/31 18:01
たいむさま
コメント&TBありがとうございました。
原作は原作なんですが、(私の解釈が合っているなら)それを現代日本の17歳(アレンは17歳という設定なんだそうです)に引き寄せたことによる歪みだとも思いますね。
umikarahajimaru
2006/08/31 18:08
こんにちは。
素敵な記事でのご紹介、ありがとうございます。
実はブログでゲド戦記の本の感想も書いてるので、
そちらもTBさせていただこうかと思ったのですが、エラーが出ちゃいました。
続けてやろうとしたのがダメだったのかしら。
あんまりたいしたこと書いてないんですが、一応URLのところに入れておきますね。

こちらの記事を拝見して、やっぱり喰わず嫌いをする前に、
実物を観てみなくちゃダメかしら。なんて思いました。
でもジブリ自体がどうも苦手なもので、なかなか…(^^ゞ
四季
URL
2006/08/31 19:06
四季さま
コメント&TBありがとうございました。TB2つとも反映されてますよ。
原作をお読みになっている方のブログもいくつか読ませてもらいましたが、「原作とは違うけれど、これはこれでいいんじゃないか」っていうわりと冷静な評が多かったですね。原作者は違うみたいですけど。
umikarahajimaru
2006/08/31 19:15
緻密な考察に、感服です。
そんな中、ウチのサイトまでご紹介いただきましてありがとうございました。
映画のストーリーはともかく、表現方法としては、使用する色数を減らすことで、素朴で骨太なイメージを持たせることができて、良かったんじゃないかと思ってます。
「千と千尋〜」や「もののけ姫」の圧倒的な色の奔流に慣れてしまうと、物足りなさを感じてしまうのかもしれないですね。
・・・・・・なんてことをつらつらと考えてしまいます。
かずは
URL
2006/08/31 23:19
かずはさま
コメントありがとうございました。
いや〜、「ストーリーはともかく」じゃなくて、むしろストーリーの考察をお聞かせしていただきたい気がしますねえ。
umikarahajimaru
2006/09/01 00:04
海から始まる!?様、トラックバックとコメントありがとうございます。また、ブログで、私の記事をたくさん、紹介いただきありがとうございます。
映画の冒頭でのアレンの父親殺しは、原作にもなく、原作者のル=グウィンさんからも必然性がないとコメントされていますが、私は、日本人の宮崎監督が日本人の若者に向けのメッセージとして作った映画と考えれば、現在の日本の若者の、本人たちさえ理由のわからない親殺しが続く現在をまさに切り取ったものだと思います。そう言う若者に、自分の影を見つめて欲しいという思いが、冒頭のシーンになっているのではないでしょうか?今の日本の状況を反映していると考えれば、あの唐突さもわかるような気がします。
拓庵
URL
2006/09/01 00:05
拓庵さま
コメント&TB、そしてリンクをご承認していただき、どうもありがとうございます。
そうなんですよね。でも、表面的に、もしくは「説教くさい」としか受け止められていないようですね。「いのちを大切にしない奴なんか大嫌いだ」もギャグみたいに扱われてますし。もっとも「好きだ」とか「嫌いだ」とかっていう問題でもないと思いますが。
umikarahajimaru
2006/09/01 00:34
TBありがとうございました(^▽^) サミィです☆
ものすごい情報量ですね(0ロ0;)
考えさせられるのはスキですが、
考えないとわからないものゎあまり好みません( ´_ゝ`)
作品は見えているものがすべてで、
調べたり勉強しないとわからないものゎ
不完全だと思っています。
ムツカシぃのゎわかりますがね……"(/へ\*)"))
Sammy
URL
2006/09/01 03:24
サミィさま
まあ、いろんな映画にいろんな楽しみ方があるわけで、同じ人でも、年齢により、観る環境により、受け止め方は違う。映画が、観客自身を問うたり、観客の内面を照らし出したりすることもあるわけですよ。そうじゃないとつまらないじゃないですか。
コメント&TBありがとうございました。
umikarahajimaru
2006/09/01 12:07
こんにちは。いつもTBをありがとうございます。こちらからはまたしてもTBは貼れないようなので、コメントのみで失礼します。
ところで。私自身そんなに期待もせず見た結果ですが、そんなに落胆はしませんでした。
むしろ背景画にはグッときましたし。
ジブリ作品の流れからすると写実的な映像とはかけ離れていますが、それなりに力のある絵だったと私は思います。ただ、お話で感動できたかとなるとまた別の話で…。
今後もぜひ修行を積んでいってほしいと思ってます。
charlotte
URL
2006/09/01 15:17
charlotteさま
「心の奥深くに潜む影のようなもう一人の自分の存在との対峙を見せてくれた」とcharlotte
さんは、ブログに書いてらっしゃいますけど、映画って、この映画に限らず、本来そういうものだと思うんですよ。この場合、「自分」とは観客自身のことですけど。つまり、映画を通して、観客はその映画の作品世界を知るだけでなく、観客自身の内面もまた照射されるということです。
心を揺さぶられた映画もそうでなかった映画も、ある意味、観客自身を映し出す鏡だと私は考えます。
コメントありがとうございました。
umikarahajimaru
2006/09/01 20:54
はじめまして。
Blogカテゴリで検索をかけていたところ、大変考えさせられる映画「ゲド戦記」の感想を発見して、是非TBさせて頂きたいかと思います。
どうもまだまだ自分は偏った見方しか出来ていないようですが、きちんと原作を読み返してまた改めてこの映画が何を言いたかったのかを考えてみたいと思いました。
M
2006/09/01 23:21
連投で申し訳ありません。エラーになってしまったようです。もしエラー修正が出来なかった場合はこちらの記事をLinkさせて頂くことは可能でしょうか、よろしくお願いします。
M
2006/09/01 23:40
Mさま
ご訪問ありがとうございます。
リンクは全然OKです。
そちらのURLがコピーされてないので、こちらからはそちらに訪問することができないのが残念ですね。
umikarahajimaru
2006/09/01 23:51
たびたびですみません。
TB処理をして頂いたのでしょうか。お手数をおかけしました、ありがとうございました。
今はまた原作を読み返しています。
もう一度この映画について、そして原作について考えてみたいと思っています。
素敵なきっかけをありがとうございました。
M
2006/09/03 21:23
Mさま
相手のブログにより、記事により、TBは反映されたり、されなかったりするので、私が承認したり、取捨選択したりしてるわけじゃないんですよ。ただ、時折スパム処理されてしまうTBもあるので、そこからすくい上げてくることはできるんですね。そういうことなんです。
umikarahajimaru
2006/09/04 05:08

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