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zoom RSS 詳細!カンヌ国際映画祭2006 コンペティション部門

<<   作成日時 : 2006/05/11 06:40   >>

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 今年も5月17日〜28日まで、カンヌ国際映画祭が開催されます。そこで、今年のコンペティション部門出品作について調べてみました。

 ◆コンペティション部門ラインナップ

 ・パオロ・ソレンティーノ“L'Amico di famiglia” (2006/伊)
 ・アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ“Babel” (2006/米)
 ・ナンニ・モレッティ“Il Caimano”(2006/伊)
 ・Israel Adrián Caetano “Crónica de una fuga”(2006/アルゼンチン)
 ・リチャード・リンクレイター“Fast Food Nation”(2006/米)
 ・ブリュノ・デュモン“Flandres”(2006/仏)
 ・ヌリ・ビルゲ・ジェイラン“Iklimler”(2006/トルコ・仏)
 ・Rachid Bouchareb “Indigènes”(2006/仏)
 ・ペドロ・コスタ“Juventude Em Marcha”(2006/ポルトガル)
 ・ギレルモ・デル・トロ“El Laberinto del Fauno”(2006/メキシコ・西・米)
 ・アキ・カウリスマキ“Laitakaupungin valot”(2006/フィンランド)
 ・ソフィア・コッポラ“Marie-Antoinette”(2006/米)
 ・グザヴィエ・ジャノリ“Quand j'étais chanteur”(2006/仏)
 ・リュカ・ベルヴォー“La Raison du plus faible”(2006/ベルギー・仏)
 ・Andrea Arnold “Red Road”(2006/英)
 ・ニコール・ガルシア“Selon Charlie”(2006/仏)
 ・リチャード・ケリー“Southland Tales”(2006/米)
 ・ロウ・イエ“Summer Palace”(2006/中)
 ・ペドロ・アルモドバル“Volver”(2006/西)
 ・ケン・ローチ“The Wind That Shakes the Barley”(2006/仏・アイルランド・英)

 カンヌ国際映画祭のコンペティション部門は、
 @新作が期待される作家性の強い映画監督のうち、この時期にちょうど新作を完成させ、カンヌがお披露目となるような作品
 A世界中どころか本国でもほとんど知られていないような監督でありながら、カンヌがいち早く目をつけた(と言いたいがためにセレクトされるような)新しい監督の作品
 という2種類の作品群がラインナップされます。

 自他共に認める世界最高峰の国際映画祭なので、@のような作品が集まるわけですが、監督の知名度本位で集められているようなところもあり、他の国際映画祭のコンペ部門で上映されるとそれ以外の国際映画祭のコンペ部門には出品できないなどという規定もあって、実は、その年における最高の話題作ばかりが集まるというわけではありません。日本で公開された後で見比べてみて、案外大したコンペじゃなかったんじゃないかということもよくあります。映画の完成前に監督の名前を信頼してセレクトした作品ばかりなので、仕方がないということもありますが……。

 作家性本位なので、商業ベースに乗らず、日本で公開されないという作品も少なからずあります。コンペ出品作の娯楽性や作品の完成度から言うと、ベネチア国際映画祭の方が粒そろいで、日本で公開される可能性も高いと言っていいかもしれません。

 ほとんどが常連のベテラン監督ばかりの中に、ほぼ無名の監督の作品を入れて、同じ土俵の上で競わせるのはどうかと思いますが、そうでもしないと毎年同じような監督の作品ばかりが並ぶ変わり映えのしない映画祭になってしまうので、意識的に新しい監督の作品を入れているんでしょうね。(コンペ部門での)新しい才能の発掘という面で言うと圧倒的にベルリン国際映画祭の方に軍配が上がると思うんですが。
 今年のコンペ部門の中には、Andrea Arnoldの第1回監督作品“Red Road”が入っています。

 世界のどの地域の映画が元気なのか、今どういうテーマに関心が集まっているのか、というのが、コンペティションにも如実に表れる傾向がありますが、国籍で言えば、開催国であるフランス映画の枠が(作品の出来に比して)若干多いようです。今年は全20本中フランス映画が4本、共同製作作品が2本入っています。

 今年のラインナップには、日本の作品も韓国の作品もイランの作品もなく、ロウ・イエ監督以外アジア作品が全然入っていません(もう1本、トルコとフランスの共同製作映画があります)。毎年3枠くらいはアジア枠があるはずなんですが、今年はすっかり欧米中心の国際映画祭となってしまいました。今のアジア映画界のパワーダウンしているのか? それとも、単にタイミングの問題なのでしょうか?

 例年だとカンヌ直後に横浜でフランス映画祭が開かれ、カンヌでお披露目されたばかりの作品が日本でもすぐに観られたものですが、今年はフランス映画祭の開催が早まったので、そういう楽しみはなくなりました。元々スケージュール的にきつかったのだとは思いますが、ちょっと残念ですね。

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 ◆個々の作品について
 *[物語]はネット上にかき集めた少ない情報を元にしているので、場合によってはけっこう間違いがある可能性もあります。

 ・パオロ・ソレンティーノ “L'Amico di famiglia” (2006/伊)
 [出演者] Luigi Angelillo、ファブリッツィオ・ベンティウォリオ(『HOTEL ホテル』『永遠と一日』『アメリカから来た男』『アパートメント・ゼロ』等)
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 2004年に『愛の果てへの旅』(イタリア映画祭2005で上映)をコンペ部門に出品。
 [物語] 主人公は60歳の金貸しの老人。本人は、善意で金貸しをし、人々の役に立っていると考えているが……。

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 ・アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ“Babel” (2006/米)
 [出演者] ケイト・ブランシェット、ブラット・ピット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 2000年に『アモーレス・ペロス』を批評家週間に出品。グランプリ受賞。コンペ部門出品は初。
 [物語] 新婚旅行中のカップルを襲った悲劇から3つの物語が展開。モロッコ、チュニジア、メキシコ、日本が舞台。

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 ・ナンニ・モレッティ“Il Caimano”(2006/伊)
 [出演者] ソルヴィオ・オルランド(『ベアーズ・キス』『炎の戦場 エル・アラメイン』『息子の部屋』『ぼくの瞳の光』『ナンニ・モレッティのエイプリル』『赤いシュート』)、マルゲリータ・ブイ(『殺意のサン・マルコ駅』『心のおもむくままに』『哀しみの日々』『恋愛マニュアル』)
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 1978年『青春のくずや〜おはらい』、1994年『親愛なる日記』、1998年『ナンニ・モレッティのエイプリル』、2001年『息子の部屋』をそれぞれコンペ部門に出品。『親愛なる日記』で監督賞、『息子の部屋』でパルムドールを受賞。
 [物語]  Bruno Bonomoは70年代から活躍する名プロデューサーだが、メディア王で現イタリア首相でもあるソルヴィオ・ベルルスコーニに焦点を当てた映画を作り始めたところから、すべてが狂い出し、私生活も崩壊してしまう。

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 ・Israel Adrián Caetano “Crónica de una fuga”(2006/アルゼンチン)
 [出演者] Nazareno Casero、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ(『モーターサイクル・ダイアリーズ』)
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 2001年に“Bolivia”でYoung Critics Award受賞。コンペ出品は初。
 [物語] 警察もののスリラーらしい。

 ・リチャード・リンクレイター“Fast Food Nation”(2006)
 [出演者] エリン・アリソン、パトリシア・アークエット
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 『ウェイキング・ライフ』でベネチア国際映画祭のコンペ、『ビフォア・サンセット』でベルリン国際映画祭のコンペに参加したことはあるが、カンヌは出品もコンペも初参加。
 [物語]  Eric Schlosserの“Fast Food Nation The Dark Side of the All-American Meal”の映画化。

 ・ブリュノ・デュモン“Flandres”(2006/仏)
 [出演者] Samuel Boidin、Adelaide Leroux、Inge Decaesreker
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] コンペ部門参加は1999年の『ユマニテ』に続いて2度目。
 [物語] フランダースの恋人たちの物語。男は、兵士となって戦場に赴き、女は青年の帰りを待つ。が、戦場は次第に青年を変えていく……。

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 ・ヌリ・ビルゲ・ジェイラン“Iklimler”(2006/トルコ・仏)
 [出演者] Ebru Ceylan、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 1995年に“Koza”で短編部門でパルムドール、2003年に“Uzak”(2002)でグランプリ受賞。
 *日本では『五月の雲』(1999)が地中海映画祭で上映されています。
 [物語] ちょっとしたことでハッピーになったり、アンハッピーになったり、天候(←原題Iklimlerの意)のようにコロコロと気分が変わる2人の男の物語。

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 ・Rachid Bouchareb “Indigènes”(2006/仏)
 [出演者]  Bernard Blancan、Sami Bouajila
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 監督としてはコンペ初参加。1991年に“Cheb” でAward of the Youth French FilmとPerspectives du Cinéma Awardを受賞。プロデューサーとしての実績もあって、今回のカンヌでは自らがプロデューサーを務めるブリュノ・デュモン“Flandres”とコンペを競うことになった。
 [物語] 第二次世界大戦末期に北アフリカで自由フランスに参加して闘った4人の兵士の物語。

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 ・ペドロ・コスタ“Juventude Em Marcha”(2006/ポルトガル)
 [出演者] 不詳
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 『ヴァンダの部屋』(2000)で2002年France Culture Awardを受賞。コンペ参加は初。
 [物語] 不詳

 ・ギレルモ・デル・トロ“El Laberinto del Fauno”(2006/メキシコ・西・米)
 [出演者]  Ivana Baquero、ダグ・ジョーンズ(『ヘルボーイ』『アダプテーション』)
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 『クロノス』が1993年Mercedes-Benz Award受賞。
 [物語] 母と養父とともにスペインを旅する少女の物語。

 ・アキ・カウリスマキ“Laitakaupungin valot”(2006/フィンランド)
 [出演者]  ヤンネ・ヒューティライネン(『過去のない男』)、Maria Heiskanen
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 1996年に『浮き雲』でエキュメニック賞特別賞、2002年に『過去のない男』でエキュメニック賞とグランプリを受賞。
 [物語] 『浮き雲』『過去のない男』から続く“失業3部作”のラストを飾る作品らしい。

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 ・ソフィア・コッポラ“Marie-Antoinette”(2006/米)
 [出演者] キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] カンヌもコンペも初参加。
 [物語] Antonia Fraserの“Marie Antoinette: The Journey”の映画化。

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 ・グザヴィエ・ジャノリ “Quand j'étais chanteur”(2006/仏)
 [出演者] セシル・ド・フランス(『ぼくセザール10歳半1m38cm』『スパニッシュ・アパートメント』)、ジェラール・ドパルデュー
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 1998年に“L'Interview”で短編部門のパルムドール受賞。
 *日本では2003年に『加速する肉体』がフランス映画祭で上映されています。
 [物語] アランは、ローカルで活躍する50歳の歌手で、歌うことが人生のすべてであると思って生きてきた。そんなアランの前に、ある時、27歳の女性マリオンが現れる。彼女には、好きでもない男との間に生まれた4歳の子どもがいた……。

 ・リュカ・ベルヴォー “La Raison du plus faible”(2006/ベルギー・仏)
 [出演者] エリック・カラヴァカ(『うつくしい人生』『NOVO/ノボ』『ソン・フレール』)、ナターシャ・レニエ(『天使が見た夢』『クリミナル・ラヴァーズ』)、リュカ・ベルヴォー(『嵐が丘』(1986)『戦場のアリア』に出演、『男と女と男』で監督)
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] カンヌもコンペも初参加。
 [物語] ベルギーの小さな町。親友の奥さんに原付を買うために、3人の男たちが強盗を計画する。しかし、やはり計画通りにはいかない……。

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 ・Andrea Arnold “Red Road”(2006/英)
 [出演者] Andrew Armour、ナタリー・プレス(『ギャザリング』)
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 2005年に“Wasp”がアカデミー賞の短編部門で作品賞を受賞していたりはするものの、長編はこれが初めてで、これまではTVを中心に女優として活躍。
 [物語] ジャッキーはグラスゴー・カウンシルのCCTVオペレーターで、日々モニターを通して見える小さな世界を観察して過ごしていた。そんな平穏な生活で満足しているのは過去に思い出したくもない出来事があったから。ある日、彼女の見ていたモニターに二度と会いたくないと思っていた男の姿が映る……。

 ・ニコール・ガルシア“Selon Charlie”(2006/仏)
 [出演者] ジャン=ピエール・バクリ、Minna Haapkylä
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 1986年に“15 août”、2002年に“L'Adversaire”でコンペに参加。
 *日本で公開されている監督作品は『ヴァンドーム広場』。『愛と哀しみのボレロ』や『ギャルソン!』などに出演し、女優としてのキャリアが長い。
 [物語] 大西洋岸の小さな町。シーズン・オフのその町で出会う7人の3日間を描く。

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 ・リチャード・ケリー“Southland Tales”(2006/米)
 [出演者] ザ・ロック、ショーン・ウィリアム・スコット(『アメリカン・パイ』『エボリューション』『ランダウン』)、サラ・ミシェル・ゲラー
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] カンヌもコンペも初参加。
 *『ドニー・ダーコ』の監督で、『ドミノ』の脚本家としても知られるリチャード・ケリーの第2長編。
 [物語] 2008年7月。灼熱の日々が続くロサンゼルスは、社会的・経済的・環境的にも危機にさらされていた。記憶喪失にかかったアクション・スター、自身のTV番組を持つポルノ女優、ある陰謀の鍵を握る刑事。独立記念日の夜、3人を巻き込んで、混沌はピークに達する。

 ・ロウ・イエ“Summer Palace”(2006/中)
 [出演者] グオ・シャオドン(『故郷の香り』)、Ling Hu
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 『パープル・バタフライ』に続いて、コンペは2度目。
 *『パープル・バタフライ』のほか、日本では『デッド・エンド/最後の恋人』『危険少女 嵐嵐』『ふたりの人魚』が公開されています。
 [物語] Yuは大学に通うために田舎から北京に出て、初めて自由恋愛を体験する。Zhouと知り合うが、彼は兵役でドイツに送られてしまう。Zhouはドイツで祖国のこともYuのことも忘れる。一方、Yuは、仕事も得、新しい恋人もできるが、Zhouのことが忘れられない。ベルリンの壁が崩壊して、Zhouが戻ってくる。2人は再会するが……。

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 ・ペドロ・アルモドバル“Volver”(2006/西)
 [出演者] ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 1999年に『アール・アバウト・マイ・マザー』で監督賞とエキュメニック賞を受賞。コンペは2度目。
 [物語] アブエラは、自身の死後、ゴーストとなって故郷の町に戻ってくる。それは、彼女が生存中にやり残したことがあったからだった。彼女は、ゴーストとして2人の娘をやさしく見守るのだった……。

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 ・ケン・ローチ“The Wind That Shakes the Barley”(2006/仏・アイルランド・英)
 [出演者] キリアン・マーフィー(『28日後…』『バットマン・ビギンズ』『プルートで朝食を』)、Padraic Delaney
 [監督とカンヌ国際映画祭との関わり] 1979年『ブラック・ジャック』でカンヌ初参加(国際連盟批評家賞受賞)。1981年『まなざしと微笑み』でエキュメニック賞特別賞(コンペ)、1990年に『ブラック・アジェンダ 隠された真相』でエキュメニック特別賞と審査員賞(コンペ)、1991年『リフ・ラフ』で国際批評家連盟賞、1993年に『レイニング・ストーンズ』で審査員賞(以降すべてコンペ)、1995年に『大地と自由』で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞、1998年の『マイ・ネーム・イズ・ジョー』と2000年の『ブレッド&ローズ』と2002年の『SWEET SIXTEEN』は無冠。2004年にはこれまでの業績に対してエキュメニック賞30th Anniversary Prizeを受賞。今回が8回目のコンペ参加。
 [物語] 1919年アイルランド。英国が送り込んでくる“Black and Tan”(Royal Irish Constabulary Reserve Force=王立アイルランド警察予備軍?)に対抗すべく、国中からゲリラ軍への志願者が集まってくる。自由を求めて、過激な戦いを繰り広げるテディに、前途ある医者としての仕事を捨てて、弟ダミアンも加わる。激しいテロ闘争の結果、和平が成立するが、勝利は束の間ですらなく、引き続き内戦が始まるのだった……。

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 ◆コンペティションの結果予想

 カンヌ国際映画祭のコンペティションは、作品自体の持つ力ももちろん重要ですが、審査員の顔ぶれに非常に左右される傾向があります。
 今年の審査員は、
 ウォン・カーウァイ(審査委員長―アジア初)
 モニカ・ベルッチ
 ヘレナ・ボナム・カーター
 ルクレチア・マーテル(アルゼンチンの監督)
 チャン・ツィイー
 サミュエル・L・ジャクソン
 パトリス・ルコント
 ティム・ロス
 エリア・スレイマン(パレスティナの監督)

 この顔ぶれだけ見ると、社会性の強い作品よりは芸術性の高い作品、観念的な作品よりはドラマ性の強い作品、難解な作品よりは一般の観客も楽しめる作品、に対して賞を与えるような気がします。
 審査員の好みを想像すると、社会や歴史に翻弄されつつも、夢や希望を抱いてたくましく生きる人々の物語や、異国の地にあって見知らぬ人々の中で孤独や不安にあえぎつつも精一杯頑張っている人々の物語、なんていう作品があれば、パルムドールかな(例えば『イン・ディス・ワールド』や『イン・アメリカ』、あるいは『霧の中の風景』や『ジプシーのとき』のような作品)。

 今回のラインナップは、地味だった昨年に比べて、注目作が多く、激戦が予想されるとかなんとか書かれているみたいですが、調べてみたところでは、ジャンル・ムービーも多く、小粒な感じがしました。深いテーマ性のある作品が見当たらないんですよね。

 最終的には、委員長であるウォン・カーウァイが何を強く推すか、でしょうか。

 パルムドールは、@上で予想したような“異国もの”であれば、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ“Babel”、ギレルモ・デル・トロ“El Laberinto del Fauno”
 A新しい才能を評価するのであれば、Israel Adrián Caetano “Crónica de una fuga”、Andrea Arnold “Red Road”、リチャード・ケリー“Southland Tales”
 B現在の世界情勢を反映して、戦争を扱った作品を選ぶというのであれば、ブリュノ・デュモン“Flandres”、Rachid Bouchareb “Indigènes”、ロウ・イエ“Summer Palace”、ケン・ローチ“The Wind That Shakes the Barley”
 C以上の3つからは外れてしまうのですが、どうしても気になるのが、アキ・カウリスマキ“Laitakaupungin valot”です。素朴で最も深い感動があるのはこの作品であるような気がして仕方がありません。よって、本命はこれにします。
 
 グランプリは、アジアの作品にあげたい気がします。よって、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン“Iklimler”(本命)もしくは、ロウ・イエ“Summer Palace”。

 監督賞は、@功労賞的な意味合いであれば、アキ・カウリスマキ、ペドロ・アルモドバル、ケン・ローチのいずれか
 Aでも若い監督に与えるのこそ意義があると考えるなら、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ(本命)やヌリ・ビルゲ・ジェイランあたりか。

 男優賞は、ソルヴィオ・オルランド(“Il Caimano”)(本命)、ヤンネ・ヒューティライネン(“Laitakaupungin valot”)あたり。

 女優賞は、カルメン・マウラ(“Volver”)でほぼ確定でしょう。

 最も注目度の高いソフィア・コッポラ作品やシネフィル期待のペドロ・コスタ作品はあえて外して、無冠と予想してみました。

 年内に日本で劇場公開されそうなのは2本くらい、全20作品のうち劇場公開が見込めるのは10本、映画祭等で上映されそうなのが5本くらいでしょうか。

 なお、ムービープラスでパルムドール予想クイズをやっています(http://movieplus.gsj.bz/cgi-bin/entry/pc_entry.pl?id=CANNESV2006)。当記事を参考に挑戦してみてください。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
トラックバックありがとうございます。
スパムトラックバックがいくつかあったので、記事によってはTB禁止にしているのですが、あの記事はOKになっていたのですね。あ、ちゃんとしたTBでしたら全然OKなので。ありがとうございます。
調べモノが充実していらっしゃいますね。私も調べモノ好きなんですが、まとめるのが苦手ですので、こうして記事になっているととっても便利です。一人ベネチア映画祭という記事を拝見しましたが、今一人カンヌもできますよね(笑)このGW去年のカンヌ出品作が続々公開されているので。時差はありますが、一人映画祭、私も勝手に楽しんでおります。
また寄らせていただきます。
わかば
URL
2006/05/11 11:35
TBありがとうございました。
カンヌ映画祭まで、あと1週間ですね!
今年は『Babel』から、誰が出席してくれるのか、楽しみです^^。
中身のない記事ですが、TB返させてください。
Kim
2006/05/11 19:21
こんばんは♪コメントありがとうございました。
私は、4/20にプレスリリースがあった資料を公式ページからダウンロードして記事にしたのですが、昨年は20作品なのに、今年は19作品なんだ…と思いながら記事にしたのを思い出しました。
それ以来、公式ページをみていなかったのですが、確かに20作品になってますね;;;1作品はプレスリリースに間に合わなかったのではないでしょうか???
ご指摘いただいて、ありがとうございます^^。
kim
2006/05/11 21:02

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