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zoom RSS 映画『死者の書』、または、リスペクト川本喜八郎!

<<   作成日時 : 2006/04/06 17:30   >>

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画像 アニメーション映画としても、それが岩波ホールでだったということにおいても、異例だった映画『死者の書』の8週間の上映も、始まってみればあっという間のことでした。
 実際に観てみると、“アニメ”というよりは、やっぱり岩波ホールらしい格調高い芸術作品でした。

 岩波ホールでアニメーションが上映されるのは、実に30年ぶりだそうで、そういう意味でも、この『死者の書』の上映は、快挙であり、そして画期的なことだったようです。

 30年前(正確には32年前)に上映されたのは、ノーマン・マクラレン監督の『パ・ド・ドゥ』(1967)で、ピエール・ジュールダン監督の『華麗なるバレエ』(1972)との併映で、<芸術家シリーズ第1回上映>という企画でした(1974年12月14日〜1975年1月31日)。
 この上映が、日本アニメーション協会が設立される1つの契機になったらしく、今回『死者の書』が岩波ホールで上映されることは、日本アニメーション協会現会長・川本喜八郎さんにとっても非常に感慨深いものだったと思われます。

 というわけで、ここでは、川本喜八郎さんの作品についてまとめてみました。

 ◆川本喜八郎フィルモグラフィー

 ・1968年 『花折り』(14分/16mm)[脚本・演出・人形・アニメーション]
 人形アニメーション。台詞あり。

 ・1970年 『犬儒戯画』(8分/35mm)[脚本・演出・美術・人形・アニメーション]
 人形の動きを1コマずつモノクロで撮影し、それを紙焼きしたものを1枚ずつフィルムで撮影。台詞あり(フランス語、日本語字幕)。
 *当ブログ関連記事

 ・1972年 『鬼』(8分/35mm)[製作・演出・人形・アニメーション]
 人形アニメーション。台詞なし、字幕あり。

 ・1973年 『旅』(12分/35mm)[製作・脚本・演出・アニメーション]
 切り紙アニメーション+実写写真。冒頭と最後に蘇東坡の漢詩が字幕で入る。

 ・1974年 『詩人の生涯』(19分/35mm)[製作・演出・アニメーション]
 切り紙アニメーション。台詞なし、字幕あり。

 ・1976年 『道成寺』(19分/35mm) [脚本・演出・人形・アニメーション]
 人形アニメーション。台詞なし、説明字幕がインサートで入る。

 ・1979年 『火宅』(19分/35mm) [脚本・演出・人形・アニメーション]
 人形アニメーション。ナレーションあり。
 *当ブログ関連記事

 ・1981年 『蓮如とその母』(93分/35mm)[監督・人形・アニメーション]
 人形アニメーション。台詞あり。

 ・1982〜84年 『NHK人形劇 三国志』(各45分、全68話)[人形美術]
 人形劇。

 ・1988年 『不射之射』(25分/35mm)[脚本・演出・人形美術・アニメーション]
 人形アニメーション。ナレーションあり(北京語版・日本語字幕付バージョンと日本語版バージョンあり)。上海スタジオでの製作作品。

 ・1988年 『セルフポートレート』(1分/35mm)[演出・人形美術]
 クレイ・アニメーション。BGMのみ。
 *当ブログ関連記事

 ・1990年 『いばら姫またはねむり姫』(22分/35mm)[脚本・演出・人形美術監督]
 人形アニメーション。ナレーションあり(チェコ語バージョンもあるらしい)。チェコとの共同製作作品。
 *当ブログ関連記事

 ・1991年 『注文の多い料理店』(19分/35mm)[監修]
 セル・アニメーション。

 ・1993〜95年 『NHK人形歴史スペクタクル 平家物語』(各20分、全48話)[人形美術]
 人形劇。

 ・1996年 『オムニバス 李白』(?/?)[?]
 CM?

 ・2003年 『連句アニメーション 冬の日』(105分/35mm)[企画・監督・アニメーション]
 人形アニメーション、クレイ・アニメーション、セル・アニメーション等、様々な手法の作品あり。川本自身は人形アニメーション。朗読あり。

 ・2005年 『死者の書』(70分/35mm)[脚本・監督・人形・アニメーション]
 人形アニメーション。台詞あり。

 こうして書き出してみて、また、実際に個々の作品も観てみると、川本喜八郎さんの作品は、アニメーションとしての手法や台詞の処理の仕方、製作の進め方など、それぞれの作品のスタイルは、かなりバラエティーに富んでいることがわかります。

 私個人の映画鑑賞史的に言うと、これまではなんとなく川本喜八郎さんの名前を知っていたという程度で、いくつかの作品を観たことはあっても、人形作家・辻村ジュサブローさんや他のアニメーション作家の作品と頭の中でごっちゃになっていたり、それが人形アニメーションだったのか、人形劇だったのか、記憶的にも曖昧だったりしました。
 現実問題としてこれらの作品に触れる機会は日常的にはあまりないので仕方がないと言えば仕方がないんですが、こういう“日本を代表するアニメーション作家”(←映画『死者の書』のチラシにあった形容ですが、まさにその通りでした)に対してそういう認識しか持っていなかったのかと思うとちょっと恥ずかしいですね。

 川本さんは、自主製作、つまり、誰かがお金を出してくれるわけではないところから映画作りをスタートさせて(自分でお金を出して、自分の満足できる作品を作るところから始めて)、他の追随を許さない(やりたくてもまねできない)やりかたで現在のようなアニメーション作家となったわけで、作品それ自体が魅力的であるのはもちろんですが、そういう“アニメーション作家としての立ち位置のユニークさ”も相俟って、ファンや同業者、後進のアニメーション作家からも深い尊敬を集めているようです。2月〜3月に行なわれたユーロスペースでの回顧上映は、“retrospective川本喜八郎”ではなく、“respect川本喜八郎”と銘打たれていたのも、そういうわけだったんですね。

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 ◆川本喜八郎をもっとよく知るための書籍

 @『ニュータイプイラストレイテッド・コレクション 川本喜八郎 アニメーション&パペット・マスター』(角川書店 1994年12月1日初版発行)
 『いばら姫またはねむり姫』までの各作品をシーンごとのビジュアルを添えて、詳細に紹介。そのほかに、詳細なプロフィール&バイオグラフィー、ゲスト&スタッフ・トーク集、メイキング・オブ・パペット&アニメーション、『NHK人形歴史スペクタクル 平家物語』までの人形名鑑など。川本喜八郎作品を知り、楽しむための必携の書。
 ネット上で検索できる各種映画データベースでは、残念ながらほとんど川本さんの作品の詳細について知ることはできません。そうした意味でもこの本は貴重ですね。
 初版は1994年刊ですが、2006年1月刊の第7刷の年譜には1997年まで書かれています。

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 A『夜想34 パペット・アニメーション』(ペヨトル工房 1998年7月25日発行)
 口絵4ページ、おかだえみこさんによる作家評8ページ、おかだえみこさんによるインタビューが10ページあります。

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 B『アート・アニメーションの素晴らしき世界』(エスクァイア マガジン ジャパン 2002年6月20日発行)
 インタビュー記事が4ページと『不射之射』に関する撮影秘話が1ページあります。

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 C『日本と世界のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと 2003年6月12日発行)
 日本114名、海外24名のアニメーション関係者(実作者、スタッフ、評論家)へのアンケートによるアニメーションの投票結果と各作品を詳しく紹介しています。取り上げているアニメーションのタイトル数が圧倒的に多いので、作品や作家について何かちょっとした情報がないかと思う時、大変重宝する1冊。川本作品は9作品がランクインしています。

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 D『エスクァイア日本版 2003年8月号臨時増刊 アート&アニメーション』(エスクァイア マガジン ジャパン 2003年8月1日発行)
 川本喜八郎企画作品『冬の日』に関する特集記事が14ページにも亘っています。

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 ・DVD『川本喜八郎作品集』(ジェネオン エンタテインメント)
 収録作品:『花折り』『犬儒戯画・全長版』『鬼』『旅・全長版』『旅・再編集版』『詩人の生涯』『道成寺』『火宅』『セルフポートレート』『不射之射』『いばら姫またはねむり姫』。

 追記:
 E『別冊太陽 人形―この命あるもの』:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200709/article_15.html

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 ◆各作品について

 ・『花折り』
 原作=壬生狂言「花折り」
 『日本と世界のアニメーションベスト150』104位(54pt)
 ユーモアがあって、微笑ましい川本作品は実はこれと、初期のCM作品を除けばあとは『セルフポートレート』くらい。小坊主がお酒の香りに我知らず誘われていく表情や動き、それからおいしそうにお酒を飲むところ、楽しそうに酔っ払っているところなどが特に素晴らしい。
前掲書@で淀川長治さんも岸田今日子さんも言っていることですが、人間の情念の深い部分を描いた作品ももちろんいいんですが、こういう“軽み”のある作品をもっともっと作ってくれればいいのに、と私も思いますね。
ストップモーション・アニメーターの峰岸裕和さんやアニメーション・カメラマンの田村実さんも絶賛の1作(前掲書@)。

 ・『犬儒戯画』
 原作=横光利一「シルクハット」
 絵のタッチも人形も物語もおよそ日本人っぽくなく、ナレーションがフランス語で、演出もニコラ・バタイユだということもあって、フランス人アニメ作家の作品だと言われても信じたかもしれない。
 一言で言い表すなら、シュールな作品か、「資本主義社会をシニカルにとらえた風刺的な作品」か、あるいは、不条理劇というところか。
 恩師である飯澤匡さんに「なんですかこれは。ちっともわかりません」と言われて(前掲書@)反省した(?)のか、以後、このような理知的な側面や、クールな色合いはすっかり影を潜め、もっぱら(「日本人」の、または、「女」の、あるいは、「人間」の)情念や妄執を描く方向へと進む。川本作品としては他のどの作品ともあまり似ていない異色な作品。

 ・『鬼』
 原作=『今昔物語』の「猟師の母鬼になりて子を噉はむと擬するものがたり」
 老女の情念をテーマとし、日本の伝統的様式美(文楽的な人形、金蒔絵の背景、三味線と尺八による音楽)を作品全体に展開させ、視覚的・物語的な驚きもあって、後の川本ワールドにつながる作品。
 『日本と世界のアニメーションベスト150』61位(90pt)。この作品についてのコメントは森卓也さん。

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 ・『旅』
 冒頭と末尾に引用される漢詩は「盧山は煙雨 浙江は潮 到らずんば千般の恨を消せず 到り得帰り来れば別事なし盧山は煙雨 浙江は潮」。
 シュールで終末観ただよう世界に、女性主人公が旅をして帰ってくる物語。絵のタッチや作品世界は、ダリなどのシュールレアリズムの画家たちの作品を思わせます。この作品もフィルモグラフィーの中では異色中の異色。
 音楽の違うバージョンがいくつかあるようです。

 ・『詩人の生涯』
 原作=安部公房「詩人の生涯」
 物語世界も絵のタッチ(パステルでセピア・トーン)もプロレタリア的。数少ない「現代」もの。
 「綿」のように疲れてしまった母が糸車に手を挟みこまれて、その体が見る見るうちに綿となって巻き上げられていく部分が素晴らしい。雪が降るシーンもいい。
 『日本と世界のアニメーションベスト150』122位(44pt)。

 ・『道成寺』
 原作=『今昔物語』の「安珍清姫」、能「道成寺」。
 のちに川本アニメの1つの見どころとなるスペクタクル性がはっきりと刻まれた作品。女が鬼となり、龍となって、日高川を渡っていく場面が特に素晴らしい。

 ・『火宅』
 原作=『大和物語』、能「求塚」。
 『道成寺』の背景が平面的だったのに対して、『火宅』では「奥行き」をもたらすことにチャレンジがなされています。
 「2人の男性から求愛されて、どちらを選ぶこともできずに死を選んだ女性が死してなお苦しみ続けている」という「不条理な物語世界」も面白く、スペクタクル性も進化していて、川本作品の頂点とも見なされる作品。作品世界的には『死者の書』に最も近い作品(死してなお成仏できない魂、妄執、そして祈り……)で、『死者の書』は『火宅』をスケール・アップさせた作品と見なすこともできそうです。
 『日本と世界のアニメーションベスト150』65位(83pt)。

 ・『蓮如とその母』
 原作=平井清隆『蓮如とその母』
 原作があって、脚本は新藤兼人さんが手がけていますが、正直なところ、「妻を思い、子を思い、母を思い、女性を尊び、無意味な殺生を嫌う人物」として描かれる蓮如像とストーリーはあまり面白くありません。
 本願寺焼き討ちのシーンや応仁の乱のシーンでの炎の処理、画面上方から前面に押し寄せてくる山法師のシーン、波をかき分けて進む船、などはスペクタクル的な見どころは多々あり。
 この作品では、2次元的な広がりの背景を3次元的な人形が出入りしたり、人形のうちのいくつかは表情を変えたりもします。
 山法師に対して農民が糞尿を浴びせかけるというのは、実際にあったことなのか、それとも三里塚闘争的なものが原作者もしくは脚本家のイメージの中にあったのでしょうか。
 単独の川本作品としては最も長い作品。
 『日本と世界のアニメーションベスト150』463位(10pt)。

 ・『NHK人形劇 三国志』
 原作=羅貫中『三国志演義』
 DVD
 『川本喜八郎 三国志百態』

画像

 ・『不射之射』
 原作=中島敦「名人伝」。
 人間の情念の奥深いところに迫れているかどうかというところで作品の価値を判断するなら、他の川本作品に優位を譲るかもしれませんが、エンタテインメント作品としてはこの作品がベストなのではないでしょうか。物語も面白いし、美術も素晴らしい。スペクタクル的には、師との対決のシーンが特にいいですね。
 2002年に劇場公開された<上海アニメーションの奇跡>の中の1作品としても上映されています。その時、上映されたのも橋爪功さんによるナレーション版でした。
 『日本と世界のアニメーションベスト150』463位(10pt)

画像

 ・『セルフポートレート』
 川本さんは瀬川瑛子さんが好き、かどうかはともかく、BGMである「命くれない」の歌詞の世界「♪生まれる前から結ばれていた〜」というのは、川本さんが好んで描く女性像と相通じるものがあるように思います。作品の内容とBGMは全く関係ない……と思ったのですが、ひょっとすると「生まれる前から結ばれていた」のは川本さんとアニメーションの関係を指すのかもしれません。
 この作品は、アニメ作家David Ehrlichが、1988年に、5カ国(チェコスロヴァキア、エストニア、日本、アメリカ、ユーゴスラヴィア)のアニメーターに自分をモチーフにして作品を作るよう依頼した短編の1つで、他のアニメーターは――
 イジー・バルタ、サリー・クルックシャンク、ボリヴォイ・ドヴニコヴィチ、David Ehrlich、木下蓮三、パヴェル・コウツキー、Candy Kugel、マッティ・キュット、ニコラ・マイダック、Josko Marusic、手塚治虫、プリート・パルン、ビル・プリンプトン、Maureen Selwood、ヤン・シュヴァンクマイエル、リホ・ウントゥ、ハルディ・ヴォルメル、Dusan Vokoti。

 ・『いばら姫またはねむり姫』
 原作=岸田今日子「いばら姫またはねむり姫」。
 1作ごとに新しいチャレンジを試みる川本さん。この作品は、童話“Sleeping Beauty”をパロディーにした大人のおとぎ話風の作品で、人形も西洋風なら、背景も中世ヨーロッパ世界で、人形も、美術も、音楽も、チェコの方の手によるもの(衣装制作は日本人との共同制作)。
 川本さんが師事したイジィ・トルンカのトルンカ・スタジオとの共同製作による作品で、トルンカ・スタジオのマークが入った日本のアニメとして、あの天馬のマークを見ただけでもなんだか感激してしまいます。
 岸田今日子さん自身、この物語を「ハッピーエンドではない」と語っていらっしゃいます(前掲書@)が、ほろ苦くはあっても、他の川本作品と比べると十分ハッピーなんじゃないかと私なんかは思ってしまいます。
 川本作品としてはほとんど例外的にセクシーなシーンもあります。
 関連サイトhttp://www.kratkyfilm.com/catalogue/html/276.htm
 『日本と世界のアニメーションベスト150』185位(29pt)

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 ・『注文の多い料理店』
 『日本と世界のアニメーションベスト150』115位(47pt)

 ・『NHK人形歴史スペクタクル 平家物語』
 原作=吉川英治『新・平家物語』
 DVD
 『日本と世界のアニメーションベスト150』821位(8pt)
 『「新・平家物語」人形絵巻』

画像

 ・『オムニバス 李白』 この作品に関してはあまり情報がありません。前掲書Aのインタビューでこの作品について少し触れた部分があって、アプソリュート・ウォッカ「李白」のためのCM作品(アプソリュート・ウォッカ・カンパニーというスウェーデンの会社が世界の25人(24人?)のアニメーション作家に、作品のどこかにアプソリュート・ウォッカの瓶を入れることを条件に作品を発注したもの)だとわかりますが、独立した作品として見られるようになっているものがCMとは別にあるのかどうかも定かではありません。
 Animation World Magazineにこの作品(企画)に関する情報があります(http://www.awn.com/mag/issue1.11/articles/news1.11.html)。
 アプソリュート・ウォッカ・カンパニーは現在も複数の日本人を含む様々なクリエーターに作品を発注しているようです(http://absolut.com/)。
 アプソリュート・ウォッカ「李白」のCMは、『日本と世界のアニメーションベスト150』で245位(20pt)。

 ・『連句アニメーション 冬の日』
 公式サイトhttp://www.fuyunohi.com/
 DVD
 DVD BOX

画像

 ・『死者の書』
 原作=折口信夫『死者の書』。
 公式サイトhttp://www.kihachiro.com/index2.htm←「インタビュー」や「制作日記」が読めます
 観世銕之丞さん、黒柳徹子さん、岸田今日子さん等、これまで川本作品に関わってきた方の多くが、キャストなり、スタッフなりで参加している作品で、そういう意味でも集大成的な作品。
 しゃべっている時に人形の口が動く作品は、川本作品としてはこれがはじめてだったでしょうか。
 「僕もできればアニメーションをもう1本、つくりたいと思っているんですけど。折口信夫の『死者の書』という小説をね、一部にはCG(コンピュータ・グラフィックス)なんかも使ってやってみたいんです。」(前掲書@)
 「『死者の書』はお金がかかりますんで、今プロデューサーがどうやってお金を集めようかと四苦八苦してくれています。インターネットを使ったらどうなんだろうという案も出ています。実現すればセットもすごいのができるんですよ。大伴家持と恵美押勝が話をしている場面から、カメラがズーッと移動していくとその向こう側に開け放たれた貴族の庭園がうわっと見えるという場面も考えているんです。そういう広がりのある空間を使った映画って僕はまだやったことがないからぜひ実現したいと思っているんです。奈良の街を俯瞰する群衆シーンなんかも予定しているんですが、どうやろうかって考えています。大変な作業になるでしょうけど、やったことがないことをやるほうが面白いですね。」(前掲書B)
 前掲書Dでは、製作費3億円、撮影に1年かかるこの作品について「ひとこまサポーター」の参加の呼びかけも掲載されていました。

 *この映画のポスター・デザインは、小笠原正勝さんと秋山京子さん。小笠原さんは、ポスター・デザインの大御所で、その作品を読み込んで、自分の解釈を明確にした上でデザインすることで知られています。
 今回のポスターを見てみると、上に大津皇子とその亡霊がオーバーラップし、下に蓮の糸で布を織り続ける藤原南家郎女、左下には二上山、右下には曼荼羅図を配し、中央には大きな三角を置いています。三角は、大津皇子の塚の象徴か、もしくは藤原南家郎女の祈り(と仏教による救済)によって大津皇子の恨みが浄化されて、極楽浄土に昇っていくことをイメージしたもの、ということになるでしょうか。

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 ◆リンク集

 ・日本アニメーション協会 公式サイト(http://www.jaa.gr.jp/j/)
 「オンラインシアター」「おどろき盤」「世界のアニメーションフェスティバル情報」などもあって楽しめます。

 ・川本喜八郎人形美術館(仮称) 公式サイト(http://www.city.iida.nagano.jp/puppet/kawamoto/index.shtml)
 飯田市で進められているプロジェクト。川本さん自身もここでワークショップを開きたいと発言されています(前掲書B)

 追記 「川本喜八郎人形美術館に行ってきました!」:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200709/article_8.html

 ・百米映画社(100MeterFilms)の公式サイト(http://www.100meterfilms.com/jp/index.html)
 映画監督ジョン・ウィリアムズさんの会社百米映画社のサイト。『死者の書』、および“respect川本喜八郎”の宣伝に関わっているようです。
 現在ネット上で得られる、これまでの川本作品に関する情報はここが最も詳しい。

 ・Web Newtype(http://pc.webnt.jp/special/sp060217.html)では、『死者の書』に関して、川本監督とアニメーター・森まさあきさん(『死者の書』にアニメーターとして参加)の対談を読むことができます。

 ・森まさあきさんの公式サイト(http://homepage3.nifty.com/moricr/)

 ・りあんさんのサイト「りあんの本棚」(http://www2.plala.or.jp/Lian/bookindex/kenbunroku/000212.htm)
 2000年に渋谷区立松涛美術館で開催された「川本喜八郎人形展」についてのレポートがなされています。

 ・フカマチエミコさんのブログ(http://aircastle.jp/blog/archives/cat7/index.html)
 映画『冬の日』に関して、参加作家と作品に関する情報がまとめられています。

 ・ゆきおとこさんのブログ「El Espacio del Recreo」(http://spaces.msn.com/ran-maru-0901/PersonalSpace.aspx)
 ゆきおとこさんは、百米映画社のスタッフさんのようです。

 ・『死者の書』原作者折口信夫さんに関するWikipedea(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%98%E5%8F%A3%E4%BF%A1%E5%A4%AB)

 ・松岡正剛さんのサイト「松岡正剛の千夜千冊」(http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0143.html)
 原作『死者の書』に関する書評&解説。

 ・中西忠さんのサイト「法隆寺観光ガイド」(http://www.eonet.ne.jp/~kotonara/taimadera.htm)
 映画『死者の書』の舞台ともなっている當麻寺(たいまでら)について詳しく紹介してあります。

 ・製作会社桜映画社の公式サイト(http://www.sakuraeiga.com/01.html)

 ・川本さんが代表委員を務める日本人形玩具学会の公式サイト(http://www.dollandtoy.jp/index.html)

 ・ふゅーじょんぷろだくとの公式サイト(http://www.comicbox.co.jp/)
 前掲書Cのほか、『ユーリー・ノルシュテインの仕事』や「月刊COMIC BOX Jr.」の発行、複合文化施設ラピュタの運営など、アニメやコミックに尽力されています。

 ・「平城遷都1300年記念事業」のサイト(奈良県企画部平城遷都1300年記念事業準備事務局が『死者の書』に「協力」としてクレジットされています)(http://www.pref.nara.jp/1300/001_hajimeni/index.html)
 「空から見る奈良・平城京」「平城京跡パノラマ体験」というコンテンツもあります。

 [キャッチ・コピーで選ぶ日本映画 2006年1月〜3月]

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして、海から始まる?!様
拙ブログのささやかな記事にTBつけていただき、TBありがとうございました。

来た人がここへ辿り着けば詳しく分かりますので、とても感動して一言では語りきれないのに、本筋(=着物話)とは関係ないのであえて禁欲したので、とってもありがたいです。

人形アニメーションは昔外国作品を少しばかり見、アニメーションではないけれど文楽人形?を「ドグラ・マグラ」で見て、それぞれ気に入っていたので、あまり予備知識なく期待して見に行きました。予想をはるかに上回る作品で、音も素晴らしく、何度も見たいと思わせるものは久しぶりでした。

「単騎、千里を走る」は見たかったなぁ‥。いつも、見たいと思って見ずに終わってばかりです。
eribow
URL
2006/04/06 21:31
TBありがとうございました。
とっても詳しく紹介されていて、感心するばかりです!
今後ともどうぞよろしく願います。
シバタ
URL
2006/04/07 01:56
 こんにちは
 当方の「らくがきちょう」をお訪ねいただきありがとうございました。
 また、こんなに映画への愛に満ちたブログにトラックバックいただいて、感激してます。
 映画『死者の書』を観てから、ものを創り(造り)続ける人々に強い憧れを感じます。また、そういう人々が尊敬され、大事にされる世の中であって欲しいと思いました。
 
井戸端雀
URL
2006/04/07 11:21
ブログ「飴チョコひとつぶ」にTBくださってありがとうございました。詳しい情報を知り、今感激してます!
飴ちゃん
2006/04/08 10:34
TBありがとうございました。こちらの詳しい情報、参考になります!
三十路アワー
URL
2006/04/09 16:26
すごいですねぇ。
私は、今夏「死者の書」をみて感動して、今近くで川本人形アニメーション短編を上映しているところなので、通わねば!とおもっていたところです。予習ができてありがたいです。
虹のうず
URL
2006/08/06 09:51
虹のうずさま
コメントあリがとうございます。
東京でのロードショー終了時点では他のどこにも上映予定が決まっていなかったので、もったいないことだと思っていたのですが、今は、あちこちで上映されているようで、ホッとしています。
umikarahajimaru
2006/08/06 15:30

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