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zoom RSS 名シーンがいっぱい! 『青空のゆくえ』

<<   作成日時 : 2006/03/25 07:24   >>

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 『ルート225』を観た後で、多部未華子の出演作を押さえるためにDVDで『青空のゆくえ』を観たんですが、これが期待を遥かに超える佳作でした!映画館で観れば、きっと「見つけちゃった感」のある作品になったと思いますね。それほどよかったんです。
 2005年度のキネ旬のベストテンでこの作品を選んでいる人はたった1人しかいませんでしたが(たぶん観た人が少ないのだと思います)、青春群像映画の佳作としてもっともっと評価されていい作品だと思います。

 現時点での長澤雅彦監督(『ココニイルコト』『ソウル』『13階段』)の最高傑作と言い切っていいと思いますね(『卒業』はまだ観てないけど)。監督自身にとっても、やっと自分の得意とするジャンルを見つけたというところではないでしょうか。

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 ◆物語&人物構成

 主人公は、中3の1学期の終わりに(両親の都合で)突然アメリカに行くことになった男子ですが、彼自体はさほどパッとしません(笑)。それよりは、彼をめぐる5人の女子同級生が非常に魅力的で、映画も、彼女たちの心の揺れ動きを描くことに力を注いでいるようです。ビデオのパッケージにも彼の顔は一切載っていませんし。
 物語を構成する主な登場人物(の設定)は、以下の通り。

 ・高橋正樹(中山卓也):中3の夏休み期間中に両親の都合でアメリカに行ってしまうことを発表した主人公。バスケットボール部キャプテン。やり残したことは1つあると発言。好きな人もいたけど……とも漏らす。――やさしく、たくましく、単純で、他人が自分のことをどう思っているかとかには無頓着だったりもし、それが愛嬌にもなっている。つまり、『七人の侍』における菊千代(三船敏郎)や、一時期の赤井英和のようなキャラで、“日本人に愛されやすい男性のタイプ”の1つ(言い方は悪いかもしれないけれど、単純化すれば、“やさしくって、ちょっとバカ”キャラ)。
*本作には三船敏郎の孫である三船力也も山下勝也役(こわもてで、中山卓也とは因縁の関係らしい)で出演しています。

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 ・速見有美(森田彩華):バスケットボール部女子キャプテン。いつも身近に正樹を見ていて、一番彼を理解しているつもりでいたのに、突然いなくなってしまうと言われて、裏切られたように思う。
 クレジットのトップ(の役)なのに、物語の途中までは、キャラクターがオーソドックスすぎて、あまり面白みのない損な役回りだなあと感じさせられてしまいますが……。ひょっとすると制作段階では、森田彩華が最も知名度があったということなのかもしれません。

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 ・高橋亜里沙(黒川芽以):学級委員長。学校の外で偶然正樹と出会い、半日一緒に過ごしたことで、急に正樹のことを意識するようになる。
 男子とはじめて親密な時間を経験して、それを彼女は恋と勘違いしてしまっている。とも考えられますが、まあ、そもそも恋の始まりなんてそんな風なもので、それから段階を追って相手のことを深く知っていくようになり、もっと好きになったり、やっぱり自分とは合わないなと気づいたりするのかもしれません。

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 ・河原春奈(多部未華子):正樹とは幼なじみで、家族ぐるみでつきあってもいて、正樹がアメリカに行くこともずっと前から聞いていた唯一の存在。気のおけない関係だけれど、恋に発展することもない。春奈自身は、正樹にほのかな恋心を秘めているようでもあるけれども、そういう自分の気持ちに素直になることもできない。

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 ・鈴木貴子(悠城早矢):ぶっきらぼうで男っぽく、クラスでもちょっと浮いている感じ。正樹とだけは、男子とか女子とかを気にせずに気軽に話をすることができる。女子の中では唯一シャツの第一ボタンを開けている。

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 ・市田尚子(西原亜希):帰国子女。日本の中学には馴染めないけれども、中学を卒業したら、またイギリスに戻るので、それでもいいと思っている。クラスメイトたちからも距離をおかれているが、唯一、正樹だけは気軽に話しかけてきて、海外での学生生活のことなど教えたりする間柄(メル友)になっている。

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 物語の構造としては、1人の男に女5人、という構図で、正樹1人があまりにもモテモテに見えますが、そうではなくて、「そのまま普通に卒業したら、何事もなく別々の道に進んだはずの相手が、突然いなくなると聞かされたことで、急に意識することになった(だけ)」、と見ることもできそうです。

 物語自体は、思春期の5人の女の子の心模様を描くのが目的で、本当は対象となる男子を正樹1人にする必要はなかったのだとも言えますが(5つのオムニバスでもよかった)、1つのきっかけ(あとわずかで身近にいた人間が目の前からいなくなる)を与えることで、それを1つの物語としてうま〜く紡いだのがこの映画(の脚本)なのだ、とも考えられます(だから、主人公・正樹は愛されやすいキャラでありさえすれば誰でもいいのであって、同じ理由から結果的に彼の印象が少々ぼんやりしてしまってもいるのだとも言えます)。

 5つのタイプの女の子の役に5人のキャスト。場合によっては、役を入れ換えることもできたかと思うのですが、どうでしょうか。
 例えば、『HINOKIO』のキャラの延長線上で多部未華子を起用するなら、彼女は鈴木貴子役になってもよかった、かもしれません(映画中では、正樹が、春奈と貴子は「単純でまっすぐなところが似てる」と言う台詞があります)。とはいえ、春奈が幼なじみゆえに正樹(=観客)に見せる親密感は、非常に魅力的で、得がたいものなので、これはこれで大正解なのですが……。
 ちなみに、これら5人の女性では、世界観の広がり(どれだけ他人のことが見えているか)にはけっこう違いがあります。
 春奈→貴子、有美
 貴子→春奈、尚子、有美
 亜里沙→有美
 有美→亜里沙
 この脚本では、春奈と貴子(意外と?)に他人を思いやらせるポジションを与えています。

 もし自分がこの物語の中にいたら、どのキャラに近いか、どういう立場を選ぶか。何人かの登場人物には誰しも感情移入できる部分があると思いますが、自分に最も近い登場人物を選ぶとしたら、それは誰か?ということも考えてみたくなります。
 私だったら――ちょっとひねくれものの貴子のポジションでしょうか。でも、貴子は屈折しているようでありながらけっこう自分の気持ちに正直で、大胆に行動したり(正樹と2人きりでハンバーガー・ショップに入っても平気)、言いたいことは言ってしまったりするさっぱりした性格 (正樹がいなくなると聞いて「寂しい」と口にするのも貴子だけだったりする) なので、ちょっと違うかもしれません。
 それよりは、仲良しで、楽しそうな彼ら7人を横目で見て、仲間に入れてほしいと思いながら、そう思っていることを隠して、受験勉強に精を出すようなつまらない男子、になってしまうかもしれません(苦笑)。

 ※青春群像を描いた近作の映画を探すと、『blue』『ラヴァーズ・キス』『花とアリス』『リンダリンダリンダ』『子猫をお願い』『藍色夏恋』、それから『櫻の園』や『バトル・ロワイヤル』なんかもこの範疇に入るかもしれません。

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 ◆多部未華子

 撮影時期と公開時期にはけっこうズレがあり、成長著しいこの年頃にあって、作品により、大人びて見えたり、子どもっぽく見えたりするようです。

 撮影時期を推理すると――
 ・『理由』(2004年12月公開) 2003年10月〜11月撮影(http://bbs.com.nifty.com/mes/cf_wrentC_list/FJMOVIE_B028/wr_type=C/wr_page=1/wr_sq=03101112011700024419)

 ・『HINOKIO』(2005年7月公開) 2004年春休み撮影(http://yokoku.cocolog-nifty.com/33/2004/04/_hinokio.html)

 ・『青空のゆくえ』(2005年9月公開) 2004年夏休み撮影
 *映画の中で『ファインディング・ニモ』の立看板が見え(2004年6月ビデオ化)、『クイール』を上映している映画館(名画座)が見えます。
 多部未華子自身は、この作品の舞台挨拶で、<この作品は2本目の映画で、現場にも大分慣れて、楽しめるようになった>、と語っています。

 ・『ゴーヤーちゃんぷるー』(2006年6月公開予定) 2004年秋撮影(http://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1097097405/1)

 ・『ルート225』(2006年3月公開) 2005年春休み撮影

 ・『夜のピクニック』(2006年公開予定) 2005年夏休み撮影(http://www.sanspo.com/geino/top/gt200508/gt2005080309.html)

 ・「対岸の彼女」(2006年1月放映) 2005年秋撮影(http://homepage3.nifty.com/kakip-/shinsengumi_npp_2.html)

 ・「ブレスト 女子高生、10億円の賭け!」(2006年1月放映) 2005年12月撮影(http://www.sanspo.com/geino/top/gt200511/gt2005112916.html)

 ・「すみれの花咲く頃」(2006年放映予定) 2006年春休み撮影(http://www1.town.bandai.fukushima.jp/t_navi/lg/2006/03/042_03_nhk.htm)

 長澤監督に、『夜のピクニック』の監督が任されたというのは、たぶん同じ青春群像劇である『青空のゆくえ』での演出手腕を買われてのことだと思います(制作会社も同じムービーアイ・エンタテインメント)。
 『青空のゆくえ』に引き続き、多部未華子が『夜のピクニック』にも出演(主演)するということは、監督(あるいはプロデューサー)にとっては多部未華子が一番のお気に入りだった、ということなのかもしれません(『夜のピクニック』には西原亜希も出演していますが)。
 そう思って調べてみると、そもそも『HINOKIO』がムービーアイの企画であり、そのオーディションで俳優志望のティーンたちを見て、青春映画を作ってみたくなって(ムービーアイの)プロデューサーが企画したのがこの『青空のゆくえ』であり、さらに、その延長線上にあるのが、『夜のピクニック』であったということのようです。そしてこれら3作品すべてをつなぐのが、ほかならぬ多部未華子なんですね。
 制作発表段階ではさして興味も沸かなかった『夜のピクニック』ですが、『ルート225』を観、『青空のゆくえ』を観た今では、俄然注目作になってしまいました!

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 ◆多部未華子以外のキャストについて

 ・中山卓也(高橋正樹役) 『船を降りたら彼女の島』(03)、『荒ぶる魂たち 許されざる者』(03)など
 *出身地である福井からの通いで芸能活動をしているらしい。ちょっと滑舌が悪いのか、台詞が聞き取りにくい部分もある。ルックスは船木誠勝に少し似てる、かな。
 関連記事:http://www.city.fukui.fukui.jp/eibun/kokubun/index2.html

 ・森田彩華(速見有美役) 『船を降りたら彼女の島』(03)、『メシア 伝えられし者たち』(04)、「エースをねらえ!」(04)、「アタックNo.1」(05)、「平成教育予備校」(05)など
公式サイト:http://www.oscarpro.co.jp/profile/morita/
 *ルックス的には「美少女」というよりは、ちょっとこぐまっぽい。

 ・黒川芽以(高橋亜里沙役) 『クラヤミノレクイエム』(00)、『問題のない私たち』(04)、『幽霊マンション』(05)、『ケイタイ刑事 THE MOVIE バベルの塔の秘密』(06)、「風のハルカ」(05)など
公式サイト:http://www.maynoshinme.info/
 *ルックス的にちょっと奥菜恵や小野真由美に似て見えたりもする。

 ・悠城早矢(鈴木貴子役) 「Sh15uya シブヤ・フィフティーン」(05)、「がんばっていきまっしょい」(05)など
 公式サイト:http://www.web-foster.com/foster/yukisaya_p.htm(←事務所のイチオシでないのか、情報量も少なく、データも更新されていない)
 *映画が始まってしばらくは森田彩華と悠城早矢がルックス的にかぶってしまって仕方がなかった、というのが私の印象。

 ・西原亜希(市田尚子役) 『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、『インストール』(05)、『夜のピクニック』(06)、「花より男子」(05)、三ツ矢サイダーのCM(04)
 公式プロフィール:http://www.mh-fujiga.com/nishihara.htm

 ◆各キャストの実年齢

 1986年生まれ 佐々木和徳(杉原雄大役)、橋爪遼(矢島信二役)
 1987年生まれ 黒川芽以、西原亜希
 1988年生まれ 森田彩華、悠城早矢、中山卓也、三船力也(山下勝也役)
 1989年生まれ 多部未華子 ←撮影当時実際に中3だった

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 ◆映画『青空のゆくえ』に関するトリビア
 N:『ビジュアルブック 青空のゆくえノート』、D:DVD『青空のゆくえ』特典映像、W:DVD『WAY TO THE 青空のゆくえ』

 ・各キャラクターには、それまでどういう人生を歩んできたかとか家庭環境とかが設定されているらしく、それは『ビジュアルブック 青空のゆくえノート』にも書かれています。
 例えば、速見有美・杉原雄大・鈴木貴子・山下勝也の4人が同じ小学校出身で、高橋亜里沙・高橋正樹・河原春奈・矢島信二の4人が同じ小学校であるとか、速見有美が5歳の時に仙台から東京に引っ越してきたとか、高橋亜里沙は小学校で生徒会長になり、有名私立を受験したが失敗しているとか……。【N】

 ・映画の撮影前に、山下勝也と矢島信二を除くメイン・キャスト7人で、親しくなることを目的とした合宿(山中湖)が行なわれたらしく、バスケットボールやボートを楽しむ姿がDVDの特典映像に収められています。その頃からキャストは役名で呼び合っていたらしい。その際に劇中で書いたことになっている「10年後の自分に宛てた手紙」も実際に書かれたようです。【N】【D】

 ・台詞は、脚本の読み合わせ段階で、「もっと他の言い方はないか?」と監督が各キャストに提案させることで練り上げられていっていて、それによって各俳優に役柄をなじませ、キャラクター作りを行なっていったらしい。だから、台詞がこんなにもイキイキしていて、7人(もしくは9人)のキャラクターづけがはっきりしているのだと思われます。【N】

 ・劇中で正樹が配っている新聞は朝日新聞。

 ・正樹たちのクラスは3年A組。

 ・劇中で春奈が読んでいるマンガは『NANA』。

 ・亜里沙のメガネは、用意されたたくさんのメガネの中から実際にかけてみて、選ばれたもの。【W】

 ・正樹・春奈・信二が3人で写っている子どもの頃の写真は、3人それぞれの子どもの頃の写真から顔だけすり替えたもの(たぶん)。

 ・貴子はカバンにバンビのマスコットを下げている。

 ・中山卓也は実は泳げない。【N】

 ・正樹がゲーセンでプレイをするシーンには監修役が付けられている。http://www.city.fukui.fukui.jp/eibun/kokubun/index2.html(←8月3日のところ)

 ・信二のボランティア・シーンには、社会福祉法人 浴風会の協力を得ているらしい。http://www.yokufuukai.or.jp/

 ・本作で使われる、亜里沙の部屋の参考書類は増進会受験研究社、バスケットボール関係はMIKASA、携帯電話はNTTdocomo、ウエアはWE GO(http://www.wego.jp/index.html)の協力を得ている。

 ・この映画は、実は、1度限りのものではなく、何年後かに彼らがその後どうしているか、を継続的にとらえていくという大きなプロジェクト(10年続くシリーズ)の最初の作品であるようです。【N】 しかし、残念ながらこの作品自体がさほどヒットしたとも言えず、ビデオが置いてあるレンタルショップも多くはないという現状では、その実現(作品化)は難しいかもしれません。せめて10年後にもう1本だけ作れればと思いますが、果たしてどうなるでしょうか。10年後、メイン・キャストが俳優活動しているかどうかも怪しく(引退していたら、別のキャストを当てるのでしょうか?)、制作側も事情が変わってきているかもしれません。

 ・DVD『WAY TO THE 青空のゆくえ』には、本編には登場しない、各キャラクターに関するミニ・シークエンスが収められています。尚子がメールの変換に手こずっていたり、貴子がルービック・キューブにハマっていたり、亜里沙がノートの片隅にパラパラ・マンガを描いていたり、春奈が下駄箱のズックを楽器を弾くかのように出し入れしていたり(←秀逸!)。

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 ◆ロケ地

 ・エンド・ロールには、品川区立荏原第三中学校と世田谷区立駒留中学校が「協力」として、クレジットされています。使用された学校校舎は駒留中学校のものだと思われますが、荏原第三中学校はバスケットボール部員に出演してもらったのでそれでクレジットされているのでしょうか。
 ちなみに、駒留中ではプールが校舎の内側にあるのに対して、荏原三中では校舎の外にあり、駒留中では体育館が通路でつながっているのに対して、荏原三中は独立して建っています。

 ・春奈の家・河原屋酒店:世田谷にある岩田屋。

 ・正樹と亜里沙の乗るバスは東急バスの渋72系統。バス停表示は、「桜橋」と読めますが、そのようなバス停はないようです。バス表示が変わったか、もしくはこの映画の中だけバス停表示を変えたのかもしれません。http://www.busnavi.net/tokyu/

 ・正樹と亜里沙の行く本屋:渋谷ブック・ファースト(だとしたら、普通はセンター街を通ってはいかないはずですが、きっとセンター街を歩いている「画」が欲しかったんだと思われます)。

 ・正樹と亜里沙が携帯で記念写真を撮るのは、渋谷・東急本店前。

 ・正樹と貴子の自転車2人乗りのシーン:深沢緑道・深沢3丁目。

 ・有美と亜里沙が自転車を走らせるシーン:世田谷線沿いの街道。

 ・貴子が正樹と尚子がメル友だと知るお店:モスバーガー駒沢公園通り店。

 ・正樹と雄大が山崎まさよしのCDを買うCDショップ:フラップノーツ(三軒茶屋)。http://www.flapnotes.co.jp/

 ・正樹が貴子に春奈を引き合わせるゲームセンター:GIGO渋谷店。http://location.sega.jp/loc_web/shibuya_gigo.html

 ・亜里沙が返却し忘れていたビデオのタイトルは「ショートラブ」で、ビデオ店の名前は「KNOCKOUT 三軒茶屋店」。そういう名前のレンタルショップが実在しない(もしくは現在はない?)ところをみると、「ショートラブ」なるビデオ自体も実在せず、亜里沙の正樹への想いを象徴させた小道具らしいとわかります。

 ・正樹と勝也の別れのシーンは世田谷線を1時間だけ借り切って、のらりくらりと走る電車の中で超特急で行なわれた。【W】

 ・貴子と尚子が買い物をするスポーツ・ショップ:渋谷パルコ クアトロのGALLERY2。http://www.gallery2.co.jp/PC/shop/tokyo/2/3F/

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 ◆感想をもういくつか

 ・正樹と杉原雄大(佐々木和徳)には、同性愛的な感情があるんじゃないか、と思える部分が多々ありました(本人も無自覚で、脚本上でも意図していないことだとは思いますが)。次の瞬間にキスしてもいいんじゃないか、と思える瞬間さえありました(というか、映画の文法的に見ると、2人はそういう関係と見てもおかしくない描かれ方をしていると思われます)。正樹が好きだったのはひょっとして……?いや、そんなことはないですよね。雄大と有美のエピソードは、そういう疑いを打ち消すためにあえて入れられたのかもしれません。
 同様な関係を思わせる女子もいないではありませんでしたが……。

 ・正樹は、親の事情でアメリカに行くことになったと言っているわけですが、祖父母は同じ家に残るわけで、日本にとどまろうと思えば、とどまることができたわけです。だから、アメリカに行くことに決めたのは、結局は正樹自身の意思なのですね。

 ・この映画を魅力的なものにしている1つに音楽があります。『初恋の来た道』や『あの子を探して』の音楽監督であるサンパオを起用したところがミソですね。これは、制作会社であるムービーアイに、北京オフィスがあって、中国映画人と交渉しやすいから実現したものだと思われます。
 *同様の趣向には、映画『がんばっていきまっしょい』に、韓国人ミュージシャン、リーチェ(イ・サンウン)の楽曲を使うという前例がありました。

 ・クラスメイトなのに貴子が春奈や尚子と話したことがなかったりするのは、たぶん、まだ1学期であるから。苗字が出席簿順(五十音順)で近いと何かと親しくなる機会があるはずなので、そういうことも考えて役の苗字が設定されている可能性もあります。

 ・キス・シーンすらない恋愛映画って最近のはやりですが、これもそうでしたね。だから、より清々しい映画になったとも言えるのですが……。これが高校生の設定だったら、こんな風に自然にピュア感を出すっていうわけにもいかなかったと思います(それゆえ、舞台が高校である小説『夜のピクニック』は、ちょっと“きれいごと”すぎる感じがするんですよねえ)。

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 ◆名場面集

 ・「やっぱ、ちょっと寂しいか?」「ばっかやろう!すっごく寂しいよ!」

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 ・「ダブル高橋だ!」

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 ・「まいど!いる?」

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 ・「照れてんの?」「照れてないよ」

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 ・「高橋……」「えっ!」

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 ・「オレもいるぞ!」

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 ・「ホールディングは反則だよ!」

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 ・「亜里沙だよ!」

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 ・「引越って今まで目の前にあったものが急になくなっちゃうんだよね。友だちも。例えば、好きだった人も、ケンカしてた人も。助けられたんだ、高橋くんに」

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 ・「悪かったな、ケリつけられなくて」

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 ・「委員長、願い事!」「えっ!」

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 ・「委員長って言うのも今日で終わりだ」

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 ・「へんな顔!」「お互いね」

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 ・「元気でな」「うん。ごめんな」「見送っててやるから行きなよ」

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 ・アイツのいなくなった晩夏の空

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 ・「この空、アメリカにもつながってるんだよな」「むこうも晴れてるかな?」

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 ・「惚れてんな」「あなたに言われたくない」「2人とも本当に好きなのね」

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 ・青空のゆくえ

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 ◆その他の関連記事&サイト

 ・春奈のお父さん役を演じた岡村洋一さんのサイト「岡村通信4B」(http://home.catv.ne.jp/hh/boston/2004_48.htm)の2004年8月6日の記事

 ・出演している荒川優さんのブログ「優日記」(http://mycasty.jp/yuu0721/html/month/m_2_2005-08.html)、2005年8月23日の記事。

 ・橋爪遼さんと高校で同級生だったピの子さんのブログ「ピの子ワンダーランド」(http://blog.livedoor.jp/pinoco_wonderland/archives/2005-10.html)、10月1日の記事。

 ・本作でキャスティング・ディレクターを務めた空閑 由美子さんへのインタビュー記事「navitown」の「シネマな人」(http://www.navitown.com/cinemanahito/15main.html)。

 ・地域文化・エンタメブログ「トーキョーワッショイ」の関連記事(http://tkyw.jp/archives/001057.php)。

 ・映画『夜のピクニック』は2006年1月の時点で既に完成していて、関係者を集めた試写会も行なわれたようです。出演者・松田まどかさんのブログ「まどかめら」(http://madocamera.cocolog-nifty.com/madocamera/2006/01/post_c757.html)、1月20日の記事より。

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
TBありがとうございました。
「見つけちゃった感」まさしくその通りでしたヨ。とてもいい作品なのに公開規模が小さかったので惜しまれますね。
ノベライズも読みましたが、こちらは貴子の目線でずっと描かれていて、主人公的な存在でしたが、映画でも私はとても気になる存在だったので、妙に納得しちゃいました。
かのん
URL
2006/03/25 18:17
校舎として使われているのは荏原第三中学校ですよ バスケ部も荏原第三中の生徒です
でか自分生徒なので撮影見かけました 映画は観ませんでしたけど
ガンプ
2006/05/28 00:58
ガンプさま
そうですか。
学校のHPを見ても、地図で校舎の形を調べてみてもよくわからなかったんですよ。
貴重な情報ありがとうございました。
umikarahajimaru
2006/05/28 01:20
はじめまして。
この映画のDVDを観て大好きになり、タイトルで検索してこちらのブログにたどりつきました。
この記事以上に愛情にあふれた紹介記事はないんじゃないか、と思いまして自身のブログでも取り上げさせていただき、TBも送らせていただきました。
ほんっとに、「いい映画、見つけた!!」って感じですね。
ハンサム▽・w・▽
URL
2007/07/19 00:54
ハンサム▽・w・▽さま
コメント&TB&ご紹介ありがとうございました。
『ルート225』で多部未華子が好きになって、『ゴーヤーちゃんぷるー』の初日舞台挨拶にまで行ってしまった私ですが、このところの彼女の出演作は『こわい童謡』も『西遊記』も劇場に観に行こうかどうしようか迷っています。どうなんですかねえ。観て損はないということであれば観たいんですが、どちらも企画ものの匂いがぷんぷんするんですよね〜。
umikarahajimaru
2007/07/19 19:08
はじめまして。
僕は山田太郎で多部未華子を知った
新参者です。
これまでヒノキオ,夜のピクニック,
すみれの花咲く頃,と観て,
この「青空のゆくえ」にたどり着きました。

管理人様のおっしゃるとおり,とても良い
作品ですね。
5人の女の子,みんな好演してますが
やっぱり多部未華子さんの存在感は
すごいと思いました。
ぱぴぷぺぽ
2007/10/14 17:14
ぱぴぷぺぽさま
コメントありがとうございました。
『山田太郎ものがたり』からのご訪問ですか?
『山田太郎ものがたり』の彼女は、持ち前のナチュラルな演技がちょっとおおげさなものになっていて、映画からファンになった者としては少々がっかりだったのですが……。ま、テレビ・ドラマだとこんなものかなあとも思っていたのですが、今後に期待、ですかね? あのドラマへの出演で知名度も上がったみたいですし。
umikarahajimaru
2007/10/14 19:58
はじめまして。

この作品、すごく大好きで、このような記事をエントリーしている方がいらっしゃって嬉しいです。

ひとつお伺いしたいのですが、
「ホールディングが反則だよ」のシーンのロケ地はご存知ですか?
どうしても、そこだけがわからなくて。。。
もしご存知でしたら教えていただけないでしょうか?
よろしくお願いします。
ハナブサ
2009/04/03 14:59
ハナブサさま
コメントありがとうございます。
>どうしても、そこだけがわからなくて。。。
ということは、そのほかは大体わかるということなのでしょうか。恐るべし!
好きな映画のロケ地探しをされる人も多いですが(アニメ版の『時をかける少女』とか)、ハナブサさんもその口なのでしょうか。
残念ながら、上記のネタ本&DVDでわかる以上のことは私にはわかりませんね〜。
多部未華子から入ってこの映画にたどりつく人も多いらしいのですが、あのシーンが気になるということであれば、ハナブサさんは多部未華子ファンというのでもないのでしょうか。
umikarahajimaru
2009/04/03 22:11
umikarahajimaruさま
ご解答ありがとうございます。
そうですか、「もしご存知なら」にかけていました。
「青空のゆくえ」のような青春群像が大好きで、しかも好きな三軒茶屋が舞台ということで、ロケ地は全部知りたいみたいなのがあり、上映以来やっきになっています(笑)

私は見た映画、ドラマのロケ地めぐりが好きなんです。
背景のビルや道路の電柱の広告、ガードレール(23区それぞれでデザインが違います)なんかで大まかに場所を特定できるので、あとは歩いて探すみたいなことを趣味にしています。
「時をかける少女」は京王線の聖蹟桜ヶ丘が舞台ですよね。多少の加工はありますが。
多部未華子もファンですよ。NHKの「つばさ」は毎日録画して見ています。川越にも何度か足を運びました。
彼女の作品では「夜のピクニック」が一番好きです。
等身大で演じているので気持ちよく見られますよね。

今後も、ちょくちょくチェックさせていただくので、よろしくお願い致します。


ハナブサ
2009/04/06 09:36
いまさら、どうでもよいと思いますが…
二日程まえに「青空のゆくえ」を初めて観ました。
撮影場所についての補足です。
校舎として使われているのは荏原三中というコメントがあるますが、細かく言いますと校門付近のシーン(森田さんが歩いているとこ)は荏原三中ではありません。なので、あそこが駒留中だと思いますよ。
DVDを観ていたら昔通っていた学校がでてきたのでとても驚きました。多部さんが近所に来ていたと思うと不思議な気分です。
フタバ
2010/09/04 13:38
フタバさま
恐れ入ります。
ちょっとコメントの内容がわかりにくいのですが、フタバさんの母校が荏原三中で、校門付近は荏原三中ではなかったということでしょうか。
umikarahajimaru
2010/09/04 17:49

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名シーンがいっぱい! 『青空のゆくえ』 海から始まる!?/BIGLOBEウェブリブログ
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