コメディーなので、ジム・キャリーのお得意のギャグにただ笑っていればいいのかもしれませんが、この映画についての感想が書かれたブログを読むと、この映画が「米大手エネルギー企業エンロンをモデルにしている」ことを指摘するものが結構多いんですね。エンディング近くで、主人公の同僚が「エンロンに再就職が決まった」とうれしそうに主人公に話すシーンがありますが(本作の設定は2000年)、エンロンはそのすぐ後、2001年に倒産しているわけで、それがまたギャグになっているわけです。 というわけで、そのことについてちょっとだけ調べてみました。劇場パンフには、「“転職のプロ”風樹茂インタビュー」、「ハリウッド・コメディ映画事情」、「パックン・マックン対談」なんていうものは載っていても、物語の背景については説明がなされていませんでしたから。まあ、それがギャグ映画に対する正しいアプローチなのかもしれませんが。 エンロンは、1985年にテキサスとネブラスカの天然ガス会社が合併してできた会社で、その後、電気、水道、ガス、通信などを先物取引することで、急成長を遂げ、全米で第7位の売上高を誇る大企業にまで成長しました。 しかし、合併・買収を通して株価を吊り上げていく一方で巨額の損失を出し、それを幽霊会社に飛ばして、いかにも儲かっているように見せかけていました。いわゆる粉飾決済も大掛かりなやつです。従業員には、年金資産で自社株を買うように仕向けながら(しかも売ることは認めない)、創業者でCEOであるケニス・レイは、自社株を売り抜けて巨額を手にした後、自らは全く傷つかない形でエンロンを倒産に追い込んで知らん振り。従業員が、職も年金も同時に失うことになっても、彼は一切関知しないという悪党ぶりなんですね。 映画では、全く同じような状況下で、事情を全然知らずに責任を取る立場に追い込まれた従業員が、ディック(ジム・キャリー)で、悲惨な状況に陥った彼が彼をそうした状況に追い込んだ相手に「復讐」を始めるというのが、本作のメイン・プロットになります。物語自体は、映画『おかしな泥棒ディック&ジェーン』(77)を下敷きにしているらしいのですが、それはまた別の話。 ディックには、一緒に責任を取らせられることになる人物に副社長フランク(リチャード・ジェンキンス 映画『スタンドアップ』でも好演)がいるのですが、彼にもモデルがいて、それは副社長であったクリフォード・バクスターという人で、2001年1月に自車であるベンツの中で拳銃自殺しています。43歳という若さで。彼の死に関しては、自殺ではないのではないかという疑惑もあるそうです。 ケニス・レイは、CEOをジェフリー・スキニングという自分の部下に譲って、自らは会長に納まった時期もあるのですが、スキニングは責任を押し付けられるのを嫌ってか、すぐに辞任しています。立場上は、このスキニングがディックのモデルとなるのかもしれません。 ディックが働いていたグローバダイン社はITメディア開発企業ということなので、会社自体のモデルとしては、エンロンと、2002年7月倒産した通信大手のワールドコムを足して2で割ったもの、ということができるかもしれません。事実、エンドロールには、エンロンとワールドコムの社員の名前が挙がっています(実は私はそこまではチェックできていませんでしたが、それを指摘するブロガーが多いんですね)。 以上の部分で参考にしたのは―― ・「揺らぐアメリカ型資本主義」(遠藤雄二)(「反戦情報」No.217)(http://www.hansen-jp.com/217endo.htm) ・「負のスパイラルが席捲する 米バブル崩壊で日本破壊!」(草薙厚子)(「News Web Japan」)(http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2002_08_21/content.html) ・「エンロンが示したアメリカ型経済の欠陥」(田中宇)(「田中宇の国際ニュース解説」)(http://tanakanews.com/c0211enron.htm) 日経新聞などでも、こうした背景にからめてこの映画の作品紹介がなされているかもしれませんね。ちょっと気になります。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「失業もの」というのは、昔から数多くの映画で取り上げられていて、1ジャンルを形成しているとさえ言えるほどなので、それ自体は珍しくまりません。気になったのは、悪役に当たる社長役をアレック・ボールドウィンが演じていること。アレック・ボールドウィンと言えば、同じ倒産ものである『エリザベスタウン』でも同じような役(こちらは悪役ではない)をやっていますから、これがパロディーなのかどうかということなんですね。『エリザベスタウン』のアメリカでの公開が10月14日、『ディック&ジェーン』の公開が12月21日。製作期間自体は確実に重なっているはずなのですが、どうなのでしょう?まあ、背景にあるのは、どちらの作品も2000年〜2002年くらいに起こった相次ぐ大手米企業の倒産であることは、まず間違いないとは思いますが……。 あと、主人公が新しい会社に面接に行って、笑顔で迎えられはするが、(大会社を倒産させた有名人と)記念写真を撮りたいだけで、「採用なんかするはずないだろ?」と笑って追い返されるシーンがあって、これと全く同じシーンを最近どこかで観たような気がするんですが、これも『エリザベスタウン』だったでしょうか? ちょっと思い出せませんね〜。 本作には、オリジナルである『おかしな泥棒ディック&ジェーン』をはじめ、たくさんのパロディーも仕掛けてあるようです。そこをトリビアルに楽しむという楽しみ方もありそうです。 映画の中に出てくるものの中で気になったアイテムとしては、「上の階のオフィス」「玉子の焼き方」「自宅の庭にプールを」「サムのマネーライフ」「スポンンジ・ボブ」「ボトックス」「INS」「CFO」「尿検査」「電気ショック首輪」「ブロザック」「ブレインフリーズ」「Ameribanks」「グランド・ケイマン銀行」「CRM-114用紙」「エスプレッソ・マシーン」「セールスマンの死」などがありましたが、コメディーでもありますし、ここでは書き留めておくだけにします(笑)。 あ、そうそう、この作品の脚本は、初監督作品『40歳の童貞男』で一躍時の人になった感のあるジャド・アパトゥ。『40歳の童貞男』は日本で劇場公開されるのでしょうか。配給はユニバーサル・ピクチャーズ(ということはUIP)のはずなのですが、UIPの公式HPでは今ところ公開予定にはなっていないようです。 [キャッチ・コピーで選ぶ2006年お正月映画] [トリビア] *当ブログ訪問の足跡を残す意味も込めて、人気ブログランキングにクリックをお願いします <ASIN:B000BBU2W4>歪んだエンロン~虚栄の崩壊~</ASIN> |
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愛のある復讐映画『ディック&ジェーン/復讐は最高!』
会社の倒産によって、幸せな生活が一転、全財産を失うハメになった家族の再起をかけたコメディドラマです。 ...続きを見る |
水曜日のシネマ日記 2006/01/08 09:15 |
ディック&ジェーン 復讐は最高!
ディック・ハーパーはIT開発企業グローバダイン社に勤務する優秀な社員。愛する妻ジェーンと息子ビルとともに幸せな毎日を送っていた。マイホームも手に入れ、部長への昇進も決定して、まさに絵に描いたような順風満帆な人生だった。ところが事態は急変、CEOのマカリスターが自社株を売り払い自分だけ大儲けする一方、会社は倒産、社員全員失業という事態に陥ってしまうのだった。すべてを失い、再就職もままならず思いあまったディックは、ジェーンの制止を振り切り、コンビニ強盗を決行するのだが…。 ...続きを見る |
はむきちのいろいろ日記 2006/01/08 13:07 |
『ディック&ジェーン 復讐は最高!』泥棒?復讐?
時間の関係で(という断りを入れる必要はないにしても)今年の一本目は 『ディック&ジェーン』になりました。ちなみに原題は Fun with Dick and Jane, です。こっち方がしっくりくる。 だって「復讐?」って感じだもんね。 確かに復讐してるけどあっという間に終わり、 「え.. ...続きを見る |
キマグレなヒトリゴト 2006/01/08 13:16 |
ディック&ジェーン 復讐は最高!
期待のリメイク作品を、最高のパフォーマー、ジム・キャリーの出演ということで、当初より可也の過大評価をしていたようだ。 ...続きを見る |
利用価値のない日々の雑学 2006/01/08 14:44 |
ディック&ジェーン 復讐は最高!
ジム・キャリー、久しぶりだなぁ・・。 なんて、思ったんだけど、大間違い。 去年は、『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』と、『エターナル・サンシャイン』があった(^^;) ジム・キャリーのドタバタコメディが久しぶりだったんだ。 でもなぁ、私、ちょっとドタバタコメディって苦手かも・・。 <STORY> ディック・ハーパー(ジム・キャリー)は、大手企業に勤務するサラリーマン。 妻・ジェーン(ティ ...続きを見る |
toe@cinematiclife 2006/01/09 00:55 |
アメリカン・ジョーク
「ディック&ジェーン 復讐は最高!」を見てきた。 ...続きを見る |
日本サッカーホールディングス 2006/01/09 20:08 |
ディック&ジェーン 復讐は最高!
ITメディア開発企業で働くディックは、大抜擢され昇進します。妻のジェーンは仕事を辞め、庭にはプールを造り...、アメリカン・ドリームの実現、と思った直後、会社が倒産し、悪いことが重なり、多くのものを失います。就職活動は上手くいかず、家の電気まで止められ...。つ ...続きを見る |
日っ歩〜美味しいもの、映画、子育て...... 2006/01/12 01:03 |
★「ディック&ジェーン 復讐は最高!」
顔芸が出来る!!!ジム・キャリー主演のコメディ。 ...続きを見る |
ひらりん的映画ブログ 2006/01/13 23:49 |
ディック&ジェーン 復讐は最高!
想像通りの無難なコメディ映画。ジム・キャリー主演だから外れることはないけどこれと言った面白さを感じられなかったです。逆にいうとイマイチかな。 ...続きを見る |
★☆★ Cinema Diary ★☆★ 2006/01/15 22:33 |
ディック&ジェーン 復讐は最高!
帰省中冬休み映画観まくり計画、第1弾の「SAYURI」を観て、次何にしようかな〜と思ってたところに、12月24日から「ディック&ジェーン 復讐は最高!」が公開。この写真の様な、ジム・キャリーのはち切れんばかりの作り笑顔を見せられては観るしかないでしょ、ボーヤ!って事で、きっと君は来ない〜♪一人きりのクリスマスイヴ♪うおうお♪(以下略)に第2弾決行。 ...続きを見る |
欧風 2006/01/17 00:44 |
ディック&ジェーン−(映画:今年77本目)−
監督:ディーン・パリソット 出演:ジム・キャリー、ティア・レオーニ、アレック・ボールドウィン、アンジー・ハーモン、リチャード・ジェンキンス ...続きを見る |
デコ親父はいつも減量中 2006/06/18 00:56 |
映画『ディック&ジェーン 復讐は最高!』
原題:Fun with Dick and Jane 不正経理・不正取引がばれて破綻したエンロン、史上最大の経営破綻で有名なワールドコム・・この映画では、不幸の影で儲けて笑う悪者を凝らしめ復讐する ...続きを見る |
茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行... 2007/03/19 02:17 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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はじめまして。 |
テクテク URL 2006/01/08 09:42 |
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