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zoom RSS 『エリザベスタウン』のパロディーでもある? 『ディック&ジェーン 復讐は最高!』

<<   作成日時 : 2006/01/08 07:00   >>

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画像 コメディーなので、ジム・キャリーのお得意のギャグにただ笑っていればいいのかもしれませんが、この映画についての感想が書かれたブログを読むと、この映画が「米大手エネルギー企業エンロンをモデルにしている」ことを指摘するものが結構多いんですね。
 エンディング近くで、主人公の同僚が「エンロンに再就職が決まった」とうれしそうに主人公に話すシーンがありますが(本作の設定は2000年)、エンロンはそのすぐ後、2001年に倒産しているわけで、それがまたギャグになっているわけです。

 というわけで、そのことについてちょっとだけ調べてみました。劇場パンフには、「“転職のプロ”風樹茂インタビュー」、「ハリウッド・コメディ映画事情」、「パックン・マックン対談」なんていうものは載っていても、物語の背景については説明がなされていませんでしたから。まあ、それがギャグ映画に対する正しいアプローチなのかもしれませんが。

 エンロンは、1985年にテキサスとネブラスカの天然ガス会社が合併してできた会社で、その後、電気、水道、ガス、通信などを先物取引することで、急成長を遂げ、全米で第7位の売上高を誇る大企業にまで成長しました。
 しかし、合併・買収を通して株価を吊り上げていく一方で巨額の損失を出し、それを幽霊会社に飛ばして、いかにも儲かっているように見せかけていました。いわゆる粉飾決済も大掛かりなやつです。従業員には、年金資産で自社株を買うように仕向けながら(しかも売ることは認めない)、創業者でCEOであるケニス・レイは、自社株を売り抜けて巨額を手にした後、自らは全く傷つかない形でエンロンを倒産に追い込んで知らん振り。従業員が、職も年金も同時に失うことになっても、彼は一切関知しないという悪党ぶりなんですね。

 映画では、全く同じような状況下で、事情を全然知らずに責任を取る立場に追い込まれた従業員が、ディック(ジム・キャリー)で、悲惨な状況に陥った彼が彼をそうした状況に追い込んだ相手に「復讐」を始めるというのが、本作のメイン・プロットになります。物語自体は、映画『おかしな泥棒ディック&ジェーン』(77)を下敷きにしているらしいのですが、それはまた別の話。

 ディックには、一緒に責任を取らせられることになる人物に副社長フランク(リチャード・ジェンキンス 映画『スタンドアップ』でも好演)がいるのですが、彼にもモデルがいて、それは副社長であったクリフォード・バクスターという人で、2001年1月に自車であるベンツの中で拳銃自殺しています。43歳という若さで。彼の死に関しては、自殺ではないのではないかという疑惑もあるそうです。
 ケニス・レイは、CEOをジェフリー・スキニングという自分の部下に譲って、自らは会長に納まった時期もあるのですが、スキニングは責任を押し付けられるのを嫌ってか、すぐに辞任しています。立場上は、このスキニングがディックのモデルとなるのかもしれません。

 ディックが働いていたグローバダイン社はITメディア開発企業ということなので、会社自体のモデルとしては、エンロンと、2002年7月倒産した通信大手のワールドコムを足して2で割ったもの、ということができるかもしれません。事実、エンドロールには、エンロンとワールドコムの社員の名前が挙がっています(実は私はそこまではチェックできていませんでしたが、それを指摘するブロガーが多いんですね)。

 以上の部分で参考にしたのは――
 ・「揺らぐアメリカ型資本主義」(遠藤雄二)(「反戦情報」No.217)(http://www.hansen-jp.com/217endo.htm
 ・「負のスパイラルが席捲する 米バブル崩壊で日本破壊!」(草薙厚子)(「News Web Japan」)(http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2002_08_21/content.html
 ・「エンロンが示したアメリカ型経済の欠陥」(田中宇)(「田中宇の国際ニュース解説」)(http://tanakanews.com/c0211enron.htm

 日経新聞などでも、こうした背景にからめてこの映画の作品紹介がなされているかもしれませんね。ちょっと気になります。

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画像 「失業もの」というのは、昔から数多くの映画で取り上げられていて、1ジャンルを形成しているとさえ言えるほどなので、それ自体は珍しくまりません。気になったのは、悪役に当たる社長役をアレック・ボールドウィンが演じていること。アレック・ボールドウィンと言えば、同じ倒産ものである『エリザベスタウン』でも同じような役(こちらは悪役ではない)をやっていますから、これがパロディーなのかどうかということなんですね。『エリザベスタウン』のアメリカでの公開が10月14日、『ディック&ジェーン』の公開が12月21日。製作期間自体は確実に重なっているはずなのですが、どうなのでしょう?
 まあ、背景にあるのは、どちらの作品も2000年〜2002年くらいに起こった相次ぐ大手米企業の倒産であることは、まず間違いないとは思いますが……。

 あと、主人公が新しい会社に面接に行って、笑顔で迎えられはするが、(大会社を倒産させた有名人と)記念写真を撮りたいだけで、「採用なんかするはずないだろ?」と笑って追い返されるシーンがあって、これと全く同じシーンを最近どこかで観たような気がするんですが、これも『エリザベスタウン』だったでしょうか? ちょっと思い出せませんね〜。

 本作には、オリジナルである『おかしな泥棒ディック&ジェーン』をはじめ、たくさんのパロディーも仕掛けてあるようです。そこをトリビアルに楽しむという楽しみ方もありそうです。

 映画の中に出てくるものの中で気になったアイテムとしては、「上の階のオフィス」「玉子の焼き方」「自宅の庭にプールを」「サムのマネーライフ」「スポンンジ・ボブ」「ボトックス」「INS」「CFO」「尿検査」「電気ショック首輪」「ブロザック」「ブレインフリーズ」「Ameribanks」「グランド・ケイマン銀行」「CRM-114用紙」「エスプレッソ・マシーン」「セールスマンの死」などがありましたが、コメディーでもありますし、ここでは書き留めておくだけにします(笑)。

 あ、そうそう、この作品の脚本は、初監督作品『40歳の童貞男』で一躍時の人になった感のあるジャド・アパトゥ。『40歳の童貞男』は日本で劇場公開されるのでしょうか。配給はユニバーサル・ピクチャーズ(ということはUIP)のはずなのですが、UIPの公式HPでは今ところ公開予定にはなっていないようです。

 [キャッチ・コピーで選ぶ2006年お正月映画]

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
TBありがとうございます。
こちらからも送らせて頂きました。

・・・なるほど。
この映画には、そんなにも深い背景が隠されていたのですね!
エンドロールでも米国企業名が日本語字幕で沢山出ていましたが、
私は米国経済に全くウトいので、
「???」という感じでしか見ていませんでした。
「エリザベスタウン」も観に行きましたが、
確かに同じ失業モノの映画でしたね。
でも、この映画は
ロードムービー?
親子のドラマ?
人間ドラマ?
恋愛ドラマ?
どれもピッタリと当てはまらないような、
なんだかなー。という感じにしか受け取れませんでした。
(いつも、こんな感覚的なふうでしか映画を見れていません・・・。)
映画に関するトリビアも拝見しました。
どれも、とても読み応えがありますね!
これからも参考にさせて頂きます。
テクテク
URL
2006/01/08 09:42

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